レーザー顕微鏡は、計測用途としては、高解像度の輝度画像を用いた平面方向の計測や、高さ画像による3次元計測など、大きく2つの用途に分けることができる。これらの計測を高精度に行うためには、さまざまな誤差要因が考えられるが、ここでは特に精度上重要となる構成要素について説明する。
輝度画像での平面方向の計測を行う場合、測定精度を決定する要因として、走査機構の振り角制御が最も重要である。長期的にも安定した計測が行えるように、標準サンプルによって定期的に校正されている製品が多い。また走査光学系において多く使用されているガルバノミラーもコイルにより位置検出を行うため、安定するまではある程度の時間が必要となる。コンフォーカル光学系では焦点位置近傍において輝度変化が急峻であるため、焦点合わせも測定結果の繰返し性に影響する1つの要因である。そこで、反射式オートフォーカス機構を備え、操作する人による差のない繰返し性のよい測定が可能となる機能を有する装置もある。レーザー顕微鏡で取り分けサンプル表面上のパターンの幅を計測する線幅測定を行う場合、特にX軸とY軸の速度が異なることからも、振動などの外乱の影響を受けにくい、比較的高速であるX軸方向で測定するのが望ましい。
3次元計測においても、線幅計測と同様に画像は重要な要素ではあるが、さらに対物レンズとサンプルを相対的に移動可能な、Z駆動機構の駆動精度が重要となる。Z駆動機構としては、対物レンズを取り付けているレボルバをZ方向に駆動する方式と、サンプルを載せているXYステージをZ方向に駆動する方式が考えられる。後者の方式においては、サンプルの質量が一定でないことと、比較的質量の大きなXYステージをZ方向に駆動しなければならないので、Z方向の駆動の安定性を考え、常に質量が一定かつ比較的質量の小さい対物レンズや対物レンズが複数本装着されたレボルバ駆動方式が採用される場合が多い。レーザー顕微鏡で高さ測定を行う場合、前述のように、各画素で最高輝度をZ方向に移動させながら見つけなくてはならない。このため移動機構も最高倍率においては、10nm程度の分解能にで正確に動かす必要がある。駆動機構の詳細はここでは割愛するが、一般的にnm精度の分解能で数mm程度駆動させるため、高精度なリニアガイドと、送りねじを組み合わせ、パルスモーターなどで駆動する場合が多い。また高精度化を目的として、スケール方式やレーザー干渉方式などの測長機を内蔵した装置もある。さらには実際の計測にあたっては、図2で記載したI-Zカーブは、対物レンズの倍率で決定されるため、対物レンズに応じた適正なZ軸の移動ステップが存在する。I-Zカーブに対し粗いステップで取り込みを行うと、間違った位置を最大輝度として測定してしまうこととなり、逆に細かく取りすぎても時間ばかりかかり、測定値に装置のドリフトを含み、誤差を生じる可能性がある。このためZ軸ステップはI-Zカーブを把握したうえで決定するか、メーカの推奨値で行うのがよい。コンフォーカル光学系とこの高精度Z軸駆動機構により、現在レーザー顕微鏡では最高倍率の対物レンズを使用し数nm程度までZ方向に分解可能となっている。以上に挙げた項目以外にも、光学系のフラットネスなど、3次元計測には精度を劣化させるさまざまな要因があり、これらの項目を設計および製作上極小になるよう取り組むことで、さらに高精度なレーザー顕微鏡が提供できるものと考える。
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