当社の鉱業関連のお客様は、リシア輝石などのリチウム含有鉱物が採算のとれる規模で含まれる可能性がある肥沃なペグマタイトの探査に一般的にポータブル蛍光X線分析計(pXRF)を使用しています。しかし、同じような外観の鉱物でもリチウムをまったく含まないものや、葉長石のようにそこからリチウムを抽出するには採算に見合わないものもあります。現場で的確な判断を下すには、採掘しようとするリチウム鉱物の種類を把握することが重要です。
硬岩中に存在するリチウムの効率的な探鉱を支援する目的で、当社はオックスフォード大学の博士候補生であるLot Koopmans氏と共同で、Vanta™ ハンドヘルド蛍光X線分析計を使った代表的なペグマタイト鉱物の同定法を開発しました。この方法は、サンプルの元素組成の測定結果をもとに鉱物を同定し、その名前が分析計の画面に表示されます。これによって、地質学者は十分に情報を得た上でデータに基づく判断を現場で下すことができます。
リチウム採掘と蛍光X線分析計
リチウム鉱物の同定は、探鉱の初期および後期段階と採掘段階において極めて重要な作業です。リチウム開発プロジェクトの価値は、リチウム含有鉱物の種類にとりわけ左右されます。リチウムは、リシア輝石、葉長石、レピドライトなど様々な鉱物の形でペグマタイトに存在します。
ポータブル蛍光X線分析計(XRF)でリチウム含有量を直接測定することはできません。しかし、VANTA ポータブルXRFの新しい機能を活用することで、地質学者は現場で1分もかからずに確信をもってペグマタイトを識別し、効率性の高い意思決定によってプロジェクトを前進させることができます。調査対象の鉱物に関する外観評価を迅速に修正することに役立つツールです。
当社は、次のような最も重要とされるリチウム含有鉱物を同定するための機能を開発しました。
- リシア輝石
- レピドライト
- 葉長石
- アンブリゴナイト / モンテブラサイト
- リチア雲母
- ユークリプタイト
次のようなリチウムを含まない鉱物相も識別できます。
- 石英
- 曹長石
- 微斜長石
- 白雲母
Lot Koopmans氏は、Vantaポータブル蛍光X線分析計を使ったリチウム鉱物の同定を行っています。EvidentのTodd Houlahan(インターナショナル・マイニング・ディレクター)が話を伺いました。
トッド: 自己紹介をお願いします。研究内容についても教えてください。
ロット:私はオックスフォード大学の博士課程でリチウム鉱床、特に硬岩リチウム鉱床の起源と探鉱方法の改良について研究しています。
トッド: リチウムの探鉱および掘削関係者と多くの仕事をされています。これまでに関わった業務について可能な範囲でお話いただけませんか。
ロット: 世界各地で実に多くの企業と仕事をし、まさに初期の未開発段階から生産開始まで鉱業の全段階に関わってきました。その過程で、特に開発の初期段階で気付いたことは、現在もなお鉱業関係者は鉱床に何が含まれているかを正確に知るために苦労しているということです。鉱業の中でもリチウム開発の拡大に伴い、苦労が増してきました。そこで私は、鉱床の含有物や採掘量を増やす方法について企業がより良く理解できるようにサポートに取り組んでいます。
トッド: リチウム鉱石の組成を知ることはなぜそれほどに重要なのですか?
ロット: いい質問です。金などの卑金属とは異なり、鉱床からのリチウムの採掘のしやすさはその鉱石組成によって決定付けられます。1つのエリアに1%の割合で1億トンのある物質が堆積している一方で、別のエリアに全く同量のものが存在しても、その価値は根本的に異なる可能性があります。例えば、リチウムには大きく分けて2つの種類があります。リシア輝石のケイ酸アルミニウムとエチレートです。リシア輝石の方が加工性に優れ、はるかに高い価値が認められています。つまり、同じ量とグレードでより高い価値があるものを手に入れられるのです。鉱物の組成を知ることは投資面でも採掘面でも実に重要です。
トッド: 当社とのこれまでの共同事業についてお話いただけますか?
ロット: ペグマタイトの難しさの1つは、この美しい紫色をしたリピディレート(lipidylate)を除いて、多くの場合にすべての鉱物が白色であることです。いま目にしているものが何であるのかよほど確信がない限り、複数の鉱床に存在する鉱物を同定することは困難です。1度分かるとその後は簡単ですが、最初の同定が鍵となります。そこで、我々はポータブルXRFを使用して特異的な元素組成から鉱物を同定することを試みました。
トッド: これまで順調に進んでいますよね?
ロット: ええ、試料を使ったラボ試験のほか、世界各地の様々な鉱山で実際に採取した試料による試験も行ったところ、非常に良好な精度を確認できました。現場の役に立つ同定法として大いに期待できることが実証されています。
トッド: 業界ではいまだに他のテクノロジーの利用に目が向けられていると感じますか?それはリチウムの存在を示すだけで、鉱床の鉱石組成の理解には役立たないものだと思うのですが。
ロット: 特に携帯型の機器に関しては、多くの準備作業によってあらかじめサンプルを均質化し、すべてのマトリックスの補正を行わない限り、現場用のXRFガンで測定できるリチウム量は、実際の含有量を反映するという点でばらつきがあると思います。ポータブルXRFが評価される点の1つは、元素組成の同定法として信頼性が高く、鉱石組成の同定に使用できることです。リチウム濃度を計算することなくリチウム鉱物の同定が可能です。
トッド: 今後いくつかのイベントでこの手法のデモンストレーションを行う予定ですが、詳しい情報が必要な方は当社またはロットさんにお問い合わせください。
ロット: お待ちしています。採掘関係者の方々とお話できることを楽しみにしています。
トッド: 本日はありがとうございました。
「役立つリチウムパスファインダーメソッド」をご覧ください。
Vantaポータブル蛍光X線分析計を使用したアンブリゴナイト、葉長石、リシア輝石、リチア雲母の同定によるリチウム鉱石の組成分析について、以下の動画をご覧ください。
詳細は、当社または電子メールでロットさんにお問い合わせください。
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