超音波フェーズドアレイ(PA)は、数十年にわたって産業分野で使用されている高度な非破壊検査(NDT)技法です。 幅広い用途向けに開発され、またその技術が刷新、実証されてきたものの、特定の材料の検査においてはフェーズドアレイの可能性をまだ十分に活用できていません。 例えば、異材溶接は複雑さを伴うため、高度なフェーズドアレイ検査には時間がかかる傾向にあります。 検査結果の分析や解釈に必要なスキルについても、求められるレベルに追いついていません。 ただし最近では、異材溶接などの用途における複雑さを軽減することを目指し開発されています。それがFOCUS PXデータ収集装置用のソフトウェア、WeldSight™です。
WeldSightソフトウェアが便利な理由
FOCUS PXデータ収集装置を使用してフェーズドアレイ検査やTOFD(time-of-flight diffraction)検査を行う溶接の検査員にとって、WeldSightソフトウェアは欠陥検出の最適化に役立つとともに、検査に必要な時間の短縮と、それによる総コストの削減も実現します。
また、このソフトウェアでは、スキャンプランの作成からレポート作成に至る検査ワークフローの各ステップをスムーズに行えるほか、再現性への要求や規格準拠、溶接の性質などを考慮に入れることで、高度なフェーズドアレイ検査の実施効率を改善します。
ここで、溶接の検査員からの評価が高い5つの特長をご紹介します。
1. 実証済みのスキャンプラン設計ツール
フェーズドアレイによる検査範囲を定めるため、WeldSightソフトウェアにはEclipse ScientificのBeamToolが組み込まれています。 BeamToolを使用すれば、検査員はプローブとウェッジの組み合わせごとに適切なビームセットを構成できるため、検査範囲が最適に保たれます。
BeamToolには、以下に対応した組み込みオプションがあります。
- 製造コード
- プローブおよびウェッジのパラメーター
- 構成材片、溶接開先、および校正ブロックの特性
- PA、デュアルリニアアレイ™(DLA)、およびデュアルマトリックスアレイ™(DMA)プローブ用のリニア、セクター、リニアスプレッド、およびゾーンビームセット構成
- 溶接開先に合わせたクラッド材層の埋め込み
- 異材溶接材料
- パーツおよびプローブセットの3D画像
2. 時間補正ゲイン(TCG)などの最適化された校正ツール
WeldSightソフトウェアを使用した検査機器の校正はスムーズかつ効率的です。これは、ワンクリックで行える音響ウェッジ検証やプローブ検証、動的なシングルポイント感度校正などの便利な機能によるもので、ビームごとにゲインオフセットが保存されます。
インジケーターはクリアに表示されるため、値が許容度を外れるとすぐに分かります。
また、時間補正ゲイン(TCG)ツールによってプローブ感度が最適に保たれます。 複数のポイントの同時作成や、個別のポイントの連続作成、またこれらを組み合わせることもできるため、素早く柔軟に校正が行えます。
3. 検査済み部位の包括的なイメージング
WeldSightソフトウェアのドラッグアンドドロップデータには、以下が表示されます。
- 補正済みS-スキャン
- B-スキャンのスイープおよびスクロールビュー
- C-スキャンの振幅ビュー(材料片オーバーレイの溶接部および熱影響部(HAZ)のみを表示する溶接部ゲートを含む)
- スキャン中のデータ解析を容易にする動的C-スキャンのマージビュー
- カップリングおよび厚さモニター用のストリップチャート
4. 強力な解析機能
検査が完了したら、以下のアドバンス機能によるデータ解析に進むことができます。
- ボルメトリックマージ
- ソフトゲイン
- ゲートおよびカーソルの読み出し
- TOFDの高度なアルゴリズム(ラテラル同期やラテラル波消去など)
配管用途向けに用意された、WeldSightソフトウェアの3Dイメージングおよび極座標ビューでは、溶接部や部品があらゆる角度から完全に表示されます。
5. 専用の溶接検査ソリューションハードウェアに対応
検査および解析用WeldSightソフトウェアは、フェーズドアレイデータ収集装置FOCUS PX用に設計されています。
WeldSightソフトウェアは、当社のフェーズドアレイプローブ(DMA、DLA、専用の溶接部シリーズなど)にも対応します。