シリコンドリフト検出器(SDD)とPIN検出器のどちらにするかは、ハンドヘルド蛍光X線分析計を購入するときにまず選択しなければならないことです。 例えば、弊社の蛍光X線分析装置には価格が手頃な装置が2種類あり、それぞれに異なる検出器が搭載されています(Vanta Element™分析計にはPIN検出器、Vanta Element-S分析計にはSDD)。
これらの検出器における主な違いについて以下を読み、質問に答えてください。どちらの検出器が必要かを判断するのに役立ちます。
SDDとPIN:違いは何か?
SDDの方が技術的に新しく、PIN検出器と比べて、1秒当たり約10倍の数のX線を計測できます。 SDDでは、PINと比べて、分解能も約40 eV良くなっています。 ただし、SDDの性能の高さは価格アップをともないます。 どちらの検出器が適しているかを判断するには、蛍光X線分析計の使用目的を考える必要があります。 以下に示す2つの重要な質問に答えてください。
- マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)などの軽元素を測定する必要がありますか?
これらの軽元素は、SDDを搭載した装置でのみ定量できます。 多くの人がこれを、PIN検出器ではアルミニウム合金を区別できないという意味だと勘違いしています。 実際には、PIN検出器を使用しても、より重い元素(銅、クロム、鉄など)の含有量に基づいて、いろいろなアルミニウム合金を区別できます。 マグネシウム濃度のみが異なるアルミニウム6061と6063を区別するような微妙な識別では、SDDが必要になります。
- 低いLODが必要ですか?
SDDの検出限界(LOD)は、通常1/3程度になります。 計数率が高いこともあって、SDDはPIN検出器よりも高精度・高感度になっています。
次のステップ:分析計の選択
これらの質問が検出器の選択に役立ったことと思います。これで、適切な分析計の選択に一歩近づきました。
SDDを選択した場合は、価格が手頃で、軽元素検出による合金識別が可能なVanta Element-Sハンドヘルド蛍光X線分析計を検討してください。
高速かつ高精度なこの分析計は、Mg、Al、Siを数秒で識別できます。 この分析計のSDDは、SUS303と似た合金をSUS304と区別でき、アルミニウム6061や6063を1100と区別できます。 この分析計は、廃棄物リサイクル、基本的な成分分析、金属製造、貴金属の測定に適しており、鉄系金属、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、金のカラットを効率的に測定できます。
PIN検出器を選択した場合は、価格が手頃で、合金識別が可能な初心者向けのVanta Element分析計を検討してください。
どちらの分析計を選択しても、Vanta™シリーズのスピード、信頼性、耐久性、接続性、スマートフォンのような操作性において不可欠な特徴は備わっているため、ご安心ください。
以下のような特徴が備わっています。
- IP54に準拠した防塵防水性能
- 落下試験(MIL-STD-810G)に合格(落下に対する保護、高価な修理費の削減)
- Axon Technology™による高速で信頼性の高い検査
- クラウド接続、およびOlympus Scientific Cloud™ との最新式データ共有
SDDとPIN検出器の違いについての不明点や、蛍光X線分析に関する質問は、ご遠慮なくお問い合わせください。 また、分析計の選択に役立つ資料「ご自身に最適な蛍光X線分析計はどれですか?」を必ずお読みください。
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