顧客ニーズに応えることはイノベーションの原動力になります。このことを証明するのが、当社とUTCompおよびRPC Technologiesのグローバルな協力による、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)複合材料でできた産業機器の画期的な非破壊検査(NDT)です。
UTCompによるUltraAnalytix® NDTシステムは、高性能の独自アルゴリズムを当社のEPOCH™ 650超音波探傷器と組み合わせています。その結果、FRP複合材製のタンク、パイプ、その他の重要なインフラ資産の強度と状態を評価可能な、高速で信頼性の高いシステムとなりました。この評価を行う際には、破壊検査、稼働停止、狭い空間への危険な立ち入りの必要がありません。
UltraAnalytix NDTシステムは、UTCompのライセンシーネットワークを通じて世界中で支持を得ています。オーストラリアのニューサウスウェールズ州に拠点を置くエンジニアリングソリューション会社、RPC Technologiesは、ライセンシーであるとともに、Evidentと長い付き合いのあるお客様です。同社はこのシステムを導入して、オーストラリアとアジア一帯での検査プログラムに役立てています。
このブログでは、この協力体制によってFRP複合材検査の課題をどのように克服しているかについて取り上げます。
FRP複合材料とは
軽量、耐腐食性、機械的強さ、多用途性を併せ持つFRP複合材料は、パイプや導管システムからプロセス容器、貯蔵タンク、換気煙突まで、さまざまなインフラ資産に使用されます。活用される分野も幅広く、石油・ガス、化学処理、パルプ・紙、鉱業、水・廃水処理、食品加工などがあります。
FRP複合材料は、金属合金やその他の材料に代わるものとして受け入れられていますが、障壁は残っています。
主な課題は認識と知識です。FRP複材料が機械的、化学的応力にさらされると、合金とはまったく異なる振る舞いを見せます。通常、問題が発生するのは、繊維強化材料よりも樹脂やポリマーの方が先です。また、損傷は目に見えないことが多く、従来のNDT検査法では検出できません。
FRP複合材製のタンク、パイプ、その他の機器の構築に関しては、200を超える規格や基準があります。今のところ、FRP資産のNDT検査について言及している規格はありません。
このことが、UltraAnalytix NDTシステムが画期的な所以です。特許を取得したこのシステムは、EPOCH 650探傷器を使用して現場で収集した超音波データと、UTComp独自のアルゴリズムを使用した外部目視検査および解析を組み合わせています。
技師たちがEPOCH 650超音波探傷器を使用して、稼働中のFRP貯蔵タンクに付属する大型ノズルの補強材と取り付け具を検査しています
UltraAnalytix NDTシステムは、FRPの肉厚、設計の剛性率、残存耐用年数などの数値を正確に計算します。そのため、FRP機器のサービス適用性の評価や、機器が障害にさらされる時期の予測を、速く確実な費用効果の高い方法で資産所有者に提供できます。
UltraAnalytixの検査結果は、学術研究を通じて、現場での500を超える破壊検査との比較により検証されています。現在、世界各地の200を超える企業について、4,000件を超える資産がUltraAnalytix検査プログラムに登録されています。
FRP複合材料の正確な検査に適したツールの選定
UTComp社CEOのJo Anne Wattonさんによると、UTCompがEPOCH探傷器を使い始めたのは20年以上前でした。このことから、UTCompのチームがシステム用の候補ツールを選定するときには、既にその技術に馴染みがありました。
「当社のシステムを開発していたとき、EPOCH 650探傷器を使うと思い通りの方法でデータが得られました。」とJo Anneさんは言います。「FRP複合材料を正確に検査するための解析には、バックエンドからの生データが必要でした。」
Jo Anneさんは続けます。「私たちはとても型破りな方法で探傷器を使っていましたが、超音波によるFRP複合材料の検査に革新的な方法を編み出す上で、障壁を取り去ってくれたEvidentは称賛に値します。技術開発の際に問題が起こると、解決のために協力、連携してくれます。」
連携の拡大がNDT分野に革新と機会をもたらす
長年にわたり、Evidentチームは技術サポートとソフトウェア修正を提供して、探傷器の超音波探傷能力を拡張し、UTCompとそのライセンシーのニーズに対応してくれる、とJo Anneさんは言います。
「UTCompとRPC TechnologiesとのEvidentの関係性は、高度な産業用ソリューションの開発と、研究・検査分野のお客様との関係強化に対する当社の取り組みの表れです。」と話すのは、EvidentでNDT産業販売・マーケティング部長を務めるSteven R. Berube氏です。
Stevenは言います。「私たちはお客様が問題を解決できるよう連携に専念することに意識を移しました。それが画期的なソリューションの開発を速める一番の近道だと確信しています。こうしたソリューションによってお客様の専門技術が高まり、その分野で新たな機会を生み出せるのです。」
技師がEPOCH 650超音波探傷器を使用して、熱可塑性樹脂ライニング付き(二重積層)FRP貯蔵タンクの状態を評価しています
現在、EPOCH 650探傷器は、世界各地の全UltraAnalytix NDTライセンシーが使用しています。RPC TechnologiesのUltraAnalytixプロジェクトおよび検査マネージャーであるDamean Halsteadさんによると、RPC Technologiesは、オーストラリア全体(ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州を含む)とインドネシアのバタム島でEPOCH探傷器を取り扱っています。
「当社のFRP検査業務は、主に水処理施設の産業用薬品タンクを対象としています。例えば、脱塩工場、水ろ過施設、排水処理施設、採掘作業です。逆浸透圧力容器の稼働の適合度を調べる研究開発業務にも、UltraAnalytixを使用しました。」とDameanさんは話します。
「Evidentはいつも私たちのニーズに対応してくれます。先日、Evidentの産業販売マネージャーAndrew Salibaさんと、アプリケーションスペシャリストNick Eleftheriouさんが、ニューキャッスルの工場を訪ねてきました。2人とも、私たちが超音波探傷器を使って行うことについて、とても熱心に話を聞いてくれました。」とDameanさんは言います。「UltraAnalytixを手に、装置の利用法の枠を超えていきます。」