用途
高圧送電線の複合絶縁体におけるシリコーンスカートとコンポジットコアとの接着部に欠陥が存在しないことを確認。
背景
電力送電線や電車への給電線に使用される高圧鉄塔では、ガラスまたはセラミックを基材とする絶縁体がこれまで使用されてきました。しかし、重量や耐久性、環境性能などの観点から、より多くの利点を持つ複合材料による絶縁体への切り替えが進みつつあります。 複合材料の絶縁体は、金属製端部金具でブラケットされ、シリコンゴムの層でコーティングされた、繊維強化ポリマー(FRP)による複合材料のコアから構成されます。 接着が不完全であるとフラッシュオーバー発生の原因となるため、適正な電気性能を引き出すためには、シリコーンとFPRをうまく接着することが非常に重要です。 超音波探傷器は、製造時または使用中のこのような接着部の完全性を迅速に非破壊で検査することができます。
機器
オリンパスの探傷器EPOCH®シリーズ(EPOCH 650やEPOCH 6LTなど)を、この検査に使用することができます。探傷器に加えて、V112-RM(10MHz、直径 0.25インチ/6.25mm)のように小さな直径を持つ直接接触型探触子を使用すれば、フレア加工されたスカートの間にもフィットします。
手順
2つの材料間の境界から反射されるエコーの極性または位相は、材料の相対的な音響インピーダンス(密度 × 音速)により異なります。 第一の材料が第二の材料よりも大きな音響インピーダンスを持つ場合にエコーが負極性を示します。 第一の材料の音響インピーダンスが第二の材料よりも小であるとエコーは正極性を示します。 シリコーンの音響インピーダンスはガラス繊維の音響インピーダンスよりも小さいのですが、空気よりは大きな値を示します。 したがって、シリコーン/FRP接着接合部は正極性のエコーを返しますが、それが剥離してシリコーン/空気境界が発生すると負極性のエコーを返します。 この検査では探傷器をRF表示モードに設定します。 まず、シリコーン/FRP境界からのエコーがどこに現れるかを調べ、それが画面中央に表示されるように調節するとともに、エコーが画面高さの80%程度となるようにゲインを設定します。 表示パターンは、次のようになります。
密着した接着部の場合、正極性ピーク | 剥離した接着部の場合、負極性ピーク |
シリコーンコーティングの肉厚と同心度のいずれか、または両方が重要である場合は、機器をシリコーンの速度(代表値:1.48mm/µs、0.058インチ/µs)に合わせて校正し、エコーに測定ゲートを被せることによって両者を同時に測定することができます。