数々の車載向け鍛造製品
アプリケーション:鍛造品のメタルフロー解析
金属の加工方法は目的、製品に応じてさまざまな種類があります。その中で鍛造は代表的な加工方法の1つでありハンマー機械やプレス機械で金属材料に強い圧力をかけて成型加工します。溶かした金属を型に流し込んで加工する鋳造加工や、刃物で金属を削って加工する切削加工に比較して製品の強度が高いという特徴があるため、特に強度が必要な製品が鍛造で加工されています。例えば、身近にある包丁やナイフ、また、自動車や産業機械で使用されるギア、バルブ、コンロッド、クランク軸なども鍛造品です。
金属に力を加えると金属組織の結晶がつぶれて方向性を持ち、線形状の流れとなります。これをメタルフロー(または鍛流線、ファイバーフロー)と呼びます。鍛造加工は製品形状に沿って連続したメタルフローが形成されるために、加工品の粘性が高くなり、外部衝撃への耐性が強くなります。
鍛造品の品質管理では、製品の強靭性に影響するメタルフローが正しく形成されているかどうかを観察する必要があります。メタルフローは一般的に顕微鏡的方法で観察されます。しかし、広い範囲を観察するため、低倍率で観察するか高倍率の画像を貼り合わせて広範囲の画像を作成するケースが多くあります。しかし、従来は以下の2つの課題がありました。
課題1:低倍率ではレンズの解像力が弱くてメタルフローの形状をはっきりと見ることができませんでした。
課題2:従来の画像貼り合わせ機能では位置ずれや色ムラなどが発生することがあり、必ずしも質が高いとは言えない画像が多くみられました。
色ムラのある貼合わせ画像
デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること
1 解像力の高い専用低倍率レンズをラインアップ
大きいサンプルの場合、事前に観察箇所のあたり付けを行います。
その場合、低倍率で全体を俯瞰する観察を行いますが、オリンパスのデジタルマイクロスコープDSX1000シリーズは低倍率レンズで高い解像力を持った専用対物レンズを採用しているため、低倍率ながらクリアな画像で、どの部分を観察対象にするべきかすぐに判断することができます。
専用低倍率対物レンズSXLOBシリーズ
低倍率対物レンズ(1×)で全体を俯瞰します
サンプル:エンジンバルブヘッド部断面
2 高品質画像を提供する自動貼り合わせ機能
貼り合わせの枚数や、長さ,始点終点を入力するだけで自動撮影を行います。また、高精度なパターンマッチングやシェーディングの補正を行うため、高品質な貼り合せ画像を取得することが可能です。
高倍率画像(140×)の画像を自動で貼り合せた画像です(縦6枚、横17枚)
貼り合せ画像の継ぎ目は全く見えず、製品全体をクリアに観察できます
3 フルフォーカスの画像が作成できる高機能な画像貼り合わせ機能
エッチングを施した樹脂埋め込みサンプルは平坦性を確保することが難しく、特に高倍率は焦点深度が浅いため、 離れた位置でピントがずれることが多くあります。貼り合わせ画像でも同様で、ピントの合うエリアと合わないエリアが1つの画像に混在することがあります。DSX1000シリーズはGUI上の全ポイントAFアイコンをクリックするだけで、全ての撮影ポイントでフォーカスを合わせながら貼合わせ画像を作成することが可能です。
4 高画質な拡大画像
貼り合わせ画像は貼り合せた1枚1枚の画像がもともと高画質なため、画像の一部を切り取って拡大しても、まったく画質の劣化はありません。