車載用ラジエターフィン
アプリケーション:ラジエターフィンのロウ付け接合部の検査
自動車には燃焼運動で発熱したエンジンを冷却させるために、エンジン付近に冷却装置が設置されており、冷却液と呼ばれる液体でエンジンを冷却する水冷法が一般的です。エンジンを冷却して熱を持った冷却液は、ラジエターと呼ばれる放熱器の中で多数のパイプを通過して空気中に熱を放熱しますが、放熱効率を上げるためにパイプにはフィンと呼ばれる放熱板が接合されています。
ラジエターの材料は放熱性の高いアルミ合金が多く用いられますが、ラジエターの構成部品は放熱面積を大きくするために薄く作られています。また、パイプとフィンの接合はロウ付けという方法で接合されています。ロウ付け接合とは、ロウ材と呼ばれる金属を溶かして接合する方法です。ロウ材に用いられる金属は多くありますが、母材より融点が低い金属であることが使用する条件となります。ロウ材は母材の表面を濡らして接合面に毛管作用によって浸透し接合を行いますが、強度が高く、耐食性が良いという特徴に加えて、基材となる板にロウ材を塗って接合加工に用いれば、多数のポイントの接合を一度に行うことが可能となります。したがって、ロウ付けは多数の接合が必要なラジエターフィンには非常に適した接合方法であるといえます。
一方、ロウ付けが剥がれなく正確に行われたかどうかを確認することも品質管理上、非常に重要となります。万が一フィンがパイプとの接合から剥がれた場合、フィンがパイプに刺さって穴を開けてしまい、パイプ内を流動する冷却液の漏洩の原因となります大きな問題に直結する可能性があります。
以上のことから、ロウ付け接合状態のチェックは欠かすことが出来ず、検査方法として顕微鏡が一般的に使用されています。しかし、顕微鏡の観察方法は種類が多いため、不慣れな検査者は適切な観察方法を見極めることが難しいという課題がありました。
デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること
1 適切な観察方法の簡単な選択:マルチプレビュー機能
マルチプレビュー機能を使えば様々な観察方法を一覧で確認することができ、絞りや照明などの調整を装置が自動で最適化するため、だれが選んでも同じ条件で観察することが可能となります。そのため、誰もが簡単にフィンの溶接状態を適切な観察方法で検査することができます。
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明視野画像より明視野コントラストアップ画像はロウ付けの状態がより鮮明に観察できます |
2 幅広い観察倍率による詳細観察の実現
検査すべきポイントを特定した後は操作性に優れた倍率変換機能によって、溶接部解析に適した倍率までスピーディーに倍率変更することが可能です。
コンソールボックスのジョグダイアルを回すだけで10倍までの光学ズームを制御可能です。
光学ズームだけでは解像力が足りなくなった場合は対物レンズを切り替えます。DSX1000はヘッドに最大2本の対物
レンズを同時装着できるため、対物レンズをスライドさせるだけの簡単操作で、瞬時に切り替えることが可能です。
さらに、高倍率の画像、または逆に極低倍率の画像を観察したい場合は、装着されている対物レンズを交換します。
対物レンズの交換はレンズアタッチメントによる瞬間切り替え方式なので、解析に適した倍率の対物レンズをスピーディーに選択することができます。
3 観察方法の瞬間切り替え
コンソールボックスについている観察方法切り替えボタンを押すだけで異なる観察方法を簡単に切り替えることができます。
DIC-微分干渉観察方法による画像(700×) ロウの浸透具合がより強いコントラストで表現されています |