燃料油には入念な検査が必要機械やエンジンのオペレーターにとって燃料油の現場での検査は重要な仕事になっています。世界的に大気汚染の規制が強化されているため、燃料中の硫黄含有量の入念な検査が必要です。さらに、摩耗金属や燃料添加剤の分析は、エンジン故障により発生する費用のかかるダウンタイムをオペレーターが回避するのに役立ちます。 通常、蛍光X線またはXRFと呼ばれるエネルギー分散蛍光X線(EDXRF)はそのような業務によく使用される技術です。簡単に言えば、蛍光X線は試験片の元素組成を測定する非破壊技術です。蛍光X線は従来はベンチトップシステムで行われていましたが、今日では弊社のVanta™シリーズのようなハンドヘルド蛍光X線分析計が一般的に使用されています。 | VantaハンドヘルドXRF分析計は速やかな元素分析や合金の識別を可能にします。 |
実験:ハンドヘルドXRF分析計による燃料油分析
VantaハンドヘルドXRF分析計がオイル試料の各種元素をどれだけ効果的に識別するかを測定するため、実験を行いました。分析計を使用して、オイルスクリーニングのために認証済み基準試料(CRM)サンプル(鉱油ベース)を検査しました。分析用のポリプロピレンウィンドウキャップ付きの100mlプラスチックボトルに2セットの試料を準備しました。
- セット1:摩耗金属および添加剤の分析
- 摩耗金属および添加元素を様々な濃度でスパイク形状にしたCRMの検査
- セット2:硫黄分析
- 10ppm~10,000ppmの硫黄CRM
- ASTM D4294の精度要求を検証
結果
結果として、ハンドヘルドXRF分析計がASTM D4294の精度要求に基づいて、低レベルの硫黄を正しく測定できることが示されました。また、低いppmレベルの様々な摩耗金属および添加元素を検出できることも示されました。これはいくつかのベンチトップシステムに匹敵する性能です。
その他の重要な知見事項は次のとおりです。
摩耗金属および添加剤
- 一般的な遷移金属に概して効果的
- 扱う相対濃縮が高くなるほど、ニッケル、鉄、クロムの相互作用などの元素間干渉を考慮する必要がある
- 分析方法では、検査結果のバイアスを解釈・修正する時に干渉を考慮することが推奨される
硫黄分析
- ASTM D4294の精度要求に準拠して硫黄を励起し、検出するのに効果的
- 新しいIMOグローバルおよびECA規制を十分に下回る測定が簡単にできる
- 主な懸念点は試料の準備およびウィンドウの汚染です
- 1つの指紋で試料ウィンドウに100ppmを超える硫黄が付着する可能性があるため、汚染物質を減らすために慎重な取り扱いおよびクリーニングを推奨
ハンドヘルドXRF分析計を使用した燃料油分析での5つの留意点
最後に、5つの重要な結論は次の通りです。
- 概して、ハンドヘルドXRF分析計は燃料および潤滑油中の複数の関心元素を迅速にスクリーニングすることができます。
- 結果にバイアスがかかる可能性があるため、分析中は干渉を考慮する必要があります。バイアスとドリフトの補正については推奨する方法に従ってください。
- 試料の準備が極めて重要です。特に硫黄などの軽元素の場合、不適切な試料の取り扱いは結果に重大な影響を与える可能性があります(D4294にも警告があります)。
- ハンドヘルドXRF分析計は究極的にはスクリーニングツールです。可能な場合は、ラボ検査にもやはり有効です。
- ベストプラクティスとして、規制に基づく検査を行う際には、常に検査の目標およびリスクの許容範囲を考慮してください。
最新のXRFおよびNDT技術に関する情報を入手するには、インサイトブログを購読してください(未購読の場合)。