毎日何千人もの人が空を旅する現代において、航空機の安全性が最優先されるのは当然です。 非破壊検査(NDT)機器は、検査員が検査する際、航空機やヘリコプターの部品や構造物を取り外さないと検査しにくい、またはそのままでは検査が不可能であるもののそれらを取り外すことにより、航空機が損傷したり運行寿命が短くなる可能性がある領域を検査することができます。
オリンパスの非破壊検査機器および工業用内視鏡は、以下の3つの方法で航空機の安全性確保に貢献しています。
1. 欠陥の顕在化
多くの航空機部品は、疲労、応力亀裂、腐食、および耐用年数経過後の侵食の影響を受けやすく、たった1つの小さな欠陥が故障の原因となることがあります。 しかし、航空機やヘリコプターのすべての部品を検査員が近づいて目視検査できるとは限りません。 こうしたことから、工業用内視鏡が検査に不可欠なツールとなります。 工業用内視鏡には細くて長い挿入管があり、ジェットエンジンの内部などの検査員がアクセスしにくい領域を遠隔で観察して、欠陥を見つけることができます。 画像と映像の品質は非常に重要となります。 IPLEX NXなどの最新の工業用内視鏡には、HD画像化テクノロジーと暗部を明るく照射するレーザーダイオード照明が搭載されており、検査員が欠陥を見分けやすくなっています。 検査員が欠陥を発見した場合、ステレオ計測機能による計測や長時間にわたるモニタリングを行うことができます。 | 工業用内視鏡を使用したジェットエンジンの検査 |
ただし、欠陥の中には肉眼で見えないものもあります。 亀裂や腐食などの欠陥は、アルミニウム層間のファスナーなどの負荷や応力の接続点で発生し、上層に隠れている場合があります。 このような表面下にある亀裂や腐食の検出には渦流アレイテクノロジーを使用して、検査対象の構造内に磁界を発生させます。 欠陥があった場合、過流の振幅やパターンが阻害されるため、検査院は潜在する欠陥に気付くことができます。 | 渦流アレイを使用した航空機の検査 |
2. 複合材料の接合部欠陥の識別
航空機の製造において複合材料はますます一般的になっており、複合材料の割合が50%を超えるものもあります。 複合材料は軽量で強度に優れるため
接着スキンとコア、および複合材料部品間の接合ラインが中断されると剥離が発生します。 剥離によって複合材料や全体的な構造の完全性が弱くなります。 損傷が結果として表れる剥離であれば、目視で見つけられるものもありますが、そのほかは視覚的に検出することができません。 同様に、複層複合材料が分離すると層間剥離が発生しますが、肉眼では確認することができません。 この問題を解決するためには、信頼性の低い目視検査に代わりに超音波検査やボンドテストを使用します。
接合部の不連続性を検査するには音波を使用します。 例えば、BondMaster 600マルチモードボンドテスターはプローブから低周波のパルス電圧を発します。 不連続性(剥離や層間剥離など)がある場合、プローブによって複合材料部品内の変化が検知されるため、使用不可とする、もしくは修復して使用可能とすることができます。 不連続性が存在しない場合、エネルギー波は伝わり続けて複合材料内に分散されます。 | 複合材料の剥離の検査 |
3. 厚さの測定と腐食の検出
航空機の各構成材料は、安全に運用するために指定された厚さの範囲内でなければなりません。 例えば、航空機のフロントガラスは亀裂や粉砕を防ぐために厚くする必要があります。 通常、航空機のフロントガラスは比較的厚い2つの硬質プラスチック層の間に、薄い軟質材料層が挟まれて構成されています。 フロントガラスに傷が付いても研磨することにより傷はなくなりますが、フロントガラスを安全な厚さに維持することが重要です。
同様に航空機の金属部品の厚さも重要です。 腐食によって薄くなった場合、機体が破断されて航空機内の急速な減圧を引き起こす恐れがあります。 航空機が遭遇する水分や極度な温度差によって、航空機の表面を薄くする腐食が発生する可能性があり、最終的に金属の深刻な孔食や破損を引き起こす恐れがあります。
接合部の欠陥を調べるために使用したものと同じ方法で厚さを測定することができます。 | ファンブレードの厚さの測定 |