メインギヤボックス(上図の赤い枠内)
イントロダクション
本稿では、ヘリコプターに使われるメインローター根元に設けられたメインギヤボックス(MGB, Main gear box、上図赤枠内)の内視鏡検査時に発生する、ギヤオイルの付着による画像の劣化と解決策について述べます。
検査の対象/目的
エンジンからの動力を主ローターに伝達するメインギヤボックスの、ギヤやギヤキャリアーに割れや亀裂が無いか内視鏡で確認します。
チャレンジ
メインギヤボックスは、エンジンからの力を受けて駆動する遊星ギヤやギヤキャリアーなどの複数の部品で構成されています。 内視鏡でそれら部品の傷や欠陥を検査しているときに内視鏡先端部がそれら部品に接触すると、部品表面の潤滑用のギヤオイルが対物レンズに付着し、視野を覆って視界が悪くなることがあります。
ソリューション
IPLEXシリーズの直視アダプターは、対物レンズ表面近傍に付着したオイルをすみやかに排出する特殊な構造を備えているため、オイルが付着しても、その都度の清掃が不要になり、検査に集中することができます。 (一部機種を除く)
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付着したオイルが対物レンズの外に排出される様子 |
また、IPLEXの周辺機器の一つであるリジッドスリーブを使うことで、内視鏡先端部が不用意に検査対象物に接触することを避けることができるため、ギヤオイルの付着を低減することができます。 なお、リジッドスリーブはギヤボックスの奥まで挿入する支援にもなるため、検査範囲の拡大にも有効です。
リジッドスリーブ
結論
オリンパスの工業用内視鏡IPLEXは、ヘリコプターのメインギヤボックス検査の課題の一つであるギヤオイルの付着による視界の劣化を低減することにより、検査の効率を向上することができ、ヘリコプターの安全・効率的な運行をサポートしています。
このアプリケーションを実現する商品の特長
- 対物レンズ近傍に付着したオイルを排出するオイルクリアリング構造
- オイル付着を低減し、奥まで挿入しやすくするリジッドスリーブ