射出成形された自動車部品の耐スクラッチ性は、自動車の外観において重要な役割を果たします。 共焦点顕微鏡は、耐スクラッチ性を向上させる添加剤の効果を迅速かつ高精度で数値化できます。
Croda Internationalの科学研究員はOlympusの共焦点顕微鏡LEXT OLS5000を使用して、標準化されたスクラッチテストにおける添加剤のプラスの影響について示しました。 この方法によって、精度、作業者の違いによるばらつき、速度に大幅な改善が見られました。 プラスチックは、その多用途性、長寿命、低コストの性質から、数多くの自動車部品の製造に使用されています。 高分子材料の性質が改良されたこと、および自動車材料の軽量化への動きにより、自動車製造で使用されるプラスチックの多様化が拡大しています。 こうした部品の多くははっきりと目に見えることから、自動車の外観と価値に重要な役割を果たしています。 耐スクラッチ性材料は、自動車の外観に対する摩擦や引っかきの影響を最小限に抑えることによって、長期にわたる価値を持続します。 材料の正確な組成が耐スクラッチ性を決定するため、詳細なテストによって特定の材料が持つ耐スクラッチ度を示すことができます。 | CrodaCroda International PLCは、プラスチックの耐スクラッチ性を向上させるための移行性添加剤を供給するリーディングカンパニーです。 これらの添加材は植物由来のバイオ材料であり、通常最大1%という少量のポリマーと混合されます。 射出成形後、これらの添加材は表面に蓄積され、スクラッチの影響を緩和する薄いフィルムを形成します。 |
図1
LEXT OLS5000のソフトウェアを使用したスクラッチテストデータの可視化
(図2) 「テストでは1つの傷を付けると両側に2つの山ができます。これは畑にすきを入れる状況と似ています」。 サンプルにキズが付いた後、材料プラークの深さ、幅、側面を測定して、組成間の違いを判断します。 Crodaの今までの方法では、広視野材料顕微鏡を使用して傷の幅を測定し、白色干渉計を使用して傷の側面を可視化することで深さを判断していました。 ただし、この方法は非常に時間がかかるという課題がありました。特に干渉計のセットアップと結果の分析が複雑なことが原因です。 さらに干渉計の使用は、ユーザー間のばらつきが大きいことや表面形状の誤差にも関連していました。 |
Martinは次のように述べています。「LEXT OLS5000は、3Dで正確に測定できるため、傷をスライスして表示したり、深さを測定することが以前よりも非常に簡単にできます」(図4)。 干渉計を使用して傷の深さと側面を測定する際の主な課題は、ポリプロピレンなどの材料の側面に存在する先の尖った部分です。 このような部分は測定を阻害する可能性があり、干渉計が表面を検出できないことにつながります。 「ポリプロピレンは多孔質構造であるため、干渉計は表面を検出せず、直線状に見えます」とMartinは言います。 同じサンプルをLEXT OLS5000で測定したところ、傷が付いた表面の滑らかな画像を取得して傷の正確な形状を把握でき、測定が容易になりました(図4)。 高速かつ正確な測定画像化、測定、分析の速度に関しては、さらに大幅に改善されました。 Crodaの研究員たちは、LEXT OLS5000を傷の幅と深さの両方に使用することによって、干渉計と比較して10倍から100倍の速さで検査を実行できることがわかりました。 「傷を測定するには、干渉計をできるかぎり素早く走行するようにセットアップする必要があります」とMartinは言います。「そしてこのセットアップは極めて困難です。 1回の測定に約1時間かかります。 共焦点顕微鏡を使えば、プラスチック表面上にある10個の傷を約2分で処理できます」。 | 「Olympusの顕微鏡による処理の速さを知ると、以前のシステムでどれほど時間を費やしてきたかうんざりしてしまいます」 Dimitris Vgenopoulos、アプリケーション科学者 オペレーター間のばらつきも干渉計の重要な問題です。 Martinは「旧来の技術では、同一サンプルに対して部署内の4人がそれぞれ異なる結果を出す可能性がありました」と指摘します。 LEXT OLS5000は、サンプルの測定と分析を自動的に行うため、ワークフローが容易化かつ標準化されて、人間による操作ミスが少なくなります。 |
要約耐スクラッチ性添加剤は、自動車の美的外観を向上させ、価値をより長く保つことができます。 スクラッチテストで正確に測定できれば、こうした添加剤のプラスの効果を検証する際に信頼性のある手段となります。 Crodaで以前使用していた傷の測定方法は、光学顕微鏡と干渉計に基づいており、非常に時間がかかり、表面形状の誤差に関連付けられていました。 Crodaの研究員はOlympusの共焦点レーザー顕微鏡LEXT OLS5000を使用することにより、光学顕微鏡や干渉計と比べて測定精度を向上させ、オペレーター間のばらつきを削減することができました。 また、測定速度を10倍から100倍速くすることができたことから、LEXTOLS5000により、検査効率とデータ品質の両面を改善したといえます。 | 著者Markus Fabich |