一部の超音波フェーズドアレイ探傷装置では、統合型探傷装置としての使用を可能にするため、一振動子型探触子(および二振動子型探触子)による検査用に従来型の超音波探傷であるUTチャンネルも装備しています。この従来型のUTチャンネルがどの様に機能するかその仕組みを知ることは重要です。
パルサー:
フェーズドアレイの振動素子はサイズが小さいという理由の他に、振動素子間で受信信号の強め合い作用の結果、感度が高くなるということを利用して、通常、フェーズドアレイパルサーの印加電圧は100Vまでに制限されます。この100Vに制限されたフェーズドアレイパルサーを、しばしば従来型の超音波探触子用パルサーとして使用しています。しかし、こうした使用はビーム路程が非常に長いアプリケーションや試験材料の減衰が非常に高いアプリケーションにおいて、特に2.25MHzまたはそれ以下の周波数が使用される場合は不利な制約要素となります。
画像サポート: 統合型探傷装置のフェーズトアレイ機能部分は、A-スキャン、 B-スキャン、
C-スキャン、そしてセクタースキャン(もしくはリニアスキャン)をサポートしますが、このことは従来型の超音波探傷機能部分でも画像機能(B-スキャン、C-スキャン)を内蔵しているという意味ではありません。もっと高性能な統合型探傷装置では、一般的な超音波探傷機能側で取得した波形データを使ってタイムベースによる断面B-スキャンを表示可能です。こうした探傷装置の中には1軸または2軸のエンコーダー付きスキャナーを用いて、実際の位置と関連したB-スキャンとC-スキャンを生成可能なものもあります。なお、セクタースキャンやリニアスキャンは、超音波フェーズドアレイ機能に限定されます。
下の画像は、超音波フェーズドアレイと従来型の超音波探傷機能を組み合せた統合型探傷装置を従来型の超音波探傷モードにして、エンコーダー付きハンドスキャナーに入った二振動子型探触子によって腐食パイプにB-スキャンを実行している様子です。
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