車載用集合配管(画像提供 マークラインズ株式会社様)
アプリケーション:自動車用配管のコーティング厚さ計測
自動車にはガソリンや軽油などの燃料供給システムやブレーキシステム、吸排気システムなど多くのパイプが使われています。近年では従来の石化燃料に加え、いわゆる水素燃料自動車の燃料として使われる水素の供給システムでもパイプが使用されています。一般に自動車のパイプの材質は鉄鋼やステンレスが多く使用されています。自動車は寒暖差の大きい気温下で使用される点や、高い湿度のなかで使用されるなど、鉄材料にとって錆や亀裂などが発生しやすい過酷な環境下で使用されるケースが多くあります。また、走行中にタイヤが小石等の異物を踏んで車体下で露出しているパイプに異物があたってしまうという(チッピング)危険性もあるため、従来からパイプには樹脂等をコーティングしていました。コーティングは従来熱収縮で行っていましたが、最近は工程を減らしコストを下げる目的でメッキや塗装で金属や樹脂をコーティングする方法に移行しています。コーティングの厚さはパイプが使用される場所や目的に応じて決まります。
コーティングの品質管理において、規格値通りの厚さの確保や、厚さのバラつきチェックという厚さの管理が非常に重要となります。コーティングは必要最小限の厚さで行われるため、umレベルの厚さであることが多くなります。そのため、厚さの測定は顕微鏡的方法で行われることが一般的です。しかし、パイプの外径は数cmのタイプが多く、顕微鏡対物レンズの1視野に収まりません。したがって、パイプの断面全体を俯瞰して、任意の位置のコーティング厚さを測定するには、顕微鏡画像を貼り合わせ処理で結合させてパイプ断面全体を1つの画像にする方法しかありませんでした。しかし、貼り合わせ画像は画像のあり合わせのズレや色ムラなどが発生してしまい、測定したい箇所を特定することが困難な画像になってしまうということも多く発生していました。
貼り合わせムラのある画像例
デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること
① 複数の画像を1つの画像に結合させる高度な画像貼り合わせ機能
DSX1000は画像を貼り合せても、従来のような貼合わせ位置のズレや色ムラが発生しないように、パターンマッチングやシェーディング補正のアルゴリズムが大幅に向上しています。そのため、パイプ断面のクリアな貼り合せ画像を取得することができます。
パイプのように空洞のあるサンプルでは、画像として必要としない部分が多いため、ステージを動かしてパイプ断面の範囲だけを短時間で撮影できます。さらに、貼り合わせズレや色ムラなどが全くないクリアな画像を取得できます。
② 全体画像から任意の位置を選択して測定
パイプ全体画像から任意の位置を選択して、その位置を拡大した測定を簡単行うことができます。 |
パイプ断面を俯瞰して、気になる部分を選択、拡大してコーティングの厚みを同じGUI上で簡単に測定することができます。 |
③ 繰り返し性と正確さが保証された信頼性の高い測定データ
測定データは、近似の値が何回測定されたかを示す「繰り返し性」と、どれだけ真値に近いかを示す「正確さ」という2つの指標で評価される必要があります。DSX1000の測定データは「繰り返し性」と「正確さ」の2つについて、国家標準につながるトレーサビリティ体系に準拠してダブルで保証しています。したがって、安心して測定データを活用していただけます。
「繰り返し性」と「正確さ」のダブル保証