このアプリケーションノートでは、グラスファイバーを覆うゲルコートの厚さの測定方法についてご説明します。 グラスファイバーゲルコートの厚さ測定の概要ゲルコートは、構造用グラスファイバー上に塗布される硬質ポリエステル樹脂コーティングです。滑らかで光沢のある保護面として、摩擦の低減と外観の向上に貢献します。よく使用されるのは、グラスファイバーの船体と、流し、バスタブ、シャワー室などの水回りの備品です。 グラスファイバー製品のメーカーは、ゲルコートの厚さが指定された範囲の中にあると保証するために、それを測定する必要があります。特に、不十分な適用や収縮が原因で過度に薄くなった場合、測定してそれを検出することが重要です。通常の測定の範囲は約0.25~1mmで、多くの場合、公称膜厚は約0.5mmです。 ゲルコートの厚さ測定機器ゲルコートの厚さ測定には、39DL PLUS™や45MG(一振動子ソフトウェアオプション付き)などの精密厚さ計を使用します。39DL PLUS厚さ計では標準装備され、45MG厚さ計ではオプション対応している波形表示機能は、エコー品質の確保と読み取り値の確認に役立ちます。 |
ゲルコートは、通常は、遅延材付き探触子で測定します。最も一般的に推奨される探触子はM208-RM(20MHz、0.125インチ径振動子)です。厚いゲルコートを対象とする場合は、M202-RM(10MHz、0.25インチ径振動子)も使用できます。
グラスファイバーゲルコートの厚さ測定手順
このアプリケーションは、モード2の測定(最初の底面エコーへの境界面エコー)として設定されています。最大の課題は、一般的にゲルコートの内面はグラスファイバーの表面の特性により粗く不規則であることです。この不均一な形状が原因で、ゲルコートとグラスファイバー境界面からのエコーの品質が、場所によって大きく変動することがよくあります。境界面からの第1エコーが最大のものとは限らず、位相歪みによってエコーが反転することがあります。場合によっては凹凸によって、反射したエコーの振幅が検出限度を下回ることがあります。また、ゲルコートとグラスファイバーの境界でのエコーに続いて下層のグラスファイバー内から散乱するノイズを表すいくつのかのピークが現れ、これが検出されると、誤って大きな読み取り値になってしまいます。
メーカーは通常、ゲルコートが最小膜厚要件を満たすかどうかを最も気にかけており、狭い領域内で複数の読み取り値を取得し、得られた最小値を記録する手順が推奨されます。波形表示が使用可能の場合は、下の図の画面で見られるような波形表示を監視することで、最初に返ってきたエコー(ゲルコートの最小膜厚を示す)が検出されているかどうかを確認できます。
45MG厚さ計を波形表示オプションなしで使用している場合は、局所内での最小読み取り値に注意することが特に重要です。急に読み取り値が高くなる箇所が発生した場合、通常は不規則なエコーによって生じた偽検出を示しています。原則として、最初に返ってきたエコーを検出できる可能性を最大限にするために、厚さ計のゲインは高く設定してください。当社の厚さ計のほとんどで使用可能な第1ピーク検出モードは、このアプリケーションで確実に最小厚さを測定するのにも役立ちます。
最適なゲルコート読み取り値の例。第1ピークが検出されています。
不正確な読み取り値の例。内面の凹凸により振幅が低くなったため、第1ピークが検出されません。
グラスファイバー全体の厚さ測定
多くの場合、ゲルコートの測定に使用したものと同じ厚さ計を、肉厚全体(ゲルコートとグラスファイバー)の測定にも使用できます。通常は、M1036(2.25MHz、0.5インチ径振動子、高感度)を2つ目の探触子として使用します。通常、測定可能なグラスファイバーの最大の厚さは、約12.5mmです。これより厚いグラスファイバーについては、通常は、高浸透(HP)型厚さ計が必要になります。