消費者にとって、市販のさまざまな蛍光X線分析計(XRF)を取り巻く複雑さを理解するのは困難なことがあります。XRFの分析仕様はわかりにくい場合があります。例えば、人々がカウントレート、分解能、電圧、X線管ワット数について話しているのを聞いても、意味がよくわからないかもしれません。こうした機能はすべて、ハンドヘルド蛍光X線分析計の価格と性能に影響します。最も重要なのは、予算オーバーにならずに目的を達成するためにこれらをどのように組み合わせるかです。
XRFのコスト
装置がニーズに最適かどうか、投資の価値があるかを真に評価する唯一の方法は、測定対象の元素に関する測定結果を見ることです。ハンドヘルド蛍光X線分析計の価格と性能に影響するいくつかの要素について以下にまとめてみました。
蛍光X線分析計の検出器タイプ:PINまたはSDD
ハンドヘルド蛍光X線分析計に用いられている検出器のタイプは、PINとSDDの2種類です。PIN検出器は比較的安価な旧式のテクノロジーですが、シリコンドリフトディテクター(SDD)より感度が劣ります。SDDの感度が必要かどうかは、以下の3つの質問への回答で判断できます。
- 軽元素を測定する必要がありますか?XRF用語での軽元素とは、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、硫黄です。これらの元素の濃度を知る必要がある場合は、SDDが必要です。
- 検査速度は重要ですか?SDDはほとんどの合金を1、2秒で識別できます。PIN搭載装置では、同じ作業に8~10秒かかる場合があります。たくさんの試料を検査する場合は分析時間が積み重なるため、SDD搭載装置の方が費用対効果が高くなります。
- 各元素に求める最低濃度はどれくらいですか?SDD搭載装置の検出限界(LOD)は、PIN搭載装置より低くなっています。製造元のLODシートを参照してください。ただし、記載されているLODは理想的条件下の性能を表していることをご承知おきください。
シリコンドリフトディテクターのサイズ
スループット、感度、およびSDDの元素範囲が必要であると判断した場合、ほとんどのXRFメーカーは標準SDDと大口径SDDを提案します。大口径SDDは分析感度が優れていますが、より製造費用がかかります。そのため、購入価格に影響する場合があります。
X線管のターゲット材(Rh/Ag/W)
一部のXRFメーカーは、分析計のX線管アノード材を各種そろえています。標準的な材料は、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、タングステン(W)です。
- ロジウム:軽元素の測定に最適です。特に、アルミニウム品種の主要元素であるマグネシウムの測定速度が速いため、ほとんどの合金用途ではロジウムが最適な選択肢です。
- タングステン:タングステンや類似の重元素の使用は、RoHS検査に重要なカドミウムなどの高エネルギー元素の検出に最適です。
- 銀:オールラウンドなアノード材である銀は、マグネシウム用のロジウムやカドミウム用のタングステンほど性能は高くないものの、予算が限られている場合に最適な選択肢になります。
詳細情報と専門家による推奨事項については、製造元にお問い合わせください。
オプションとアクセサリーの選択
- カメラ:文書化が重要な場合は、複数の内蔵カメラを備えた分析計を購入しましょう。1つのカメラは検査済み試料の文書化用、別のカメラは検査のために装置を位置決めする目的で使用します。
- コリメーター:一部の分析計にはX線ビームを狭めるコリメーターがあり、スポットサイズを約10 mmから3 mmに小さくすることができます。この機能により、検査員はパイプの溶接線などの小さい分析エリアを選択できます。
- 接続性:ワイヤレス接続方式を備えた分析計では、現場での意思決定がスピードアップし、検査結果に簡単にアクセスできます。USBメモリへの直接のエクスポートは、ほとんどの最新モデルで使用できる便利な機能となっています。
- ワークステーション:ラボ環境や現場での作業において、ワークステーションはX線からの遮へい性を高め、小さな対象物の検査に役立ちます。
以上のすべての要素は、ハンドヘルド蛍光X線分析計パッケージの価格を左右する可能性があります。重要なのは、自分が必要とする性能と機能を備えた分析計を選択することです。
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