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考古学的分析および美術品の鑑定・保存に使用される、ポータブル蛍光X線分析


考古学的分析および美術品の鑑定・保存に使用される、ポータブル蛍光X線分析
絵画などの美術品の調査にDELTAを使用すれば、データをスペクトルや組成として表示することができます。

概要

エックス線は、古くから美術品の調査に使用されてきました。

ウィルヘルム・レントゲンはエックス線を1895年に発見したときの実験で、レントゲン夫人の左手のX線写真を撮っています。フィルムには指輪がはっきりと写っていました。

もちろん、エックス線技術は、初期の実験から飛躍的に進化しています。現在では、歴史的に貴重な作品の定性分析や定量分析を幅広く行うことが可能です。しかし、そうした分析作業ができる場所は研究室に限定されていることが多く、作品を研究室まで運ぶ必要があります。そのために改変されたり、場合によっては破損することも少なくありません。持ち運び可能な蛍光X線分析システムを使用すれば、作品を現場で即座に分析できるので、改変や破損は回避できます。

これまで、持ち運び可能な蛍光X線分析システムは、土壌の金属を現場ですぐに測定する環境調査や、工業用合金の測定の目的で使用されていました。最近になってようやく、古学的分析の現場で非破壊分析ツールとして使用されるようになってきました。

美術品の保存作業では、最新の分析技術から得られる構造的・組成的情報を利用し、美術館の作品や歴史的なモニュメントの修復および維持が行われます。また、考古学的分析では、最新の分析技術を利用し、材料の組成、起源、技術、信ぴょう性、年代の調査が行われます。

オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計は、現場での分析向けに、取り扱いが難しい放射性同位元素の代わりにX線管を使用した画期的なシステムです。また、豊富な機能のソフトウエアにより、出荷時の校正を確認することができ、ユーザー独自の検量線を作成することもできます。

DELTAにオプションのカメラ/コリメーターを組み合わせると、貴重な作品の小さな領域を調べることができます

DELTAにオプションのカメラ/コリメーターを組み合わせると、貴重な作品の小さな領域を調べることができます。

金属考古学

金属考古学では、文化的価値のある金属製品の分析が行われます。調査対象は、宝石のような小さなものから、世界初の戦闘用潜水艦ハンリーのような大きな外航船までさまざまです。

1863年にアメリカ南部連合国によって建造されたハンリーは、USSフーサトニック号をチャールストン港(SC)の沖合で攻撃して沈めました。しかし、ハンリーは処女航海から帰還することはなく、そのため「鉄の墓」と呼ばれることもあります。ハンリーは、発見された2000年8月にチャールストンの岸に引き上げられ、その維持・保存作業が行われました。維持作業では、ハンリーのさまざまな部品の冶金を正確に識別することが重要な要件となっており、オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計はこの作業で採用されました。最先端のソフトウエア、複数のフィルタオプションによる多用途のX線分析、新しい元素や新しい合金品種の追加機能、ジョブに特化した微調整校正機能を備えているからです。オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計は、文化遺産特有の課題に必要な性能、可搬性、多用途性を提供します。

青銅器時代:銅を主成分とする合金の分析

蛍光X線分析は、鉄器時代の比較的後期に作られた金属についての手掛かりを提供するだけでなく、それよりもはるか以前の青銅器時代に作られた金属についての疑問にも答えます。

一部の青銅製品は、単純に2種類の成分から成る銅基合金ですが、多くはさまざまな成分を含んでいます。成分の種類と濃度の両方またはどちらかが判れば、青銅製品の組成、起源、技術、信ぴょう性の特定に役立ちます。

青銅器時代に一般的に生産されていたガンメタルや有鉛ガンメタルなどの銅を主成分とする合金は、Sn/Pbが1~15%、Znが最大28%、そして残りがCuという組成でした。Sbなどの微量元素は、原料鉱石に含まれる不純物を示している可能性があり、青銅製品の起源に関する情報を提供する場合があります。

青銅器時代:銅を主成分とする合金の分析

Znの含有量が28%を超える場合や微量元素が存在しない場合は、青銅器時代より後の時代のものと判断できます。銅を主成分とする合金は、蛍光X線分析で簡単に分析することができます。合金内の検出限界は、元素や試料マトリクスによって異なりますが、0.1~0.5%です。図1では、2種類の異なる青銅合金の蛍光X線分析によるスペクトルの重ね合わせを示しています。

2種類の異なる青銅合金の蛍光X線分析によるスペクトルの重ね合わせ

絵画・美術作品:鑑定・保存のための蛍光X線分析

絵画・美術作品:鑑定・保存のための蛍光X線分析

すべてのものは見かけ通りのもの、人から聞いた通りのものであるとは限りません。絵画や美術品の信ぴょう性に疑いがある場合、調査が必要です。蛍光X線分析では、顔料の分析によって、また陶磁器や塑像であれば主要材料の分析によって、その信ぴょう性の判断に必要な情報を提供できます。

そもそも、使用される顔料は、時代、場所、芸術家によってさまざまです。つまり、顔料の材料も、芸術家、地域、時代によってかなり異なる可能性があるということです。

顔料を蛍光X線分析で測定することにより、時代、場所、芸術家に対する疑問点が解決します。分析で得られた情報が、その芸術家の顔料の材料の特性について知られている情報と一致しなければ、贋作(がんさく)と分かります。陶磁器や塑像であれば、主要な材料について同じことが当てはまります。また、鑑定調査から得られる情報は、作品の修理や修復にも使用されます。保存管理者がオリジナルに近い材料を作ることができるからです。

たとえば、左の絵画は、16世紀にベニスで描かれたマグダラのマリアの肖像画であると考えられています。使用されている顔料の蛍光X線分析を行うと、その信ぴょう性を判断できます。絵画の裏面の四隅の赤い封ろうの成分からも、蛍光X線分析で出所や所有者の手掛かりを得ることができます。

顔料は、蛍光X線分析で簡単に分析することができます。顔料内の検出限界は、元素や試料マトリクス(母材)によって異なりますが、0.01~0.1 mg/cm2です。図2では、2種類の異なる絵画の顔料の蛍光X線分析によるスペクトルの重ね合わせを示しています。

図1)Cu、Zn、Pb、Snの含有量が異なる2種類の青銅合金のスペクトルの重ね合わせ。PbからSnのピークの10~30 keVのスペクトル領域を示しています。

Cu、Zn、Pb、Snの含有量が異なる2種類の青銅合金のスペクトルの重ね合わせ

まとめ

オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析技術は、芸術的、考古学的、歴史的に重要な作品を、現場で、すばやく正確に測定することを可能にしました。調査で集められた情報は、作品の修復・保存に利用したり、組成、起源、技術、信ぴょう性、年代の情報を得るために使用することができます。

調査対象の物質には、金属、青銅、その他の合金、硬貨、宝石、武器、陶磁器、ガラス、塑像、宗教用具、絵画の顔料、人工遺物などさまざまなものがあります。オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計は、それぞれの課題に対応できる、優れた精度と検出感度を備えています。

オリンパスは、美術品の保存や考古学的分析に重要な元素の20~25種類を同時に分析できます。

Olympus IMS

应用所使用的产品
学術研究用ハンドヘルド蛍光X線分析計DELTAは、MgからU、PPMレベルから100%の濃度の元素分析を行います。 スピードが重要で材料が運搬不可の場合や、ダメージや改変を与えることができない場合でも、その場で25種類以上の元素を分析し、すぐに分析結果が得られます。 校正モデル、複数スペクトル表示、オプションのPCやアクセサリーで新たなレベルの学術研究に対応しています。
シリコンドリフト検出器(SDD)と4WのX線管を統合したDELTA Professionalは、分析速度、検出限界、および元素範囲において優れた性能を発揮します。 合金および鉱石のマグネシウム(Mg)以上を分析します。 DELTA Professionalは、オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計においてコストパフォーマンスがより高いソリューションです。
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