エアバッグの開発で、自動車の安全性は格段に上がりました。事故の際にはエアバッグが瞬時に膨らんで、運転手と同乗者の動きをとめるのに役立ちます。
ハンドルの内部にエアバッグが装着されています。エアバッグは成形プラスチックカバーの下に収納されていますが、このカバーは正しく機能する必要があると同時に、見栄えのよさが求められます。この機能に不可欠なのは、カバーのエアバッグ開口部です。
エアバッグの開口部は、一般に幅が1 mm~2 mm(0.05インチ~0.08インチ)、中央の厚さが0.5 mm~1.5 mm(0.02インチ~0.06インチ)です。開口部の断面形状には、両側が平らなものや両側がV字形のもの、片側が平らで反対側がV字形のものがあります。それらの大きさが、開口部の厚さ測定を困難にしています。 エアバッグ開口部は、偶発的破損、改ざん、経年劣化に耐えるように設計する必要があります。エアバッグ開口部の中には、部品に直接成形するものや、レーザーなどのツールを使用して切れ込みを入れて開口部を作成するものがあります。製造後、メーカーは品質管理プロセスの一環として開口部の厚さを慎重に測定し、仕様の範囲内であることを確認します。開口部が正しく機能しない場合、エアバッグは正しく膨らまなかったり、まったく膨らまなかったりします。 | エアバッグは重要な安全性機能であるため、品質管理の一環として開口部の厚さを測定する必要があります。 |
厚さの測定方法
Magna-Mike® 8600厚さ計は、ホール効果という原理に基づいて作動します。ホール効果センサー、ホール素子は、電流が流れると電圧を変化させて磁界の変化に反応します。厚さ計用途では、ホール素子は強力な磁石と共に小型プローブ内に組み込まれます。これによって、ホール素子の周りに磁界が生じます。鋼球などの磁性体は磁界を曲げます。磁性体がプローブに近づくほど、磁界が曲がります。磁性体とプローブの間の距離が変化すると、ホール素子を通る電圧が予測可能な変化を見せます。この電圧の変化を使用して、厚さ値を計算します。この用途では、プローブの先端を開口部の片側で保持し、磁性体を反対側に配置します。プローブと磁性体の間の距離が継ぎ目の厚さを表します。
開口部の形状に合わせて、オリンパスでは特殊なプローブ先端(86PR1-CWC)と磁性体ディスクセット(80TD1と80TD2)を作成し、厚さ測定の正確さを図っています。この用途に使用するプローブは先端が細く鋭い形状で、エアバッグの開口部にフィットするように設計されています。80TD1磁性体ディスクは先端が尖っていて、V字形の開口部にフィットするように設計されています。80TD2磁性体ディスクは先端が角ばっていて、平らな開口部に適しています。 | エアバッグの開口部検査にはチゼルチップ型のウエアキャップが最適です。 |
磁性体ディスク(この例では平らな開口部に設計された80TD2)が開口部の内部に置かれています。 | 厚さ測定を行う前に、Magna-Mike 8600厚さ計を校正する必要があります。校正に磁性体ディスクを使用するときには、磁性体がプローブ先端と正しくそろっていることを確認してください。磁性体がそろっていない場合、測定が正確ではなくなります。 |
測定時には、通常、プローブをエアバッグカバーの外側に置き、磁性体ディスクを内側に置いて、プローブを自由に動かせるようにします。厚さ測定を正確にするために重要なのは、ディスクがプローブ先端とそろったままになっていることと、プローブとディスクがどちらも開口部の表面にしっかり接触していることです。校正と磁性体ディスクの配置を正しく行えば、+/- 3%(またはそれ以上)の精度を期待できます。 | 開口部の厚さの測定 |