高力構造物用ボルトは、橋梁、建設機械、風力タービンなどの構造物で、鋼鉄部品間の接続に広く使用されるねじ締め金具です。 これには、高荷重および高引張応力に耐えられる締め金具が求められます。 ボルト接合のある構造物および設備の安全性検査では、調査を必要とするボルトの数が非常に多いため、時間がかかり、多くの人手を要する作業となることがあります。
高力締め金具について
風力発電産業を例に取ってみましょう。 従来型の風力タービン設備の場合、各ローターブレードがハブにしっかりと接合されていなければならず、3枚のブレードを結合するためには、最大で160セットの高力ボルトが必要となります。 風力発電塔は、通常3つまたは4つのセクションで構成されています。それらを相互に結合して底部を基礎台座部に固定するためには、400~500セットもの多くの高力ボルトが必要になります。 つまり、風力タービンを建造するのに、全体では600セットほどの高力ボルトが必要です。
ボルト試験による構造物の品質および安全性の確保
1つの風力タービンに膨大な数のボルトが使用されているため、ボルトの品質が風力タービンの品質と安全性に直接影響する可能性があります。 風力タービンが稼働する過酷な環境では、さまざまな種類のストレスがボルトにかかります。 ボルトが経年変化および摩耗するにつれて、結合部が緩みやすくなり、割れが生じることがあります。 欠陥が深刻化すると、風力タービンの安全な運転に重大な危険性が生じます。 初期の段階で割れを検出するには、ボルト疲労評価などの定期的メンテナンス検査が必要です。こうすることで、重大な損傷が生じる前に、不具合のあるボルトの修理・交換が可能になります。
OmniScan™ X3探傷器を用いた高効率なボルト検査
OmniScan X3フェーズドアレイ探傷器のフェーズドアレイ(PA)およびトータルフォーカシングメソッド(TFM)の高度な機能により、構造物用ボルトの完全性を、効率的かつ徹底的に評価し、検証することが可能です。 こうした先進の超音波技法を用いることで、信頼性と再現性の高い結果が迅速に得られ、構造物中の多数のボルトをより短い時間で検査できます。
フェーズドアレイ超音波を用いたボルト中の割れおよび体積欠陥の検出
オリンパスのフェーズドアレイプローブとOmniScan X3探傷器を用いることで、ボルト内部の割れやその他の重大な欠陥を検出できます。 ここでは当社ラボでの試験のみを例にあげていますが、OmniScan X3装置は持ち運びが非常に楽で、現場にも携帯できるため、稼働を停止することなくメンテナンス検査が実施できます。
画像に、ボルトの刻み目がその深さとともに、はっきりと表示されているのがわかります。
当社では最近、ボルト検査専用にカスタム設計したフェーズドアレイリング式プローブを試験しました。 結果については、このアプリケーションノートでご覧いただけます。 優れた欠陥検出率(POD)と信頼性の高い結果を達成するには、この用途に適したプローブを見つけることが重要です。 ハンディ・インフォグラフィックをこちらからダウンロードして、ご検討ください。
TFMを用いた、ボルトの表面腐食の進行をモニター
OmniScan X3探傷器の革新的なトータルフォーカシングメソッド(TFM)を用いることで、ボルト表面の腐食を容易にモニターすることが可能です。 ボルトヘッド表面に連結した当社のプローブの1つと、そこから得られたTFM画像がディスプレイに表示されているのが分かります。
上のTFM画像と下のTFM画像を比較すると、腐食クラスターの重大度がはっきりとわかります。 上のTFM画像では、通常の表面信号が赤枠で囲まれています。 一方、下のTFM画像では、腐食(上部近くの赤枠内)とねじ部(底部近くの赤枠内)が表示されています。
OmniScan X3探傷器におけるボルト試験向きの機能
- 革新的なTFM
- リアルタイムTFMエンベロープ処理で画像明瞭度が向上
- 最大1024 × 1024グリッドの解像度で、微細なディテールの画像が得られ、クラスターの欠陥が容易に識別可能
- Acoustic Influence Map(AIM)スキャンプランモデリングツールで、TFM波形セット(モード)範囲とリフレクタ感度を指定した設定に応じてシミュレーション
- さまざまな伝搬角度で最大4つのTFMモード画像が生成され、同時に表示できるため、欠陥サイジングや傷の深さなどの特性評価が容易
- 効率が向上したフェーズドアレイ
- 20 kHzの最大パルス繰り返し周波数により、当社の従来モデルよりも最大3倍迅速なスキャン作業が可能
- 800%の高振幅範囲により、スキャンのやり直し発生を低減
- オリンパスにおける既存のフェーズドアレイプローブおよびスキャナすべてに対応
- Dual Linear Array™(DLA)プローブおよびDual Matrix Array™プローブのオンボード対応により、セットアップ作成プロセスが迅速化
- 確実で使いやすい操作
- IP65定格の防雨防塵性能
- 設定メニューおよびスキャンプランのステップに合わせ簡素化されたナビゲーション
- 5時間のバッテリー寿命とホットスワップ可能バッテリー
- 無線ネットワーク接続性
ボルト検査の用途とオリンパスNDT製品について、さらに詳細な情報をご希望の場合は、ご遠慮なく当社にお問い合わせください。当社の専門家がご対応いたします。
参照資料
難局を乗り越える:フェーズドアレイを使用したオフショアプラットフォームライザーの検査
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