集電体(左:アルミ 右:銅)
アプリケーション
リチウムイオン電池の電極の集電体は、正極にはアルミ、負極には銅がその材料として一般的に使用されています。リチウムイオン電池の充放電時に集電体と活物質との間で電子の移動がおきます。その際、集電体と活物質界面との間で接触抵抗が大きいと、電子の移動が十分行われなくなり電気容量が低下してしまいます。そのため、活物質など電極材の種類によっては、集電体表面に適度な粗さを形成させて、活物質との抵抗を下げるケースがあります。
その場合、集電体表面形状の測定を行い、適正な形状であるかを管理する必要があります。表面形状測定は面で、測定範囲はできるだけ広いほうがデータの信頼性は高くなります。しかし、従来の接触式粗さ計測装置では線でしか測定できず、金属箔にキズをつけてしまうなど、正確に測定するには困難なことがありました。
オリンパスのソリューション
オリンパス3D測定レーザー顕微鏡LEXTによる計測
商品の特徴
(ア) 非接触で測定しますので、集電体に使用される金属箔のような剛性の強くない被検物でも接触式粗さ計のようにキズをつけることがありません。したがって、キズによるデータの誤差が生じる危険がありません。
(イ) LEXT専用対物の採用により、視野の中心部だけでなく周辺部も正確なデータを取得で各データを平面方向に貼り合わせることにより、広範囲のデータを取得することができます。
(ウ) 貼り合わせた全範囲のデータの正確さも保証していますので、従来の測定方法より集電体の表面形状をより高精度に取得することができます。
(エ) 300mmX300mmの駆動範囲を持ったステージがラインアップされており、車載用電池などで用いられる集電体のように広い面積の被検物でも、顕微鏡用に加工することなく測定することができます。
負極集電箔
負極集電体銅箔粗さ測定画面例
オリンパスのLEXTは、レーザー顕微鏡として、同一視野内で試料からの反射情報(輝度画像)や高さ情報(高さ画像)が同時に取得できる他、通常の光学顕微鏡として明視野観察も可能です。鮮明な輝度画像と高分解能な高さデータの双方から材料の表面状態を観察すると共に、非接触かつ面で表面形状や、粗さを定量評価することが可能です。また、3D画像として視覚的に形状観察することも有効です。画像を観察することによって実際の表面質感も認識することができます。