オリンパスの探触子技術は、人々の生活をより健康および安全にするお手伝いをしています。 カリフォルニアに拠点を置く医療機器メーカーPotrero Medical社は、尿量自動測定器Accuryn®モニタリングシステムにオリンパスの探触子を採用しています。 このシステムは、最前線で働く医療従事者を守りながら、入院中や急性疾患の患者のモニタリングに役立ちます。 看護師等の医療スタッフは、患者と直接接触せずに尿量を正確に測定できるため、新型コロナなどウイルスへの暴露が制限されます。
Potrero Medical社は、医療技術インキュベーターTheraNova社から2014年に分社化されました。 「Potreroの使命は腎臓を守ることです」と、Potrero Medical社CEOのジョー・アーバン氏は米国腎臓学会(ASN)とのインタビューで語りました。 「Potreroのエンジニアが作り出したテクノロジーは、現行テクノロジーの限界のために病院で無防備な状態のままでいる患者の、市場ニーズを満たすものです」
急性腎障害とは
多くの人は急性腎障害(AKI)を知りません。 簡単に言うと、急性腎障害は腎機能の急激な低下です。 病状は急激に進展し、期間は一般に数時間から数日です。 AKIに関する既知の危険因子としては、高血圧、糖尿病、高齢が挙げられます。 AKIの原因は、敗血症、心臓病、大手術など、さまざまな状況が考えられます。
急性腎不全(ARF)とも呼ばれるAKIは、早急な治療を要する重大な病状です。 AKIは治療可能なケースが多く、診断されたらすぐに処置できます。 しかし、症状の悪化を防ぐ処置を行わない場合、AKIによる長期的な腎障害が原因で腎不全を生じる可能性があります。
全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によると、術後AKIは、院内死亡率の最大10倍の増加、術後生存年数の最大15年の短縮、慢性腎疾患(米国医療制度が年間約110億ドル負担する合併症)のリスク増加に関連しています。 このような課題を念頭に置いて、Potrero Medical社の臨床目標は、腎低かん流(つまり腎臓への血流低下)の発生をできるだけ早く識別することでした。 Potreroチームは、臨床医がAKIの発症を早期発見するための診断ツールが、市場での入手に限りがあることにすぐ気付きました。
バイタルサインを適時かつ正確にモニタリングすることが、重症患者の生死の境を分ける可能性があります。 腎機能に障害の証拠があると、血液ろ過の減少、さらには尿量の減少が発生する恐れが生じます。 尿量と腹腔内圧データを集める現在の方法は、複雑で不正確なことがあります。
Accurynシステムによる尿量と患者の健康状態全体の測定方法
Accurynモニタリングシステムは、バイタルサインを自動的に取得して医療ワークフローを合理化するよう設計された、救命救急プラットフォームです。 尿量、腹腔内圧、深部体温を測定・モニタリングすることにより、腎臓かん流と患者の状態について、正確かつリアルタイムの実用的洞察を包括的に得ることができます。
Accurynシステムは、以下に示す2つの独自の方法で、腎臓かん流モニタリングの課題に対処します。
1つ目は、正確で継続的な尿量の表示です。 尿量測定の従来のワークフローでは、重力で尿を採尿バッグに流し込むフォーリーカテーテルを使用します。 看護師はバッグの中身をメスシリンダーに空けて、腎臓で作られた尿の1時間当たりの最高推定量を測り、そのデータを病院の電子医療記録(EMR)システムに入力します。 この方法では、従来のカテーテルがエアロックにさらされて、尿が膀胱内とカテーテル内に閉じ込められるため、腎臓で作られた尿量が正確に表示されないことがよくあります。
2つ目に、Accurynシステムを使用する医療従事者は、採尿バッグ内の尿量にとどまらず、腎臓が作り出している尿量を分刻みで確認できます。 Active Drain Technology™を採用した特許取得済みのAccuryn SmartFoley™では、膀胱を空にしなくてもカテーテルが一掃されるため、尿が1滴残らず測定カセットを通過することになります。 オリンパス製の超音波探触子は、1秒当たり約100xの量を測定できるため、尿量測定精度の確保に役立ちます。 血液やタンパク質などの物質が液の透明度に影響する、極めて困難なケースでも、一貫した性能を発揮します。 尿量が計算されるとAccurynモニターの画面に表示されるので、病院のEMRに取り込むことができます。
Accurynシステムのアクティブなドレンライン一掃作用によって、連続した尿量が維持されます。 そのため、採尿バッグにつながるフォーリードレンラインを、医療従事者が物理的に「ミルキング」する必要がなくなります。
尿量自動測定器:救命救急モニタリングの新基準
Accurynシステムは、救命救急モニタリングに新しい基準を設けます。 Accurynモニタリングシステムに構成部品として搭載されたオリンパスの探触子で、正確な自動尿量測定を行います。
Potrero Medical社はさまざまな超音波探触子をテストした結果、高い精度とある程度の傾きに耐えられることから、最終的にオリンパスの探触子を選択しました。 選ばれたオリンパスの探触子は、高分解能デジタル尿量モニタリングに最適なビーム幅、指向角、感度を備えていました。
探触子とモニターが尿量の測定にどのように連動するか、ご説明します。
採尿バッグをモニターにはめ込むと、モニターは超音波探触子を使用して、バッグ内の液体を記録し続けます。 これによって、集中治療室(ICU)や手術室のスタッフの面倒で骨の折れる作業が自動化され、高度な医療コンプライアンスの確保に役立ちます。
よりよいデータが医療改善の支えとなるのです。 高度な救命医療技術は新たなフロンティアであり、臨床医が多くの情報に基づいて診療の判断を下せるように、改善されたデータ精度を提供します。
ASNインタビューの中で、ジョーはこうした技術が医療・保健分野に与えるプラスの影響について語ります。 「我々の技術が世界中の何百万もの人々を救うとわかっています」