通常の光学顕微鏡は一般的に、平面分解能はレイリー(Rayleigh)の分解能によって定義される。光学系が無収差であっても、無限小の点を光学系で投影すると、その投影像は回折の影響により、拡がりをもつことになる。その拡がりはPSF(point spread function)と呼ばれ、使用波長と光学系のNA(numerical aperture)で決定され、中心から最初に強度が0(第1暗環)になる半径は0.61×λ/NAとなる。レイリーの定義では、隣り合う2つの点で、1つ目のPSFで第1暗環に他方のPSFの中心が位置する状態をもって、2点の分解能と定義されている。反射型の共焦点レーザー顕微鏡では、その結像原理が通常の顕微鏡と異なり、コヒーレント結像であると考えられるため、レイリーの分解能ではその性能を通常の光学顕微鏡と直接比較できない。このためCTF(contrast transfer function)で評価を行う。CTFは空間周波数に対する像のコントラストを評価するものであるが、MTF(modulation transfer function)と異なり、幅の等しい反射率1(100%)と反射率0(0%)の0と1の矩形波によるコントラストの伝播を評価する。図5はピッチの異なる白黒パターンに対して得られる画像の濃淡をシミュレーションした例であり、ピッチが細かくなるにつれコントラストが低下していくことがわかる。詳細は割愛するが、レーザー顕微鏡は、通常の光学顕微鏡に比べて、カットオフ周波数が劇的に向上する訳ではないが、すべての空間周波数においてコントラストが高い特性を示す。これは同じコントラストで比較した場合、これを得るための空間周波数が高くなることを意味しており、実質的には空間分解能が高い観察が可能になる。レーザー顕微鏡の分解能を向上させるためには、通常の光学顕微鏡と同様に短い波長のレーザーを使用することと、開口数の大きい対物レンズを使用することは当然であるが、原理のみならず製品の完成度も重要な要素である。たとえば光学系の球面収差や、走査機構のジッタ、さらにはピンホールを通過後の光を電気信号として検出するため、電気的なS/Nなどを含め、これらすべてが適正な状態に置かれることによって初めて高分解能観察が行えるのである。
図5: コントラスト比較 | |
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