コネクティングロッド
アプリケーション:コネクティングロッドのスリット幅計測事例
コネクティングロッドはシリンダーブロック内のピストンの上下運動を、クランクシャフトの回転運動に変換させる非常に重要な役割を果たしています。コネクティングロッドは略してコンロッドとも呼ばれており、車を動かすための重要なパーツの一つであり軽量且つ頑丈さが求められ、材質には、クローム鋼、クロームモリブデン鋼、ニッケルクロームモリブデン鋼、チタン合金などが用いられます。
クランクシャフトと連結される部分はビッグエンドと呼ばれ、クランクシャフトと接続するために、2分割できる構造になっており、分割されたユニットはロッドとキャップと呼ばれています。
ロッドとキャップはコンロッドボルトというボルトで接続されますが、ボルトが緩んでロッドとキャップが外れないようにボルトの締め付けトルクと締め付けた後の結合部のスリット幅には製品別に規格値があります。
ロッド(下)とキャップ(上)
スリット幅が規格値内であれば結合部が確実に固定されるため、1分間に数千回という激しい回転運動でもロッドとキャップが外れることはありませんが、万が一、規格値外であった場合は大問題につながりかねません。
そのため、スリット幅の異常の有無を高精度で計測することは品質管理上極めて重要であるため、顕微鏡やデジタルマイクロスコープでの高精度な計測が行われています。
しかし、スリットを測定できるレベルまで拡大すると、視野が狭くなりスリット全体を観察することができず、異常ポイントを見つけ出すことが困難となります。また、低倍率で全体を観察すると、レンズの解像力が低くスリットをクリアに観察できないケースがあります。
オリンパスのデジタルマイクロスコープDSX1000シリーズは、従来の顕微鏡やデジタルマイクロスコープの課題を解決しスリット幅の高精度測定を実現します。
デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること
1 高い解像力を持った専用低倍率対物レンズ
コネクティングロッドのスリット全体を俯瞰できる低倍率対物レンズに、解像力の高い専用対物レンズをラインアップしました。スリット全体をクリアに観察することによって、適切なスリット幅の測定ポイントを決めることができます。
超長作動距離低倍率対物レンズSXLOBシリーズ
2 高倍率と広視野を同時に実現できる画像貼り合わせ機能
コネクティングロッドのスリット幅を測定するには高倍率の対物レンズを用います。一視野の画像範囲は狭くなりますが、DSX1000では測定したい範囲の高倍率画像を高品質に短時間で貼り合わせることが可能です。
スリット部を拡大して貼り合せた画像(140×)
測定すべきポイントがすぐにわかります。
3 自動エッジ検出機能によるコネクティングロッドのスリットのエッジ自動検出
測定者がエッジを自分で判断するとエッジの位置にバラつきが生じる可能性がありますが、自動エッジ検出によってバラつきが排除され、誰が測定しても同じ測定結果を得ることができます。
自動エッジ検出機能を利用したスリット幅計測画面(700×)
緑色の枠で囲ったエリア内でスリットのエッジは自動的に検出されます。上記画像の場合、検出されたスリット両端のエッジがオレンジ色のドットで表示され、ドットで挟まれたスリット幅の平均値がこの場所のスリット幅として認識されます。また、緑色の枠の幅、長さは任意に設定することが可能です。