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洞见博客

食品用ラップの静電気と表面粗さ:実験

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静電気

食品包装、工業材料、医療用途で使用されるフィルムの表面には、透明性、光沢、耐水性、防汚性、接着性など、さまざまな性質があります。各種の表面機能を付加するため、表面に処理と加工が施されています。

フィルム表面の処理と加工の品質を判定するには、表面粗さを測定することが重要です。この検査では、フィルム表面の微細な凹凸を測定します。表面粗さを測定する方法の1つが、3D共焦点レーザー顕微鏡です。

実験で、ポリエチレンフィルム(食品用ラップ)と帯電防止フィルムを使い、フィルムの静電気と表面粗さに関係があるかどうかを検証しました。粗さ測定の実施には、LEXT™ OLS5100 3D共焦点レーザー顕微鏡を使用しました。結果をご説明します。

食品用ラップと帯電防止フィルム

帯電防止フィルムとポリエチレンフィルムの表面状態の目視比較

まず、2枚のフィルムの表面状態をOLS5100 3D共焦点レーザー顕微鏡で目視確認しました。

OLS5100顕微鏡は、405 nmの紫色レーザービームでサンプル表面をスキャンして3Dデータを取得します。405 nmの波長に適合し、収差を抑えるLEXT専用の対物レンズと組み合わせれば、従来の光学顕微鏡や一般的なレーザー顕微鏡では捉えにくい、微細なパターンや欠陥をはっきり捉えられます。光学系は非接触でもあるので、フィルムのように柔らかいサンプルでも表面を損傷する心配がありません。

食品用ラップの表面粗さ帯電防止フィルムの表面粗さ
赤色レーザー(658 nm:0.26 μmラインアンドスペース) 紫色レーザー(405 nm:0.12 μmラインアンドスペース)

ご覧のように、ポリエチレンフィルムの表面には特異な形状がなく、緩やかな凹凸があるのがはっきりとわかります。それに対して帯電防止フィルムには、サブミクロンレベルから数十nmのギザギザした凹凸が周期的にあります。

食品用ラップの表面粗さ帯電防止フィルムの表面粗さ
ポリエチレンフィルム(食品用ラップ)、50X対物レンズ 帯電防止フィルム、50X対物レンズ

帯電防止フィルムとポリエチレンフィルムの表面状態の数値化

次に、2枚のフィルム表面に見られる凹凸の違いを数値化するため、同じ3D共焦点レーザー顕微鏡で表面粗さを測定しました。この手順では、信頼性の高い測定結果を得るために、観察するサンプルに適したレンズを選択することが重要です。

OLS5100顕微鏡のスマートレンズアドバイザー機能のおかげで、選択したレンズがサンプルに適しているかどうかを容易に判断できます*。この例では、フィルムの粗さ測定に適しているのが、専用のLEXT 50X対物レンズであることが判定されました。

3D共焦点レーザー顕微鏡のスマートレンズアドバイザー3D共焦点レーザー顕微鏡のスマートレンズアドバイザー

*測定値は保証値ではありません。

50X対物レンズを使用して、2枚のフィルムについて顕微鏡で取得された結果は以下のとおりです。

サンプル名 Sq [µm] Sz [µm] Sa [µm] Sdr [%] Sal [µm]
ポリエチレンフィルム_50× 0.06 0.477 0.043 0.076 30.553
帯電防止フィルム_50× 0.122 1.152 0.097 0.84 8.424


測定において注目すべき粗さパラメーターは、Sq、Sz、Sa、Sdr、Salです。これらのパラメーターの概要について説明します。

Sq(二乗平均平方根高さ)、Sz(最大高さ)、Sa(算術平均高さ)

これらのパラメーターは、平均的な表面からの不均一性の大きさを示します。この例で、大きな値を持つ帯電防止フィルムは、凹凸が大きいことを示します。

Sdr(界面の展開面積比)

Sdrは、表面積内の増加率を示します。この例で、Sdr値が小さいポリエチレンフィルムの表面積は小さくなっています。一方、帯電防止フィルムは表面の凹凸が大きいため、表面積が大きくなります。

Sal(自己相関長さ)

ほとんどのパラメーターは高さ方向の粗さを評価するのに対して、Salは横方向(筋や粒子の密度など)に注目する数少ないパラメーターの1つです。Sal値が小さいほど、急な形状できめ細かくなります。反対にSal値が大きいと、表面はよりなだらかな起伏になります。したがって、Sal値の小さい帯電防止フィルムは、凹凸のある表面上にきめ細かい形状があることがわかります。

表面粗さデータによるフィルムの静電気の判定

静電気の量を決める3大要因は、接触面積、摩擦力、湿度です。ここでは、表面粗さに密接な関係がある接触面積に注目します。一般に、物体間の接触面積が大きいほど静電荷量が多くなります。

この実験では、物体との接触面積が小さい帯電防止フィルムの方が、接触面積の大きいポリエチレンフィルムよりも静電気が少ないことがわかりました。帯電防止フィルムの不均一性が大きいことによって、ポリエチレンフィルムの滑らかな表面に比べて接触面積が小さくなっています。電荷量と表面粗さデータの関係は以下のとおりです。

帯電防止フィルムの接触面積ポリエチレンフィルムの接触面積
帯電防止フィルムポリエチレンフィルム(食品用ラップ)
電荷量:
物体との接触面積:
不均一性(Sq/Sz/Sa):
表面積(Sdr)
緻密さ(Sal):


3D共焦点レーザー顕微鏡を使用したフィルム表面粗さ測定の詳細は、当社専門スタッフにお問い合わせください
 

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カタログ:LEXT OLS5100 3Dレーザー顕微鏡

表面粗さ測定:始めるための実践的ヒント

ビデオ:OLS5100 3Dレーザー顕微鏡の概要

Marketing Specialist, Metrology Solutions

Suzue Izumi is a marketing specialist for metrology solutions at Evident. Since joining Evident in 2001, she has performed many demonstrations as a laser confocal microscope specialist. In addition to visiting laser confocal microscope users in Japan to provide technical support for system operations and data analysis, she provides application support globally.

九月 29, 2022
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