航空機の運航と保守を担う企業にとって、航空エンジンの重要部品の検査は、定期的に行う予防保全手順のひとつです。こうした手順を整えるのは、航空機の正常な作動を確認するためだけでなく、飛行の安全性を確保するためでもあります。
旅客機のターボファンエンジンのサイズはさまざまで、国内線ジェット機に見られる小型タービンエンジンから、国際線旅客機の大型タービンエンジンまであります。各エンジン内部には、タービンブレード、コンプレッサーブレード、燃焼室など、検査すべき構成部品がたくさんあります。正確な検査結果が求められることから、エンジンやその内部部品を完全かつ確実に検査できるツールを使用することが重要です。エンジンを分解せずに行う必要もあります。
確実な航空エンジン検査に求められる適切なビデオスコープ
航空会社の検査員は、さまざまな非破壊検査(NDT)法に精通している必要があり、多用途に対応する使いやすい検査機器が不可欠です。前回のブログでは、ビデオスコープ検査がフライトの安全性強化にどのように役立っているかについて取り上げました。今回は、あらゆるサイズのターボファンエンジンの確実な工業用内視鏡検査(RVI)を促進する、IPLEX™ NXビデオスコープの高度なテクノロジーについて詳しく見ていきます。
いくつかの国内航空会社がPLEX NX工業用ビデオスコープを購入し、日常的な検査を行っていますが、全体的に肯定的なフィードバックでは、以下の4点について触れていました。
- 高解像度(HD)画像
- 高速かつ正確な計測
- 高い信頼性と耐久性
- 当社の優れたアフターサービスと短い製品保守サイクル
これらの領域におけるNXモデルの性能について、すべてのユーザーが満足していました。以下で説明する高度なテクノロジーは、このリストの最初の3項目に寄与しています。
航空エンジン内部の欠陥検出を容易にする4つのテクノロジー
Evidentの高度なビデオスコープテクノロジーのおかげで、潜在的な欠陥を検出しやすくなり、航空エンジン内部の亀裂やその他の欠陥をはっきりと観察できます。
この用途で特に役立つ4つのテクノロジーを以下に挙げます。
1. 高輝度レーザーダイオード照明
見えないものを撮像することはできません。エンジン内部は非常に暗いです。当社のレーザーダイオードテクノロジーにより、照明輝度は白色LEDの5倍以上になっています。この高度な狭帯域レーザーテクノロジーとHDレベルの電荷結合素子(CCD)センサーが組み合わさり、微細な部分さえ明らかになることで、画像解像度が上がり、バッテリー稼動時間が最適化されます。
当社のレーザーダイオード照明システムで得られる輝度を、下のビデオでご覧ください。
2. PulsarPic™画像プロセッサーとWiDER™画像処理ソフトウェア
IPLEX NX工業用ビデオスコープは、照明系をインテリジェントに最適化するPulsarPic画像プロセッサーを搭載し、均一な光度と増強されたゲインが実現します。
特許取得済みのWiDER画像処理テクノロジーでは、ハイダイナミックレンジによる画像が得られ、暗い領域は明るく、明るすぎる領域は露出を低減します。シャープネス調整機能によって、鮮明な高解像度画像がリアルタイムでディスプレイに表示されます。
この2つのテクノロジーが連動して、細かい亀裂、孔食、欠損材料などの欠陥がはっきりと映し出されます。
腐食のより正確な識別と計測
腐食をモニタリングするときには、ビデオスコープの色温度調整を使用して、色合いの似た微細な腐食領域を見分けたり、3Dモデリングツール(後述)で正確な腐食計測を行ったりします。NXビデオスコープには、航空業界で求められるチャンネル内蔵型キャプチャーソリューションも付属しています。
3. 超広角表示から短作動距離光学アダプターまで
航空エンジンの検査時には、対象となる部品や場所に応じて観察要件が変わる場合があります。例えば、燃焼室内部の観察には広い視野角が必要です。一方で、エンジンの狭い領域にある高圧タービンやコンプレッサーなどでは、挿入管先端部に最小限の空間しかないため、視野角が狭く作動距離の短いレンズが必要になります。
IPLEX NXビデオスコープで得られる超広視野を下のビデオでご覧ください。
IPLEXシリーズの光学アダプターには、光学系設計における1世紀に及ぶ当社の経験が生かされています。光学アダプターには、幅広い視野角(ごく短い作動距離から超広角表示まで)、近くから遠くまでのピント合わせ、直視と側視といった各種のオプションがあります。当社では、多様な環境での検査アプリケーションに対応する光学アダプターを、幅広くご用意しています。
4. 3Dモデリングと計測ツール
ビデオスコープによる検査では、対象物の形状が鮮明でない場合に、計測点の位置を正確に指定しにくいことがあります。3Dモデリングが役に立つのはこのような場面です。
3Dモデリングでは、対象物がさまざまな3D表示で表されるので、表面を視覚的に評価しやすくなります。3D表示と2D表示を並べて配置することで、対象物の理解を深め、確信を持って計測点を指定できるようになります。計測点の指定精度が上がれば、計測ずれのリスクが低下します。検査速度が上がるとともに、再計測の必要性が最小限になります。
3Dモデリングツールによる簡単な基準線の設定方法を、下のビデオでご覧ください。
IPLEX NXビデオスコープの詳細は、www.olympus-ims.com/rvi-products/iplex-nx/をご覧ください。
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