このアプリケーションノートでは、金属およびプラスチック製小径チューブの肉厚と同心度を測定する方法について説明します。超音波厚さ計の詳細と、小径チューブの測定手順について見ていきましょう。
金属およびプラスチック製小径チューブの肉厚測定
金属およびプラスチック製で直径が3 mm(0.125インチ)未満の細いチューブは、工業用途および医療用途で幅広く利用されています。チューブの肉厚は非常に薄いため、厚さと同心度の製造許容度は厳密であることが一般的です。安全性が重要な製品や医療環境で使用されるチューブでは、肉厚が正しいことが特に重要になります。超音波測定は、従来のチューブサンプルを切り出して厚さを光学測定するプロセスに代わる、高速で非破壊的な手法です。
小径チューブの測定に使用する機器
小径チューブの測定に推奨される機器は、超音波厚さ計72DL PLUSまたは39DL PLUSです。72DL PLUS厚さ計は、薄い肉厚用に高い精度と高い周波数のプローブを提供します。対応例としては、最小肉厚25μm(0.001インチ)の単層または多層のチューブがあります。音響エネルギーを小径の試験片に効率的に結合させるには、音響ビームを非常に小さいスポットに集束させる必要があります。直径が約3 mm(0.125インチ)より小さい場合、通常は、水柱を通過させて音響ビームを集束させる20 MHz集束水浸探触子で行います。探触子は、通常はVノッチバブラーで固定され、チューブサンプルがビームの中心に配置されます。RBS-1再循環バブラーシステムは、卓上水浸測定用のタンク、ポンプ、およびバブラーを固定する便利な固定具です。
金属およびプラスチック製小径チューブの超音波測定手順
特定のチューブ製品に最適な探触子と機器のセットアップは、製品サンプルの初期試験を行った後に選択します。
M316-SU(20 MHz、F=0.75インチ)などの探触子と、バブラ-などの適切な固定具を使用して、39DL PLUS厚さ計をモード3(金属)またはモード2(プラスチック)の測定用にセットアップします。このセットアップでは、最適なエコー検出を行えるようにするため、ゲインとブランキングのパラメーターを調整します。測定可能な最小肉厚は、通常、1.5 mm(0.060インチ)ほどの小径の場合は0.1 mm(0.004インチ)です。
これより薄い肉厚の測定には、72DL PLUS厚さ計を使用してください。Vノッチバブラーを使用する場合は、チューブを回転させて円周全体の厚さを素早く計測して同心性チェックを行うことも、チューブをスライドさせて長さ方向の複数ポイントの厚さを測定することもできます。このプロセスは非破壊的に行えるため、測定のためにチューブから長い試験片を切り出す必要はありません。
以下に示すのは、金属製およびプラスチック製の小径チューブを39DL PLUS厚さ計で測定した標準的な例です。
鋼管:直径1.5 mm(0.060インチ)、肉厚0.15 mm(0.006インチ)
プラスチック製チューブ:直径2 mm(0.080インチ)、肉厚0.37 mm(0.014インチ)