高周波数音波の反射および透過は長年、構造物用金属、パイプ、タンク、ボイラー管、鉄道の線路や車軸、航空宇宙用複合材料など多様な産業用途での検査や、溶接部の完全性評価にとって重要な技法であり続けています。 資格のあるオペレーターが適切に使用した場合、超音波NDTは迅速で信頼性が高く、通常は超音波カプラントで湿らす以外に試験片の前処理が不要で、使用に際して特別な安全上の問題や規制許可の要件もありません。 こうしたことから、超音波探傷は長年にわたり重要な品質保証手段となっています。
前のセクションで触れたように、超音波検査の始まりは1930年代の初期研究まで遡り、最初の実用的超音波探傷器の商品であるSupersonic ReflectoscopeがSperry Products社によって世に送り出されたのは1945年でした。 この技法は、その後20年にわたり徐々に受け入れられ、数多くの製造業者が超音波探傷を導入しました。 初期の装置には真空管が使用されていたため大型で重く、AC電源が必要でした。 1960年代にソリッドステート回路によって装置が小型化し、バッテリー電源が導入されると、超音波検査は現場で実用的に用いられるようになりました。
これらすべての初期装置ではアナログ信号処理が用いられていたため、あらゆるアナログ装置と同様に校正ドリフトの発生は免れませんでした。 1984年、オリンパスNDTの前身であるPanametrics社は、世界初となるポータブル式デジタル探傷器EPOCH 2002を発売しました。 以降、デジタル探傷器はスタンダードになり、校正のデジタル安定化、測定のデジタル精度、内蔵データ記録、画面画像・検査レコード・設定をコンピューターと共有する機能を実現しています。
基本となるテクノロジーが一般的になった一方で、ハードウェアとソフトウェアの開発も進み、装置はかつてないほど小型化および多機能化しています。 小型のハンドヘルド装置と一振動子型探触子を用いた従来型超音波探傷は、多くの製造業やサービス業において品質管理技法として確立しています。 近年では、マルチエレメントプローブに基づく最新テクノロジーを用いたフェーズドアレイシステムに注目が集まっています。この技法では、ステアリングビームを生成して、医療機器の超音波イメージングに似た断面図を作り出します。 こうした機器は溶接部検査でも広く使用されています。