このアプリケーションノートでは、瓶、容器、チューブ、シート、プレート、実験用ガラス器具、電球、ランプ、ガラス内張タンクのガラスの厚みなど、商用ガラス製品の肉厚測定方法について説明します。ガラス材料の測定に推奨されるガラス厚さ計と手順を見ていきましょう。 ガラスの厚さ測定の背景ガラスは安価で、さまざまな形状に鋳造、成形、吹き出しを行うことが可能な極めて万能な工業材料です。高周波音波の伝搬性が高いため、超音波厚さ測定の対象に最適です。ガラスは非磁性でもあるため、ホール効果厚さ計(磁気式厚さ計ともいう)で測定できます。 ほとんどの商用ガラス製品は、その形状から、ノギスやマイクロメーターでの厚さ測定は困難です。しかし、超音波または磁気式厚さ計なら、ほぼすべての商用ガラス製品を容易に測定できます。これらのガラス厚さ計による測定は、ガラスを傷つけることなく、迅速、正確、そして高い信頼性で行えます。 ガラスの厚さ測定に使用する機器ガラス厚さ計には、磁気と超音波による厚さ測定機器があります。これらのガラス厚さ測定ツールの概要を以下に示します。 1. 磁気式厚さ計Magna-Mike 8600ホール効果厚さ計は、開口端からのターゲットボールの挿入が可能で、厚さが約25
mm(1インチ)までのガラス瓶、容器、チューブなどの用途のガラス測定に優れた装置です。
2. 超音波厚さ計39DL PLUSおよび45MG厚さ計(一振動子ソフトウェア付き)などの超音波精密厚さ計は、厚さ範囲が約0.125 mm(0.005インチ)から500 mm(20インチ)までの一般的なガラス製品の測定に使用できます。あらゆる厚さ測定と同様に、超音波厚さ計では試験片の壁内を往復する高周波音波パルスの伝搬時間を測定し、測定したパルスの伝搬時間と校正された材料の音速を使用して肉厚を計算します。 超音波厚さ計は一般的なガラス製品の測定に使用可能です。特にガラスの厚さがMagna-Mike 8600ホール効果厚さ計で測定可能な範囲を超える場合や、試験体の形状によってターゲットボールの挿入が不可能な場合(密閉された電球など)、および極めて高い測定精度(約±0.002 mmまたは±0.0001インチ)が求められる場合に有効です。 39DL PLUSや45MG(一振動子ソフトウェア付き)などの超音波精密厚さ計は、一般的なガラス測定に使用可能なデフォルトの探触子セットアップと共にすべてプログラム済みです。必要なのは、装置の操作マニュアルに記載されているように音速とゼロ点校正だけです。複雑な形状または他の困難な条件が関与する一部の特殊ケースにおいては、カスタム探触子のセットアップが必要になることがあります。例えば、径が小さいために集束水浸測定が推奨される場合です。これらの用途では、Evidentがセットアップをサポートします。 7つの一般的なガラス厚さ測定用途ガラス厚さ計はさまざまなガラス製品の測定に使用されます。最も一般的なガラス測定用途と推奨される機器について、個々に説明していきます。 1. 瓶と容器Magna-Mike 8600ホール効果厚さ計は、ガラス製の瓶や容器の測定によく使用されます。また一方で、超音波厚さ計をM116(20 MHz)などの小径接触型探触子と共に使用して測定することもできます。測定は迅速、簡単で完全な非破壊検査です。 2. ガラス製チューブMagna-Mike 8600ホール効果厚さ計では、ガラス製チューブのどんなに短い部分でも簡単に測定できます。M116(20 MHz)などの小径接触型探触子を使用して、超音波でチューブを測定することも可能です。極めて小径のチューブ(直径が約6.25 mmまたは0.25インチ未満)の場合、音響結合を最適にするためM316-SU F-.75(20 MHz)などの集束水浸型探触子が一般的に推奨されます。これらの探触子は、超音波ビームに対してチューブの向きを維持するために、通常はB-103バブラーと共に使用します。 3. シートとプレート薄いシートやプレート(10 mmまたは0.400インチ未満)はMagna-Mike 8600ホール効果厚さ計で容易に測定できる一方で、厚みのあるガラスプレートは超音波で測定します。この超音波測定を行うには、39DL PLUSまたは45MG厚さ計(一振動子ソフトウェア付き)とM109(5 MHz)やM106(2.25 MHz)などの接触型探触子を使用します。 4. 実験用ガラス器具試験体の形状によってターゲットボールの挿入が可能な場合は、実験用ガラス器具はMagna-Mike 8600ホール効果厚さ計で容易に測定できます。ターゲットボールの使用が不可能な密閉された電球や複雑な形状のものは、通常は精密厚さ計を使用して超音波で測定できます。極めて小径のチューブ(直径が6.25 mmまたは0.25インチ未満)や小さな球(直径が25 mmまたは1インチ未満)の場合、音響結合を最適にするためM316-SU F-.75(20 MHz)などの集束水浸型探触子が一般的に推奨されます。これらの探触子は、超音波ビームに対して試験体の向きを維持するため、通常はバブラーと共に使用されます。 5. 電球とランプ密封されたガラス電球やランプの薄い肉厚は、精密厚さ計とM208遅延材付き探触子(20 MHz)で測定できます。半径が小さな形状の測定には、適切なバブラーと共に集束水浸型探触子を使用すべき場合があります。同じ厚さ計と探触子を使用して、ガラス電球に使用されることのあるプラスチック製の保護コーティングの厚さも測定できます。 6. ガラスコーティング化学用タンクの保護用内張などのガラスコーティングは、通常、超音波で測定できます。ガラス側から測定できれば最も簡単ですが、大抵は内部へのアクセスが不可能で、その場合はガラスの内張を鋼壁越しに測定できます。多くの場合、多層測定ソフトウェアオプションと共に39DL PLUS厚さ計を使用すると、内張とタンクの厚さを同時に測定できます。探触子の選択と装置のセットアップは、測定する特定の材料と厚さ範囲に依存します。詳細は、Evidentまでお問い合わせください。 7. 材料研究弾性係数、残留応力、硬度、密度などのガラスの物性は、多くの場合縦波、横波音速などの音響特性に相関しています。Evidentでは、材料研究に使用可能な超音波装置を各種取りそろえています。例えば、速度計測付き厚さ計、探傷器、パルサー/レシーバーや、接触型、遅延材付き、および水浸型の探触子があります。 |