このアプリケーションノートは、ソフトコンタクトレンズのベースカーブと厚さの測定方法を説明します。推奨される機器、測定方法、および最適な精度を得るための校正についてご覧ください。
ソフトコンタクトレンズの超音波試験
1970年代、オリンパスは、ソフトコンタクトレンズ試験に超音波厚さ計を使用する道を切り拓きました。超音波厚さ計を使用すれば、他の手法を使用した場合にレンズの物理的な歪みによって発生する誤差を発生させることなく、ベースカーブ計算に必要なソフトレンズのサジタル高と、レンズの厚さの両方を測定することができます。
超音波測定は、高速で、再現性があり、信頼性も高く、オペレーターの解釈によって結果が左右されることもありません。多層材測定ソフトウェアが付属する39DL PLUS™厚さ計では、サジタル高と厚さを同時に測定でき、ベースカーブの計算を組み合わせた特別な機能を使用できます。
コンタクトレンズの厚さとベースカーブの測定機器
厚さ計:39DL PLUS厚さ計、多層材測定ソフトウェアオプション付き
探触子:M316-SU F-.75(20 MHz、エレメント径0.125インチ)
固定具:B-200コンタクトレンズ保持治具または同等品
注記:サジタル高またはレンズの厚さの測定に一振動子ソフトウェアが付属する45MG厚さ計を使用することも可能ですが、この機器は1回にひとつのタイプの測定のみが可能で、自動的にベースカーブの計算を行いません。
コンタクトレンズの厚さとベースカーブの測定方法
B-200コンタクトレンズ保持治具は、正確な直径がわかっている管状の台座を備えた小型のプラスチックタンクです。超音波探触子は固定具の土台部に保持し、集束された音響ビームが台座の中心を通るようにします。非常に薄いプラスチック膜を台座の上端全体に引き伸ばし、タンクには食塩水を満たします。コンタクトレンズは、凹面側を下にして台座の上に置きます。これでプラスチック膜がサジタル高測定の基準弦となります。
測定プロセスにおいて、探触子は鋭く集束した超音波エネルギーの短いパルスを生成し、食塩水の中を伝播させます。このエネルギーの一部が薄膜、レンズ底面、レンズの上面、および最後には食塩水の水面で反射されて探触子に戻ってきます。厚さ計は、このエコーのパターンをデジタルで記録します。次に、最初と2番目の間、および2番目と3番目の間の時間間隔を非常に正確に測定します。4番目の食塩水の水面からのエコーは、この試験には関係ありません。
最初のエコーから2番目のエコーまでの時間は、膜とレンズ底部の間の距離、つまりサジタル高と比例します。同様に、2番目のエコーから3番目のエコーまでの時間は、レンズの厚さと比例します。厚さ計は次の式を適用します。
D = VT / 2
ここで、
D = 距離または厚さ
V = 試験材料内での音波の速さ
T = パルスの往復時間の測定値
厚さ計にプログラムされた音速の情報を使用して、簡単な計算でサジタル高とレンズの厚さが得られます。ベースカーブの半径は次の式で計算されます。
H2 + r2 | |
R = | ------------ |
2H 2H |
ここで、
R = ベースカーブの半径
H = サジタル高の測定値
r = 台座の半径
計算後、サジタル高(1)、レンズの厚さ(2)、およびベースカーブ情報(R)が厚さ計に次のように表示されます。
サジタル高、レンズの厚さ、およびベースカーブの表示
コンタクトレンズの厚さ測定のための機器校正
機器の校正がよくなければ、精度の高い超音波測定はできません。コンタクトレンズの測定の場合、使用する食塩水での音速および具体的なレンズ材料での音速の正確な校正が必要です。食塩水での音速は、温度と食塩の濃度によって大きく変わり、レンズでの速度も温度と組成によって幾分変わります。
最適な精度を得るための推奨手順は、温度を一定に保ちながら、正確なベースカーブ/サジタル高と厚さがわかっている標準試験片を使用して機器をセットアップすることです。速度校正の一般的な手順は、39DL
PLUSの操作マニュアルで詳しく説明されています。機器が正しくセットアップされていれば、サジタル高と厚さは±0.01mmの精度で測定できます。