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極細内視鏡によるタービンブレード内部の効率的な検査


背景

航空機エンジンや発電設備に使用されるタービンエンジンでは、高い出力を得るために高圧縮コンプレッサーによって圧縮された空気を、燃焼管で推進エネルギーに変えています。エンジンの中で最も負荷がかかる部分が燃焼管直後にある高圧タービン部分で、燃焼エネルギーによる圧力と1000度を超える熱に晒されます。

高圧タービン部分のタービンブレードやノズルガイドベーンは熱による影響を抑えるため、冷却効果のある中空構造になっているものが多く、精密鋳造法で製造されています。この中空構造内部に異物や加工不良があると、放熱が適切に行われず、エンジンに不具合が発生する可能性があります。そのため、タービンブレードの中空構造内部の検査を、製造時およびエンジンメンテナンスのタイミングで行います。

極細内視鏡によるタービンブレード内部の効率的な検査

内視鏡を用いたタービンブレード中空構造内部検査における課題

従来、タービンブレード中空構造内の残留物、傷、割れの有無を確認する検査には直径が3mm以下のミニボアスコープが主に用いられていました。これらの内視鏡には棒状のレンズが使用されており、画質は優れているものの、耐久性をはじめ以下の課題があり、その結果、検査に時間がかかっていました。

  • 細長いレンズを用いた挿入部は曲げに弱く、破損しやすい

  • 接眼レンズが小さいため、目視では画像が小さく確認しづらい

  • 接眼部にカメラを取り付けてモニター観察する場合、バランスがカメラ側に偏り操作が不安定になる

  • 挿入部が湾曲できないため、内周部を見渡すことができない

  • ライトガイドが細く照明が不十分

解決策―細径ビデオスコープの活用

ミニボアスコープは、細い棒状の形状から座屈破損しやすいこと、先端部を湾曲できません。これを解決する湾曲可能な柔軟性のある挿入部を持つ細径の内視鏡に、グラスファイバーを束ねたファイバースコープタイプと、撮像素子を内蔵したビデオスコープタイプがあります。どちらも挿入部の外径は2.4mmで、先端部の湾曲操作が可能です。

ファイバースコープタイプは導入しやすい価格が魅力ですが、グラスファイバーの束を通して観察するので、ファイバーの網が見える状態となり、細かな不具合を見落とす恐れがあります。ビデオスコープはファイバースコープの課題を解決するタイプで、主に以下に述べる理由で、タービンブレードの中空構造内部検査には細径ビデオスコープであるIPLEX TXを推奨します。

明るく鮮明な画像

撮像素子を使用するビデオスコープは、網目のない明るく鮮明な画像が得られます。また、画像信号を電気的に増幅することで、照明光量が限られたなかでも、より広く奥まで明るく観察できます。これにより、残留物や傷など不具合の発見が容易になります。

ファイバースコープ画像IPLEX TX画像
ファイバースコープ画像
IPLEX TX画像

優れた操作性と耐久性

IPLEX TXは外径2.4㎜の挿入部です。その細さを実現するため外装部分が樹脂製となっています。タービンブレードの内部は凹凸が多く、樹脂の挿入部は損傷を受けやすくなりますが、多層構造のチューブを採用しており、耐久性が向上しています。

挿入部が損傷し交換が必要となった場合、通常の内視鏡は装置全体の交換となりますが、IPLEX TXは挿入部が本体から着脱できる設計となっていますので、現場で簡単に交換ができます。その結果、不具合発生時のダウンタイムを低減することができます。

ファイバースコープIPLEX TX

一体型システムによる取り回しの良さ

IPLEX TXはシステム全体が一体構造であり、設置使用にあたり組み合わせ調整が不要です。また検査で記録が必要になった場合には内視鏡操作部もしくはモニター下部のボタンで静止画、動画を撮ることができます。

IPLEX TX

まとめ

ガスタービンの高圧タービンに使われるタービンブレードやノズルガイドベーンの中空構造内部の検査には、外径2.4mmで先端部の湾曲機構がつき、モニターへの拡大表示により検査判定が従来より明確にできるIPLEX TXを推奨します。

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