このブログでは38DL PLUS™から39DL PLUS™モデルに切り替わった超音波厚さ計を紹介しています。新モデルの機能と性能に関する最新情報は、39DL PLUSのウェブページをご覧ください。
Asset Reliability Inspections(ARI)は西オーストラリア州に本拠地を置く資産保全/準拠企業であり、圧力機器検査、圧力機器設計の検証、溶接部検査、非破壊検査(NDT)の各サービスをアジア太平洋地域で展開しています。
2008年創立のARIが、NDTおよび検査の各種サービスを提供するのは、鉱業、発電、製造、石油・ガス、運搬業(鉄道など)を含む多岐の業界にわたります。
資産所有者を準拠性と稼働中NDTで支えることにより、劣化したインフラの状態を監視し、評価します。 タンクや圧力機器の検査サービスは、資産の状態に関する追加情報を提供するNDTによって補完されます。
ARIの業務を支えるNDT機器の1つが、当社の38DL PLUS™(38DLP™)超音波厚さ計で、あらゆる業界の稼働中検査に使用されています。ARIのジェネラルマネージャーであるニール・ヤング氏から、業務プロセスに厚さ計がどのように役立っているか、また厚さ計の気に入っている点について話を伺いました。社員たちの目を引いた重要な点の1つは、その使いやすさです。
「38DLPは、市場に出ている厚さ計の中で最も使いやすく直感的な製品の1つです」とニール氏は話します。
この使いやすい厚さ計が、複雑な検査の課題に取り組むARIにどのように役立っているかを見ていきましょう。
課題:劣化したインフラの検査
マッピングされ検査準備が整った広いインフラエリア
圧力容器などの産業インフラ機器は、数年から数十年にもわたって稼働し続けることができます。しかし、時間とともにどのような機器も最終的に故障します。 産業インフラシステムの故障や障害による影響は圧倒的です。これは顧客からの信頼、安全性、機器の運用コストの面で、資産所有者にとって懸念事項です。
劣化したインフラの一般的な原因
インフラ機器が稼働中に劣化する原因には、以下のようにさまざまなことが挙げられます。
- 持続的な加熱
- 絶縁劣化
- 機械部品の摩耗と材料疲労
- 空気中の化学物質または材料疲労の副産物による腐食
- 植物、昆虫、動物、人間による損傷
- 竜巻、ハリケーン、地震、洪水などの自然災害
- 太陽、風、雨、氷、雪などの自然要因
ARIによるインフラ資産管理サービスは、劣化する機器を故障や予期しない運転停止のない状態で、安全かつ自信を持って管理し、運用できるように、資産所有者に解決策を提供しています。
IEEE Power and Energy Magazineに発表された論文「The economics of aging infrastructure」によると、効果的なインフラ資産管理方法は、インフラシステム全体の劣化を分類、追跡、分析、予測し、その情報を使用して、劣化した機器やコストをよりよく管理する、というものです。
また、この論文では、寿命の延長、コストの削減、信頼性の問題の軽減にNDTを適用することも推奨しています。 これは、長期間にわたって劣化とその影響に対応し、管理するものとして、インフラ資産所有者にとって持続可能な方法と考えられます。
インフラ資産の複雑な形状の検査
劣化するインフラの問題に加えて、インフラ資産の複雑な形状も、別の問題を提示します。 パイプエルボーやバルブなど、起伏のある複雑な形状を検査するのは困難を伴い、多くの産業ソリューションはこのような品目に適していません。
マッピングされて測定の準備が整った、複雑なインフラ形状の例
このような資産を検査するには、まず表面に区画をマッピングする必要があります。こうすると、測定が系統的になります。
「劣化したインフラを継続して使用するには、評価が必要です。 NDTを最大限に活用できるのは、検出しようとしている劣化の仕組みを理解している場合です。そうすれば、その劣化を見つけるのに最適なNDT方法を選択できます」とニール氏は言います。
ニール氏はさらにこう説明しました。「インフラの残存強度と肉厚には直接的な関係があるため、信頼性の高い厚さ計が常に求められています」。
ソリューション:使いやすい超音波厚さ計
超音波探傷(UT)は、金属や複合材などの固体に短い高周波超音波を誘導する、効果的なNDT法です。伝搬する音波は、亀裂やボイドなどの不規則部に影響を受けます。
UT厚さ計は、この音波がスキャン対象材料に反射したり通過したりするのを収集できます。 戻ってくる音波を収集して分析することによって、システムの内部構造をマッピングして、長期的に比較できます。
「オリンパスの(UT)厚さ計はARIにとって重要な財産です。お客様のニーズに合わせて数台所有しています」とニール氏は話します。
ARIはこれまで長年にわたり、稼働中NDTにオリンパスの厚さ計を確実に使用しています。 同社は旧モデルの26DL、MG2、36DL PLUSなどの厚さ計を、いち早く購入してきました。
現在、ARIが稼働中検査に好んで使用しているのは、38DL PLUS厚さ計です。
「オリンパス38DLPの機能は、旧モデルの厚さ計と一貫性があるので、移行がスムーズにできます」とニール氏は話します。「ですから、UTには精通しているけれどオリンパス製品には詳しくない人でも、38DLPはすぐ簡単に使用できるのです」。
38DLP超音波厚さ計
ARIが気に入っている38DLP厚さ計の機能はたくさんあるので、ニール氏はすべてを挙げることはできませんでした。
「私たちが気に入っている主な機能は次のものです。
- 「プラグアンドプレイ」接続と38DLPに付属のGageView™インターフェースプログラム。現場での結果をMicrosoft Excelファイルに転送して、簡単にレポートを作成できます。
- 大きく見やすい画面(あらゆる<環境>条件に対応)
- V‑パス補正を自動的に計算する、オリンパスプローブのプローブ認識機能。校正ブロックの厚さの範囲外で取得された測定値にも自信を持てます。
- Automatic Gain Control(AGC)。測定ごとに信号を調整する必要がありません。
- 厚さ測定値のほかに波形も保存(会社に戻って結果をチームに説明する際に最適)。
38DLPは、市場に出ている厚さ計の中で最も使いやすく直感的な製品の1つです。 フルサイズの見やすい画面とキーパッド表示ボタンがあるので、わかりにくいメニューから目的の機能を探す必要がありません」とニール氏は説明します。
高性能なデータログ機能がUT検査を合理化
前述したように、超音波厚さ計による検査は、困難を伴い時間がかかる場合があります。現場で記録された多数の測定結果を慎重にまとめる必要があるからです。 厚さ測定値を手で記録する場合、データ入力ミスが資産所有者に混乱をもたらす可能性があります。
「厚さ計にデータログ機能が搭載される前は、測定値の記録を紙に記入する必要がありました。厚さ測定技師が測定する際に、筆記者として結果の記録と補佐を行う補助員が必要でした」とニール氏は言います。
このプロセスは時間がかるだけでなく、余分なコストとヒューマンエラーの危険性の増加につながります。
「補助員のために追加のコストをお客様に請求することになり、手書きの生データは(ヒューマン)エラーの原因を増大させます。そのデータを最終レポートに組み込むために、電子形式に転送する必要があります」とニール氏は説明します。
ニール氏は続けます。「ですから、2D、3D、さらには手動の測定ポイントを使用した、高性能のデータログ機能が38DLPに標準で搭載され、私たちはとても喜びました」。
38DLP厚さ計は堅牢でポータブルな上、このマッピングされたパイプエルボーのように複雑な形状のインフラ資産にアクセスできます
ニール氏はプロセスがどのように合理化されたか説明してくれました。
「私たちが行う作業の99%は単純な2Dグリッドで、圧力容器、パイプ、プレートの厚さ測定結果をレポートすることが求められます」とニール氏は言います。 「グリッド命名規則(文字と数字の指示書)とプロットスペーシングサイズ(必要な場合)を指定したら、現場で(38DLP上で)2Dファイルを作成し、作業を進めながら厚さ測定結果を厚さ計に直接保存していくだけです」。
ニール氏は続けます。「データポイントを読み取れない障害があるエリアを見つけたら、画面にデータを記録しないで[Save]ボタンを押せば、38DLPは次のポイントに移動します」。
結果:圧力容器に対する最近のUT検査の検証
ARIによる最近の稼働中検査の1つでは、発電所内のヒーター(圧力容器の一種)について、継続的に安全に使用するための持続可能性を評価する必要がありました。このケースでは、圧力容器に大型の注入管が取り付けられており、注入管からの流れが流れ加速腐食(FAC)の原因になります。
つまり、容器の内部は、標準運転による流れによって摩滅します。 発電所が確実に運転を継続できるように、厚さの損失を見つけて評価するのがARIの仕事です。
ARIの検査員が38DLP厚さ計を使用して圧力機器の超音波厚さ検査を実施
圧力容器は設計上、内部からアクセスできません。内部からアクセスできたとしても、劣化は簡単にわからないかもしれません。 上に示したマッピングデータエリアのうち、測定値が記録されていない箇所は、注入ノズルの配置場所です(FACの原因)。
この例で、ARIは広いエリアをカバーするため、150 × 150 mm(6インチ× 6インチ)グリッドを使用して壁厚の損失を示しました。ARIは、GageViewインターフェースソフトウェアプログラムを使用して測定結果をMicrosoft Excelにエクスポートし、Excel内で結果を選択した後、[Conditional Formatting]機能を使用して、厚い順にセルを自動的に色分けします。
次に、ARIはこれらの結果を取得して、同じ資産に対して実施した最終検査と比較し、摩滅率を計算します。エリアに対してさらに評価を行う場合は(結果が許容される損失範囲を超える場合など)、50 × 50 mm(2インチ× 2インチ)のように小さいグリッドを使用して、同じエリアに対して追加の2Dグリッドを実行できます。
ニール氏は次のように説明しました。「データロガーとGageViewを使用して、絵画のように結果を示すこの方法なら、どの関係者が見てもすぐに理解できます」。
予算を超えない効果的な結果
ニール氏は、38DL PLUS厚さ計のコストが結果と同じように効果的であることに気づきました。
「お客様にとって、この(38DLP)厚さ計の最もよい点はコストです。予算を超えずに効果的な結果が得られるソリューションであるためです」とニール氏は言います。「おそろしく高価な劣化検出専用のソリューションをよく見かけますが、38DLPの価格や、単純さと結果の信頼性は、このような用途では見落とされがちです」。
彼は続けます。「大型の機器も、NDT専門員も、上級オペレーターも必要ありません。オリンパス38DLPは、所有する誰もがすぐに、効率的で再現可能な信頼できる方法で結果を取得できます」。