今回は、大型のレシプロ内燃機関の工業用内視鏡検査(RVI)を取り上げるブログシリーズの第3弾、最終回です。これまで、レシプロ内燃機関と内視鏡の関わりの歴史を取り上げ、レシプロ内燃機関の内視鏡検査に関する当社のベストプラクティスを紹介しました。今回は、この検査でよく見られる課題をいくつか取り上げ、検査に役立つ実用的な情報をご紹介します。
ビデオスコープは、品質維持と検査のために重要となる、内視鏡検査(RVI)ツールです。当社のIPLEX™ ビデオスコープを使用すれば、レシプロ内燃機関の運用に影響を与える、主な欠陥や問題(重要な構成部品の腐食、詰まり、亀裂など)を、内燃機関を分解することなく、また損傷を与えることなく検出できます。
しかしながら、求められる機能に合致しないビデオスコープでは、時間と費用の両方がかかってしまいます。徹底的な検査の実効性にも影響し、製造工程や検査工程を中断せざるを得ない可能性もあります。検査に適した機器の選定は、正しい検査手法の実行と同じくらい重要です。
内視鏡検査のトラブルシューティング
ベストプラクティスのガイドラインに従えば、よい結果が得られ、検査が容易になることが多いものの、問題が発生する可能性は依然としてあります。よく見られる問題に関して、トラブルシューティングを以下に示します。
視界を遮るオイル
ほとんどの内燃機関検査は潤滑油が存在する環境で行われるため、内視鏡検査の際に視界が不透明になるおそれがあります。その場合におすすめする解決策は以下の通りです。
- 画像が不鮮明になったら、イソプロピルアルコールと綿棒のクリーニングキットを使って先端部を拭う。また、先端部は使用したらその都度クリーニングする。
- 検査を開始する前に、先端部内にオイルが侵入しないように、Oリングが正しく装着されていることを確認する。
- オイルが付着しやすい環境でも鮮明な観察画像が得られる、密閉型オイル除去機能付き光学アダプターを使用する。
- 検査中にスコープが汚れないようにリジッドスリーブを使用する。
温度のリスク
内燃機関の稼働を停止してから経過した時間によっては、検査開始時にシリンダーがまだ高熱である場合があります。それにより、検査員と機器にダメージが及ぶ可能性があります。当社がおすすめする対処方法は以下の通りです。
- 内燃機関の指定する冷却期間を守る。
- 内燃機関の温度が80 °Cを下回るまで待つ。
スコープの向き
内視鏡をシリンダーに挿入した後に、画像の向きを見定めるのは困難な場合があります。お役立ちヒントを以下に示します。
- ピストンやフレームデッキ機能を使用して、シリンダー内で12時の方向を見つけ、それを検査の基準にする。
- リジッドスリーブを使用してプローブを所定の位置で保持する。
画像ファイルの整理
検査画像を管理したり、画像どうしを区別したりするのは簡単ではありません。以下の画像ファイル管理法を試してみてください。
- シリンダーごとにひとつのフォルダーを作成し、シリンダーごとに個別のフォルダーに画像を保存する。こうすることで、ファイルの処理や検査後のレポート作成が簡単になります。
モニターに画像が映らない
ビデオスコープのディスプレイに画像が映らない場合は、以下を確認してみてください。
- 保護キャップがスコープ先端に装着されたままでないか。
- ディスプレイ本体のバッテリーが充電されている。
- モニターが挿入部に正しく接続されている。内視鏡の電源をオフにして、モニターへの接続を確認してから電源を入れる。
適切な機器の選定
レシプロ内燃機関の内部検査機器としては、多用途性、画質、使い勝手の面からビデオスコープが優れています。当社では、レシプロ内燃機関検査向けにIPLEX™ G LiteおよびIPLEX GTビデオスコープを推奨しています。
これらのモデルには、内燃機関検査を容易にする、さまざまな特長があります。
- 密封型オイル除去機能付き光学アダプター
- 挿入部の耐油コーティング
- 携帯性
- 明るいLED照明
- 堅牢な4層構造の挿入部
- スコープ外径4mmと6 mm
- スコープ長さ2m~10m
- スコープ先端の電動湾曲機構TrueFeel™
- 録画ボタンを押し忘れても安心のコンスタントビデオ機能
IPLEX G LiteおよびGTビデオスコープを使用すれば、機関内部の損傷を迅速かつ効果的に見つけて対処できるので、検査がより効率的になります。
当社のビデオスコープの詳細とデモンストレーションなどのお問い合わせについては、お気軽にお問い合わせください。
その他の資料
レシプロ内燃機関ブログシリーズのすべての情報は、このアプリケーションノートからすぐにご覧いただけます。レシプロ内燃機関の内視鏡検査についてさらに詳しい情報をお知りになりたい場合は、以下の資料もお勧めします。