オリンパスDELTAでは、超高解像度シリコンドリフトディテクター(SDD)と強力な4W X線管を組み合わせることで、現在使用可能なハンドヘルド蛍光X線分析計の中で最も迅速で精度の高い分析を実現します。 SDDは、従来のシリコンPiNダイオードX線検出器と比べると、1)所定の時間内に10倍以上のX線を検出し処理する能力、2)高いエネルギー分解能、3)高いピーク/バックグラウンド比、の3つの点で優れています。 結果として、分析精度が飛躍的に向上し、検出限界をより低く設定できるので、鉱業・探鉱用途に最適です。 鉄鉱石や含有する微量元素の高度な分析製鉄に適した鉄鉱石は、多くの場合、重量で60%以上を占めるFe、0.20%未満のP、3~7%のシリカ、5%未満のAl、微量のSおよびTiで構成されています。 |
特定の微量元素が少量含まれているだけで、溶鉱炉内の鉄の性能によくも悪くも大きな影響を及ぼすことがあります。 SDD技術を導入したDELTA分析計により、鉄鉱石に関するすべての重要な段階における判定が可能になりました。 Fe含有量については、再現性に優れ、かつ高い精度で広い分析範囲(30%~80%のFe)にわたって測定が可能です。 Mn、Ti、Al、Si、P、Sも、他の25種類の元素とともに正確に測定できます。
ヘマタイトが豊富な縞状鉄鉱石の鉄、マンガン、チタン、アルミニウム、シリコン、リンの含有量の分析性能 (AIR内でDELTA SDD分析計を使用して90秒間測定)
軽元素の分析および試料の前処理
フィールドポータブル蛍光X線分析計による分析では、軽元素(LE)は一般的に原子番号(Z)18(アルゴン)より小さい元素とされ、通常Mg、Al、Si、P、S、Clのグループを指します。 鉄鉱床の調査では、こうしたLEのセット(特にAL、Si + Ca、K)が使用されますが、鉄鉱石は多くの場合、粗い顆粒状の結晶基質に含まれています。 このように、試料により大きく均質性が異なるため、意味のある(判断が下せるレベルの)分析品質を達成するためには、試料に何らかの前処理が必要となる場合があります。 場合により、粗砕を行う必要がありますが、その際は試料を200 μm未満まで微粉砕した後、ポリプロピレンフィルム(LEの測定に使用できないMylarフィルムは使用しません)を用いた蛍光X線サンプルカップに入れます。
フィールドポータブル蛍光X線分析計を使用する利点
最新世代の蛍光X線分析計が持つ「真のポータブル性」によって、明らかな制限はあるものの実質的に「ラボのミニチュア版」を野外に持ち出すことが可能になります。 オリンパスでは、次のような制限事項があることを公表しています。(1)ラボの蛍光X線分析計よりもLODが高い (2)ラボの蛍光X線分析計よりも精度が低い(+/-値が大きいが、LODを超える場合は精度が落ちない) (3)結果の再現性が低い
フィールドポータブル蛍光X線分析計はラボの完全な置き換えとなるものではなく、ラボ、およびASX(JORC規定)やTSX(43-101)などで定められた業界標準レポート作成プロトコルと併用する必要があります。 フィールドポータブル蛍光X線分析計の主な利点は、ダイナミック、かつリアルタイムにその場の地球科学データセットを迅速に作成できることです。
これにより、地球科学者は観察したレゴリスや岩石の元素特性を即座に仮定できるようになり、対象試料のあるその場所で、野外にいながら、適切な情報に基づいた判断を迅速に行うことができます。 つまり、その場で素早くインタラクティブな探鉱プロジェクト管理、ターゲット描写、鉱化作用に対する関連ベクトル化アプローチが可能になるのです。 この結果、試料の掘削やラボへの搬送にかかる時間や遅れなどが減り、大幅に時間が短縮されます。 フィールドポータブル蛍光X線分析計は、最適な試料を選択してラボに送り、包括的で詳細な分析を実現するための、プレスクリーニングツールであるといえます。
さらに、サンプリングプログラムを現場でリアルタイムに微調整することで、試料密度および分解能を、簡単に素早く向上させることができます。
現場での作業実現による効率化は、プロジェクト納期の短縮につながり、企業にとって現場での作業にかかる時間効率が向上し、調査予算を最大限に活用することができます。
検出限界: 難しい課題
分析での検出限界(LOD)の判定は、さまざまな要因に依存しており、その多くは選択した装置に直接関係していません。 検出限界に影響を与える要素には、以下があります(括弧内は影響因子)。
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「したがって、フィールドポータブル蛍光X線分析計を使用する際に、検出限界の判定に関する最大の影響因子は試料なのです」