Vantaハンドヘルド蛍光X線分析計によるプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)の分析
有用性
Vanta™ハンドヘルド蛍光X線分析計は、触媒コンバーターに含まれるプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を素早く正確に測定できます。 これらの金属は極めて貴重であるため、正確に識別することが不可欠です。
経済性
商業的に見て、白金族金属(PGM)のリサイクルが可能であれば新たな需要に応えやすくなります。 白金とパラジウムの需要の半分以上、そしてロジウムの需要の大部分は、自動車の触媒コンバーターによって占められています。 触媒に含まれるPGMを識別することは、リサイクル業者が触媒に正しく価格設定するために欠かせません。
触媒コンバーター内部のセラミックハニカム構造には、Pt、Pd、Rhを含むウォッシュコートが塗装されています。 触媒コンバーターの性能を上げるため、その他の元素が含まれる場合もあります。
触媒コンバーター内部のセラミックハニカム構造には、Pt、Pd、Rhを含むウォッシュコートが塗装されています。 触媒コンバーターの性能を上げるため、その他の元素が含まれる場合もあります。
Pt、Pd、Rhの濃度の正確な測定に加えて、Vanta分析計では一般的にウォッシュコートに付加されるその他の元素に対応します。 オリンパスの蛍光X線分析計は、触媒材に添加して貴金属の含有値を高く見せかける可能性がある元素検出にも対応し、不正防止に貢献します。
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信頼性のある検査結果
検査対象の標準試験片は、一定寸法になるように粉砕、乾燥、ふるいにかけられ、均質化されてから、4 µm Prolene®フィルム付きの容器に入れて分析計にかけます。 正確で代表的な結果を得るためには、試料を下準備する必要があります。 セラミックハニカムの表面を分析しようとすると、誤った結果が生み出される恐れがあります。
VantaモデルVLW、VCW、およびVCAについて、30個の試料を1回あたり60秒間検査しました。 その結果、すべてのモデルで優れた相関が見られました。 この相関は、試料が広範なその他の元素を含む多様な基材から構成される場合でも同様でした。 VLWの結果を以下に示します。
VantaモデルVLWはPtの認証値との優れた相関を示しています。
VantaモデルVLWはPdの認証値との優れた相関を示しています。
VantaモデルVLWはRhの認証値との優れた相関を示しています。
精度
モデル間の最も大きな違いは、読み取り値ごとの不確定値、つまり精度です。 VLWモデルには費用効果が高いSi-PiN検出器が搭載されており、2つのCシリーズモデルに比べて計数率が低くなっています。 検査結果はそれに応じて不確定(+/-)値が大きくなります。 VCWモデルとVCAモデルに搭載のシリコンドリフトディテクター(SDD)は、高い計数率と、低い不確定値を備えています。 検査結果は、VCWがVCAより優れた精度を持つことも示します。 これは、VCWモデルのタングステンアノードがVCAモデルの銀アノードよりも優れた励振を持つことに起因します。
VLW | VCW | VCA | |||||
試料 | 元素 | 測定値 | +/- | 測定値 | +/- | 測定値 | +/- |
1 | Pt | 739 | 32 | 751 | 9 | 747 | 11 |
Pd | 1027 | 19 | 1030 | 6 | 1015 | 8 | |
Rh | 210 | 10 | 217 | 3 | 209 | 5 | |
2 | Pt | 1742 | 45 | 1778 | 13 | 1752 | 16 |
Pd | 773 | 15 | 772 | 5 | 745 | 6 | |
Rh | 197 | 9 | 204 | 3 | 189 | 4 | |
3 | Pt | 251 | 29 | 261 | 8 | 298 | 11 |
Pd | 4837 | 100 | 4944 | 31 | 4821 | 37 | |
Rh | 857 | 24 | 839 | 7 | 846 | 10 |
利点
Vanta分析計は、下処理された自動車触媒試料に含まれるPt、Pd、Rhの量を測定するための優れたツールです。 白金族元素の値が高いと、これらの元素が商業的に重要であることを正確に判別できます。
VCWは最も精度が高く、自動車触媒の分析に最適なモデルです。 VCAは、軽量元素の合金分析も希望するユーザー向けの優れた分析計です。 VLWは、自動車触媒に含まれるPt、Pd、Rhの基本的な分析を行うための費用効果が高い優れたツールです。