セラミックコンデンサーの測定・検査事例
数ある電子部品の中で、コンデンサーはキャパシタとも呼ばれ、電気を蓄積、放出する機能を持った電子部品です。セラミックコンデンサーはセラミックを挟んで正極負極の電極が向かい合った構造となっています。
電極に電圧がかかると蓄電され、電極に交流電源を接続すると放電します。セラミックは誘電体と呼ばれ、蓄電を補助する絶縁体材料として使用されます。積層セラミックコンデンサーは電極と誘電体を多く積層させたセラミックコンデンサーで、電子機器に多数使用されています。例えば、1台のスマートフォンに700個以上使用されているケースもあります。近年、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末の高機能化に伴い、内蔵する電子部品の数が増え、部品の小型化への要求が高まっています。積層セラミックコンデンサーも同様で、小型化がより進んでいます。
セラミックコンデンサーの外形寸法は、国際規格および国際規格に準拠した各国の公的な品質規格で規定されています。それは、セラミックコンデンサーを交換する際、外形寸法に規格を設けておけばどのメーカーのものでも使用できるためです。外形寸法は数mm~1mm未満角が多くを占めます。もちろん規格は外形寸法だけでなく、定格電圧や静電容量、使用温度等においても定められています。
外観状態検査は、例えばクラックがあるとショートの危険性があるため、欠くことのできない検査のひとつです。製造ラインにおいて、外形寸法の測定や外観状態の検査は、一般的に自動検査装置が使用されています。しかし、自動検査装置では短時間で多くのコンデンサーを検査するため、検査ミスを完全になくすことはできません。そこで、顕微鏡やデジタルマイクロスコープを用いた検査の必要性が高まっていますが、従来製品では検査に満足できないという課題がありました。
課題➀:解像力が低いデジタルマイクロスコープ
数mm角のコンデンサーの外形寸法を測定する場合、比較的低倍率での測定となります。その倍率で同時に外観状態を検査した場合、表面の微小な傷、クラックなどを発見できない可能性があります。デジタルマイクロスコープの場合、ズーム機能を用いて倍率を上げることは出来ますが、画像品質は対物レンズの解像力で決まりますので、低倍率レンズで捉えることのできない不具合は、ズームで高倍率にしても見ることはできません。また光学顕微鏡において、対物レボルバーを回転させて高倍率レンズに交換すれば高い解像力が得られますが、レンズを1本しか取り付けることのできないタイプのデジタルマイクロスコープにおいては、レンズを交換する必要があります。
その場合、観察位置がずれたり、フォーカスを再度合わせる必要があるため手間が掛かります。
課題②:光学顕微鏡では観察角度が固定されてしまう
光学顕微鏡ではコンデンサーの上面しか観察できないので、側面に損傷があった場合に見落としてしまう危険性があります。
課題③:高さ計測のできない光学顕微鏡
光学顕微鏡では基本的に高さ計測はできません。専用の測定顕微鏡であれば測定できますが、3D画像を取得することはできません。
デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること
1)対物レンズを簡単に交換可能
対物レンズの交換は、レンズが固定されたアタッチメントをスライドさせるだけのワンタッチ交換方式で簡単に行えます。したがって、低倍率でコンデンサーの外観不具合を検出したのちに高倍率で検査する場合でも、ズーム倍率を上げただけの解像力の低い高倍率画像になったり、レンズ交換により不具合の位置を見失ってしまうことがありません。
DSX1000対物レンズラインアップ |
対物レンズの交換はアタッチメントの差し替えのみ |
2)フリーアングル観察システムにより観察の自由度が大幅に向上
DSX1000シリーズでは本体を傾けたり、ステージを回転させても視野が逃げない設計のため、サンプルをさまざまな角度から観察できます。これにより、コンデンサーの外観観察において死角がなくなり見落としを防ぎます。
3)素早く高解像度でリアルな3D画像を撮影
コントロールボックスのスイッチをワンプッシュするだけで、誰でも簡単に3Dデータを取得できます。データ取得後、3D画像での外観観察および、3次元計測にスムーズに移行できます。これにより、コンデンサーの高さ測定を簡単に行うことができます。
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従来品との画像比較:従来品よりクリアな画像を取得可能 | |
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