Onet Technologies社の試験ラボで、人工的なERW欠陥のあるハーフパイプ試料上にセットされたAxSEAMスキャナーとOmniScan X3探傷器(画像提供:CEM誌)
原子力発電所や石油化学プラントの設計および保守点検サービス業者であるOnet Technologies社の検査員には、持ち運び可能で効率的な超音波探傷(UT)機器が必要です。 複雑なプラント内配管システムを検査する場合は、さらに多機能で小型の機器が望まれます。
Onet Technologies社は、以前からオリンパスのポータブル探傷器OmniScan MX2を使用しています。 しかし、当社のNDT製品スペシャリスト、ブノワ・カビロール氏は、この会社がオリンパスのさらに進んだ技術革新の恩恵を受けられるのではないかと考えました。 昨年の秋、彼はAxSEAM™スキャナーとOmniScan™ X3フェーズドアレイ(PA)探傷器をOnetの研究開発ラボに貸し出し、潜在的な利点を試してもらうことができました。
革新的なツールで溶接部検査員の作業が容易
AxSEAMスキャナーは、主に長手方向のシーム(継ぎ目)を対象とするパイプラインスキャン用に設計されていますが、簡単な調整で円周方向(周溶接部)スキャンにも切り替わります。 AxSEAMスキャナーに、OmniScan X3探傷器 (こちらも先進のトータルフォーカシングメソッド(TFM)イメージング機能を搭載)を組み合わせれば、溶接部検査員の作業が楽になります。
- 4つのフェーズドアレイプローブを取り付けることにより、プローブの切り替えをしなくても、PA、Time-Of-Flight Diffraction(TOFD)、TFM技法を使用して、パイプ溶接部全体を検査できます。
- OmniScan装置のPAチャンネルがカップリングの欠如を検出するとすぐに、AxSEAMスキャナーのScanDeck™モジュールにあるカップリングチェック警告ライトが点灯します。
- 装置の最大データ収集速度を超過した場合、スキャン速度超過の警告ライトも点灯してオペレーターに知らせ、データが欠落するのを回避します。
Onet Technologies社でNDT R&D部リーダーを務めるセリア・シュヴァリエ氏は、AxSEAMスキャナーとOmniScan X3探傷器のセットを使用して、ハーフパイプ試料に対するラボ内試験を実施しました。
AxSEAMスキャナーとOmniScan X3探傷器を使用してラボ試験を行うセリア・シュヴァリエ氏(Onet Technologies社NDT R&D部リーダー)(画像提供:CEM誌)
(画像提供:CEM誌)
以下に示すセリア・シュヴァリエ氏へのインタビューは、 雑誌「Contrôles Essais Mesures(CEM)」の第73号からの抜粋です(フランス語から翻訳)。 同誌で彼女は、テスト時の機器の性能について語っています。
CEM:Onet Technologiesはどのくらい溶接部検査に関わっていますか。
セリア・シュヴァリエ氏:Onet Technologiesは、フランス国内および海外の原子力産業の卓越性に力を注いでいます。 エンジニアリングおよびサービス企業としての私たちの大きなミッションは、原子力産業の関係者が原子力施設の開発、運転、安全条件の維持、さらには解体を行えるようにサポートすることです。
原子力発電所で検査機器を使用する場合、機器にはポータブル性と業界用に設計されていることを求めます。これは、石油化学プラントでの検査で使用する機器についても当てはまります。 OmniScan X3探傷器は、先進的な機能によって、当社のOmniScan MX2探傷器にすぐに取って代わる可能性があります。
CEM:詳しく説明していただけますか。
シュバリエ氏 :OmniScan X3探傷器で利用できるTFMがプラスに働いています。 当社の専門家たちは、溶接部の欠陥を分析するよう依頼されることがあります。 こうした作業では、技術を最大限まで押し広げ、補足的技術を組み込むことが必要になる場合があります。 1台の機器でさまざまな技法を組み合わせることができれば、複数の探傷器を携帯する必要がなくなります。 OmniScan X3のユーザーインターフェースによるガイドに従えば、パラメーターを選択する作業から解放されるところも気に入っています。
「警告ライト...カップリングが良好かどうかを画面に目を向けなくてもわかります」。
CEM:AxSEAMスキャナーは役に立つと思いますか。
シュバリエ氏 :はい。特に一体型の警告システムが便利です。 通常であれば、各プローブのカップリングをモニタリングするために、オペレーターは探傷器の画面を常にチェックしている必要があります。 ScanDeckモジュール上で光る警告ライトはとても実用的で、カップリングが良好かどうかを画面に目を向けなくてもわかります。
CEM:ほかに納得できた機能はありますか。
シュバリエ氏 :AxSEAMスキャナーで気に入っているのは、調整が簡単で速くセットアップできる点です。あるタイプの溶接部から別の溶接部に切り替えなければならない場合に、大きな利点になります。 このスキャナーを使えば、プローブを脱着する負担を軽減しつつ、さまざまな厚さのパイプを検査できるようになります。 AxSEAMは、この調整がすぐ簡単にできるのです。 もう1つ、私にとって重要な機能は、AxSEAMスキャナーに付いているブレーキです。これがあるおかげで、例えばプローブを取り外すときに、スキャナーから手を離すことができます。 レーザーガイドも有用です。
CEM:Onet Technologiesとオリンパスはしばらく協力体制を組んでいましたよね。 どのような関係を築いているのですか。
シュバリエ氏 :Onet Technologiesは長年にわたりオリンパスの顧客となっています。 オリンパス製品は私たちの期待に応えてくれるのでありがたいです。 それに、オリンパスの担当員の方々はアドバイスが的確で、私たちの特殊な要求に沿った専門知識を提供してくれます。 例えば、カタログに載っていない特殊なプローブホルダーを、私たちのためにチームを集めて設計してくれたことがあります。
ここに紹介した機器やオリンパスによる他の非破壊検査(NDT)機器詳細については、https://www.olympus-ims.com/en/all-products/をご覧ください。