DELTAは高分解能SDD検出器と強力な4W X線管との組み合わせを特長とする分析法であり、現時点で使用可能なハンドヘルド蛍光X線分析計(XRF)として最も迅速かつ正確な分析ツールです。新技術SDDを導入したことにより、採掘や鉱物探査産業向けの現場用ポータブルXRFが大幅な進歩を遂げています。 重要なメリット:
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ボーキサイト鉱石に対して、前例のない高性能を発揮
アルミニウムは地殻中に最も豊富に含まれる金属であり、ボーキサイト(鉱石)という形態で産出します。ボーキサイトは、何種類も存在する水和アルミニウム酸化物(ギブサイト、ベーマイト、またはダイアスポア)のいずれか1種類を含んでいます。これらの酸化物は多くの場合 Al2O3xH2Oと表現されますが、より一般的には不純物を含むAl2O3と見なされます。ボーキサイトの外見は土や粘土に類似しており、色の分布は、成分の性質や含有量に応じて白色から暗褐色、さらには赤色に及びます。ボーキサイトは主要な不純物として酸化鉄(針鉄鉱、赤鉄鉱)、二酸化ケイ素、カオリナイト(粘土鉱物)を含むことに加えて、少量のアナターゼ(TiO2)を含みます。そのため、ボーキサイトの組成は大きく変動し、アルミナ含有率としては50%程度から70%程度までの幅で変化します。SDD技術を導入したDELTA分析計により、ボーキサイト鉱石処理のすべての重要段階において分析が可能となりました。この手法を用いることにより、広い分析範囲にわたるアルミニウム含有率を同時に、かつ精密に決定できるばかりでなく、Si、Fe、Mn、Ti、Zrを含む20種類以上の異種元素を測定することができます。
ピソライト鉄を豊富に含むボーキサイト鉱石
軽元素分析と試料の前処理
野外用携帯型蛍光X線分析計(FPXRF)では、軽元素(LE)は、一般的に、原子番号(Z)が 18(アルゴン)以下の元素で、通常はMg、Al、Si、P、S、Clです。ボーキサイトの鉱床調査では、軽元素の測定、特に、Al, Si, Ca, Kが優先されます。ボーキサイトの鉱化においては、しばしば、粗い粒質と結晶質の成分で混成されます。このため、それら軽元素の測定も、試料の不均質さにより大きく影響され、意味のある分析の品質(決断レベル)にするためには、試料を前処理することが必要です。粒度の粗い破片が含まれている可能性があり、試料を200µm以下に粉砕した後、蛍光X線分析専用の試料容器(ポリプロピレンフィルム)に入れます。(軽元素測定できないマイラーフィルムは使用しません)。
標準試料(GeoStat's Bauxite Certified Reference Materials)を対象としたAl、Fe、Si、Ti、Zr検出性能: 調製(粉体化)された鉱石を、オリンパスDELTA SDD HHXRF分析計をMining
Modeで使用(空気中、試験時間90秒)
野外用携帯型蛍光X線分析計の利点
最新世代の蛍光X線分析計は「真の携帯性」を備えることにより、「ミニラボの分析力」を、限定的ですが、野外に持ち出すことを可能にしています。野外用携帯型蛍光X線分析計が限定的であるのは、下記の点です。卓上型の蛍光X線分析装置に比べて、(1) 検出限界が大きい、(2) 精度が低い(+/-値が大きい)、(ただし検出限界より上では、正確さは同等)、(3) 測定結果の再現性が劣る。このため、野外用携帯型蛍光X線分析計は、ラボ向け分析装置の代わりになるとは言えませんが、ラボと、ASX(JORC規定)やTSX(43-101)で定められる(業界の)報告規定と連携して使用されると効果を発揮します。野外用携帯型蛍光X線分析計の主な利点は、野外で機動的にリアルタイムに測定し、その場ですぐ地球化学データを空間的に記録できることです。地球化学者は、観察中の表土または岩石の成分元素特性をすぐに仮定でき、野外の現場、つまり測定すべき試料のあるその場で、十分な情報に基づき決断することができます。探鉱プロジェクトの管理、目的、関連する事項の方向性に対して素早い判断が可能になり、調査期間を著しく短縮する効果があります。試料を掘削しラボへ送付する手間を徹底的に減らし、通常掛かっていたラボとの往復時間や遅れ時間を減らせるからです。野外用携帯型蛍光X線分析計は、調査前のスクリーニングツールであると言えます。それは、最適な試料を現場で探し出して採取し、ラボに提出できるからです。また、現場で即座にサンプル濃度を増やしたりすることができるので、フィールドでのサンプリング計画をリアルタイムに見直し、効果的にすることができます。つまり、野外現場で調査することにより、効率が向上し、調査期間を短縮させ、野外での時間を有効に使用でき、調査予算を最大に活用することが可能となります。
検出限界:影響を与える要因分析の検出限界(LOD)の測定は、さまざまな要因に依存しており、その多くは分析装置に直接関係していません。検出限界に影響を与えるものには、以下があります(括弧内に影響因子を記載)。
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