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洞见博客

廃水中の重金属:ポータブルXRFを使用した汚染源の特定

作者  -
産業廃水中の重金属

産業活動から排出される廃水中の重金属汚染は、深刻な環境問題です。 重金属を含む未処理廃水を環境に排出すると、水生生物や農作物を汚染する恐れがあります。 重金属が食物連鎖に入り込んで人間の体内に取り込まれ、毒性から深刻な健康問題が生じる可能性があります。

重金属を含む産業廃水の排出源としては、以下が挙げられます。

  • 発電所
  • 金属表面処理
  • 電気めっき
  • 電子機器製造
  • 有機化学品製造
  • 鉄鋼業
  • 鉱山・採石場

廃水中の重金属汚染を迅速に検出する方法の摸索

廃水中の重金属汚染を迅速に検出し、発生源を特定する能力は、環境のモニタリングと保護にとって重要です。 モニタリング機関は点汚染源を特定し対処するため、廃水に含まれる重金属の存在を特定・検出する、堅牢で多用途性があり迅速な分析方法を求めています。 ポータブル蛍光X線(pXRF)分析計などの最新の分析装置は、モニタリング機関が廃水汚染源の検出、特定、対処をすばやく正確に行う助けになります。

例えばVanta™ハンドヘルドXRF分析計は、多用途のある環境モニタリングソリューションとして、以下の機能を備えています。

  • 正確な元素分析:クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、鉛(Pb)などの重金属を含む、20種を超える元素を解析
  • 高速判定:リアルタイムの定性的・定量的情報を即時に提供
  • 屋外使用対応:屋外作業条件に適した軽量、ポータブル、堅牢設計
  • 非破壊:試料を損傷しない化学分析方法
  • 効率的:ユーザーフレンドリーなインターフェースにより最小限のトレーニングで操作可能
  • 経済的:手頃で所有コストが低い

利点にもかかわらず、pXRF分析計は廃水中の重金属検査では課題に直面しています。 1つ目は、これらの機器は通常、土壌などの固体材料に対する用途で校正されている点です。 2つ目は、検出限界(LOD)が1桁の100万分の1(ppm)範囲に過ぎない点です。 原子吸光分析法(AAS)や誘導結合プラズマ分析法(ICP)など、高額で時間のかかるラボ分析法では、10億分の1(ppb)レベルで測定できます。

解決方法:Time-Lapse Ion Exchange Resin SachetとポータブルXRFの併用

課題に対処するには、Time-Lapse Ion Exchange Resin Sachet(TIERS)をpXRF検査と併用すると、廃水中の重金属分析を最適化できます。 TIERSとは、長期的に金属を吸収する樹脂が詰められた不織布製の小袋です。 小袋を水域(工場の排水口付近の水など)に7日間配置して、樹脂に重金属を蓄積させます。 7日間のモニタリング期間後、TIERSをpXRFで検査します。

廃水のXRF分析の最適化にTIERSが役立つのは、以下のいくつかの点によります。

  • 検出限界の低減:検体を1,000倍まで増幅させる。濃縮係数は感度を上昇させ、マトリクス効果を低減させる。
  • 精度の向上:小袋によって、変動する排出濃度および量に相当する、7日間の時間平均が効果的に得られる。
  • リアルタイムのフィールドマッピング:わかりやすい包括的な分析結果を得るために、領域ごとにタグ付けされた、カスタマイズ可能な定性的・定量的データが分析される。
工場廃水中の重金属の検出

Time-Lapse Ion Exchange Resin Sachet(TIERS)をpXRF検査と併用すると、工場廃水中の重金属汚染を検出および特定できます。

環境モニタリングにおけるポータブルXRFの重要性

高速で信頼性が高くコストの低い、現場ベースのモニタリングシステムによって、規制機関は流れをさかのぼって問題のある排出源の特定に至ることができます。 TIERSは1つの場所を1週間にわたり一貫してモニタリングを行うので、断続的な問題でも識別されます。 各産業が水の利用を急速に拡大し続けるにつれて、近隣の水の利用者団体は規制に準拠しているという確信をますます追い求めています。 非準拠のケースは、リアルタイムのモニタリングなしでは特定が難しくなりつつあります。 ポータブルXRFなどの先進的な分析ソリューションは、大規模な検査プロセスの合理化と促進に役立つため、規制機関の資源を節約するとともに、環境健康被害の速やかな解決に貢献します。

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高级产品专员, Olympus Singapore

Vincent graduated from the University of Western Australia with a bachelor’s degree in chemistry. He started his career as an inorganic engineer, specializing in ICP-OES, ICP-MS, HDXRF, AAS, and UV-Vis spectroscopy. In 2015, Vincent joined Olympus to develop regional business and provide application support.

十二月 14, 2021
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