収差は光を「光線」として捉えた「幾何光学」として古くから用いられてきたものです。顕微鏡光学系では、波長単位の微小な標本を扱うことが多いため、回折の影響も含めた「波」として考え、その波の位相まで扱う波動光学を用いることがあります。
その際の評価方法としては「波面収差」を使用します。下図に示すとおり、顕微鏡光学系において理想結像条件を満足した場合、標本の1点から出た球面形状の波面(球面波)は理想的な対物レンズによって平面波に変換されます。平面波は理想的な結像レンズにより、球面波に変換され像面で1点に集光されることになります。これらの波面を「理想波面」と呼びます。
次に(1)球面収差の項で示した図を元に、実際に収差を有する光学系での波面の振る舞いを示します。
上図において理想波面と実波面とのズレ(隔たり具合)を「波面収差」と呼びます。