どのような時、どのような理由で、実体顕微鏡はあなたにとって理想的な選択になるのでしょう
新しい技術は、毎日のようにより小型化した製品を生み出し続けています。では、なぜ実体顕微鏡が必要になるのでしょうか?私たちは、目を凝らして極めて小さなものを見ることがあります。そうしたものの中には大きさがわずか数ミクロンしかなく、1000倍以上の拡大倍率が必要になるものもありますが、多くの場合、我々が見ているものはミリメートルの大きさで、作業を行うには拡大倍率が10~50倍もあれば十分過ぎるほどです。
製造シナリオにおけるステレオ光学系の利点
まず、立体的な見え方について考えてみましょう。私たちは皆、自分の脳が2つの目を使い、それぞれの目が見たものの差異を処理することによって3次元を解釈していることを知っています。あなたはこれを手放したいと思いますか?多くの実体顕微鏡は、ガリレオ式平行光学系を利用しています。この光学系では、2つの独立した平行する光路が単一の対物レンズを通して観察中のサンプルに焦点を合わせ、それぞれの目に肉眼と同じ視差角を提供することによって、肉眼と同じステレオ効果を得ています。
図1:オリンパスSZX7実体顕微鏡に見られるガリレオ式平行光学系 |
なぜこれが重要なのでしょうか?実体顕微鏡で作業するとき、手と目の連携作業には、手とツールを正しい位置に配置するための3次元的な立体感が必要不可欠になります。私たちはこのことを、医療機器メーカーの世界ではっきりと見ることができます。そこでは25名以上の職員が実体顕微鏡のもとで作業を行い、私たちの生命を維持するための製品の組み立てと調整を行っています。ペースメーカーや人工心臓弁のような製品を正確に組み立てるには実際に手にして組み上げていく必要がありますが、我々の目がウィークポイントになります。
実体顕微鏡が、そのギャップを埋めてくれます。私たちはこのことを、電子機器や他の多くの分野でも見ることができます。特に電子機器分野では、多くのオペレーターが小さな電子接続をはんだ付けしています。これらは隣接していてショートしやすいため、ここでも拡大倍率と立体感が重要になっています。
作動距離が大きいほど、より大きなサンプルを観察できるようになる
実体顕微鏡の別の利点は、作動距離が大きいことです。作動距離とは、適切に焦点を合わせたときの、サンプルと対物レンズの距離のことで、非常に大きな構成部品を使ってレンズとサンプルの間に3~4インチの距離を確保することに成功しているメーカーもあります。この距離は対物レンズの拡大倍率によって変わりますが、拡大倍率を必要な範囲内に制限すれば、6インチを超える作動距離も実現可能です。この作動距離は、くぼみを覗き込もうとするときにも有効です。焦点を合わせる領域は表面から数インチ下がっていることがありますが、それでもサンプルの上部が対物レンズに接触することはありません。
実体顕微鏡が理想的と言えるもう1つの例は詳細な検査を伴う大きな構成部品で、これは自動車産業での溶接に見ることができます。車体板は多くの位置で溶接されており、それらがどれだけ確実に溶接されているかを詳細に検査します。サンプルは生産ラインから抜き取られ、溶接を横切る横断面が作成されます。溶接がどれだけ深く金属に浸透しているかを確認することが検査の1つの要素ですが、溶接の小さなくぼみ自体が、ストレスによって将来不具合が生じる可能性を示していることもあります。
多用途の人間工学的観察ソリューション
その他多くの側面が、実体顕微鏡下での作業を業務における適切な選択にしています。数多くの人間工学的改良が行われているため、数時間顕微鏡で作業している間のストレスが減り、より適切な姿勢を保てるようになります。LED照明は、発熱量の低減と長寿命を実現した、より明るい照明を提供します。各種の顕微鏡スタンドオプションを使えば顕微鏡の取り付け方は無制限に広がるため、サンプルをどのような角度からでも見ることができます。これら全ての要素により、実体顕微鏡下で作業することが、あなたの観察ニーズに対する優れたソリューションになるのです。
図2:実体顕微鏡を人間工学的に機能強化することにより、正しい姿勢と長時間にわたる快適な観察が可能になる。 |
図3:ユニバーサルスタンドを使用すると、実体顕微鏡をどのような位置にも取り付けることができる。 |