角度測定法において、接触角とは、固体表面とその表面上に置かれた液滴の接線で形成される角度を指します。これは、表面ぬれ性を理解するために表面科学や材料特性で使用される、重要なパラメーターです。 接触角からは、固体表面での液体の広がりやぬれ具合に関する情報が得られます。
接触角に影響する要素はさまざまで、表面粗さ、界面化学、固体と液体の表面エネルギーなどがあります。接触角の違いはさまざまなぬれ挙動を表します。例えば、表面の親水性(小さい接触角、高いぬれ)や疎水性(大きい接触角、低いぬれ)などです。角度測定では、これらの接触角の測定および解析を行います。
接触角の測定に角度測定法を使用する産業
多くの産業では、製品や機器の接触角の測定に角度測定法を使用しています。 以下にいくつか例を示します。
- ナノテクノロジー
- 半導体
- 布地と繊維
- ポリマーとプラスチック
- 殺虫剤
- 石油・ガス
- ハードディスクドライブ
ヤングの式
ヤングの式は、凝集と付着の力の相互作用を表し、表面エネルギーの計算に用いられます。
接触角が90度より大きい液滴は疎水性があります。この状態には、ぬれにくい、弱い付着性、低い固体表面自由エネルギーといった特徴があります。親水性のある液滴は、小さな接触角を持ちます。この状態では、ぬれ、付着性、表面エネルギーが強くなります。
接触角測定値の種類
静的接触角
静的接触角(単純に接触角ともいう)とは、固体表面と接触した液面の接線と、固体表面自体の間の角度をいいます。これは液滴が平衡状態のときに、固体表面上の液滴のぬれ挙動を測定するもので、長時間にわたり液滴のサイズや形に変化がないことを意味します。
接触角は清浄度の評価によく使用されます。有機汚染物質はぬれを抑制し、親水面の接触角を大きくする作用があります。通常、ぬれやすくなるほど接触角は小さくなり、表面が清潔で不純物を排除する処理がなされているほど、表面エネルギーは高くなります。
接触角は清浄度の評価によく使用されます。有機汚染物質はぬれを抑制し、親水面の接触角を大きくする作用があります。通常、ぬれやすくなるほど接触角は小さくなり、表面が清潔で不純物を排除する処理がなされているほど、表面エネルギーは高くなります。静的接触角は表面粗さの影響も受けます。
動的接触角測定とは、動く液滴に対して測定する接触角をいいます。例としては、傾斜板接触角測定、体積加減法、時間依存研究などがありますが、これらに限定されません。
時間依存動的研究
吸収や蒸発、さらには珍しい現象(Cassie状態からWenzel状態への遷移など)を調べるため、研究者によって長時間にわたる接触角の観察が行われることがよくあります。その他の時間依存研究では、環境条件(温度や湿度)の変化に合わせて、接触角が時間を経て変化する様子を調べます。場合によっては、表面張力を増減させる薬品を液滴に加えます。
近年、多くの学者が超撥水への理解を深めるためにCassie状態とWenzel状態の研究をしています。下の図に示すように、Cassie状態では液滴は凹凸の上部にあり、液滴の下に隙間があります。
傾斜板法
傾斜板法では、一般に固体表面を0°~90°傾けながら、液滴の左右両側の接触角を測定します。表面が傾くほど、引力によって下側の接触角が大きくなります。
DSX1000デジタルマイクロスコープによる接触角の測定
コーティング付き木材表面の接触角測定
接触角の測定値は以下のとおりです。
この結果から、接触角値の変化はコーティングによるもので、これは液体、固体、気体の分子間相互作用の相対的な強さの反映と推定できます。
また、未加工のマンゴー材の接触角と、コーティング後の接触角も調べました。
拡張測定機能:表面粗さ
当社のDSX1000デジタルマイクロスコープでは、コーティング前後の木材の表面粗さを測定することもできます。
デジタルマイクロスコープで取得した3D画像から、ラインプロファイルと面粗さの標準的なパラメーター、RaとSaを評価できます。
この内容の一部は、“Olympus DSX1000 Microscope a Contact Angle Goniometer”(原著著者:Gyanesh Singh, Application Specialist at IR Technology Services Pvt. Ltd.)から抜粋されています。原著については、www.irtech.in/uncategorized/olympus-dsx1000-microscope-a-contact-angle-goniometer/をご覧ください。