X線回析(XRD)は、結晶構造を持つ鉱物の識別および定量化に使用されます。 オリンパスのXRD装置は、優れたポータブル性と分析結果表示の速さで従来のXRD装置とは大きく異なります。 革新的で現場でのX線回析を実行可能にする5つの特長について詳しく見ていきましょう。
1. 良好なSN比パターン
オリンパスの検出器は位置とエネルギーの感度が高く、X線回折に使用されないノイズが自動的に取り去られます。 これが自動ノイズリダクションに寄与しています。 SmartSenseフィルターが蛍光X線によるX線カウントを選択的に除去して、良好なSN比パターンを提供します。
2. 低い電力消費量とオペレーターコスト
オリンパスXRD装置のX線管と検出器は試料との距離が近いため、光の経路が長くなる従来の大型XRD装置に比べ、利用可能な光子数を損なわずにX線管の電力を削減できます。 装置X線管の電力が低減すれば電力ニーズが最小限になり、外部冷却に関連する費用とメンテナンスも抑えられるため、全体の電力消費量が低くなります。
3. 高品質データを提供する小型のポータブル装置
従来のXRD装置では、ゴニオメーターという大型機器を使用します。この機器は、固定された試料の周りをX線管と検出器を回転させます。 ゴニオメーターは扱いにくく、校正が必要です。 オリンパスのXRD装置では、実際の走査範囲全体を同時にキャプチャする電荷結合素子(CCD)エリア検出器を使用しており、ゴニオメーターは必要ありません。
また、オリンパスのXRD装置は、2枚のフィルムウィンドウの間に15 mgの粉末状試料を封入することで作動します。 次に、この装置は圧電発電機を使用して一定周波数を加えます。この周波数には、粉体液状化として知られる粉末の対流作用があります。 これによって試料が下から上に対流し、各粒子自体が回転するため、高品質鉱物データの生成に欠かせない100%のランダム化が実現します。 オリンパスのXRD装置は透過型X線分析を採用していることから、従来の多くのXRDシステムが悩まされた、同密度マトリックスによるピークの広がり作用も関係ありません。
これらの今までにないテクノロジーが、BTX II™ベンチトップX線回折装置やTERRA®ポータブルX線回折装置といった小型のシステムに収められ、現場で使用できます。
4. 試料の前処理が容易
オリンパスのXRD装置では、1回の分析に必要な試料は約15 mgにすぎません。 それに比べて、従来のXRDシステムの中には1~2gもの試料を必要とするものもあります。 また、多くの従来型XRD装置では、ユーザーが試料を20 µ未満の超微粉まで粉砕する必要があります。 対流透過法のおかげで、試料の粒子サイズは従来のゴニオメーター式システムほど重要ではありません。オリンパスシステムにおける最適な粒子サイズは90~120 µであり、乳鉢と乳棒で容易に準備できます。
5. 高速解析
従来の2 kWの装置では、2θ測定の収集ごとに数秒かかるため、2θ範囲全体のスキャンに数時間もの時間がかかる場合があります。 オリンパスのXRD装置で使用されているCCD検出器は、2θ範囲全体を同時に収集するため、完全な回折パターンがほぼ瞬時に表示されます。
詳細は、オリンパスX線回析装置ファミリーをご覧ください。