森林ツンドラ地形における火災後の動態に関するドイツ・ロシアの国際調査の一環として、ロシア北部において極低温土壌(永久凍土)に関する調査が実施されました。 この調査の目的の一つは、ツンドラの火災の影響や規模について理解することにありました。 ツンドラの火災は気候変動の潜在的な誘因となっています。 火災がツンドラの永久凍土を溶かし、温室効果ガスを放出させる可能性があります。 過去18年間で、調査面積全体の20%の範囲に及ぶ火災が18回発生しています。 Vanta™ ハンドヘルド蛍光X線(HHXRF)分析計を使用して、研究者によって火災の影響を受けた土壌と受けていない土壌について、現地での広範囲な分析が実施されました。 地形へのアクセスが困難であることから、VANTAの高い携帯性と耐久性が重要な要素となりました。 | ロシアのPur-Tazovsky地域の調査エリア |
グラフは、VANTAを使用して得られたGM層位と基準パラメータのデータの比較を示したものです(mg/kN)。 ツンドラ土壌に対するVANTAのデータと認定基準(Khrenov 2011)との高い相関関係は、現場におけるHHXRFの優れた可能性を実証しています。 |
永久凍土が溶けると土壌に何が起こるか?
調査結果は、ツンドラの火災が永久凍土中の鉄や、その他の金属の移動に与えた影響は最小限であったことを示しています。 より強力な関係が測定深さとの間で確認されています。 深さが10~30cm増すごとに、鉄の濃度が平均10%増加しています。 火災による永久凍土層の薄化は、火災から30年経った後でも、土壌中の金属分布に事実上影響していないものと思われます。 このような調査結果が永久凍土の溶解と温室効果ガスの排出にどのような意味を持つかは、現時点では不明です。 しかしながら、このデータは今後の気候変動の研究に役立つかもしれません。 HHXRFが人里離れた場所での学術研究を支援Vanta HHXRFの使用は、化学元素全体の濃度の評価においてだけでなく、極低温土壌中の基本的な素反応の調査においても重要なツールとなりました。 遠隔地において短時間で大量のデータセットを収集できることで、研究者によって元素分布や有機物質量などの要素の調査やこれらの要因、深さや火災履歴などの永久凍土の地勢との関連付けを行うことが可能となりました。 | Elena Ryazanova、地質学者、Geoelement LLC、ロシア |