従来型の超音波探傷器(UT)と同様に、超音波フェーズドアレイ探傷装置(PA)は欠陥やその他のエコー源の位置を特定するソフトウェアツールを搭載しています。通常、ソフトウェアツールはエコー源の探知をフェーズドアレイプローブに対するエコー源の表面位置、試験体表面に対するエコー源の深さ、そしてビーム入射点からエコー源までのビーム路程距離により行います。1回反射を用いる場合、超音波フェーズドアレイ探傷装置は反射が発生するレグの位置を特定します。
最初に、ビーム入射点(超音波ビームの中心がウエッジから出るポイント)は従来型の超音波探傷用ウエッジではその位置が固定されていますが、超音波フェーズドアレイ用のウエッジではその入射点が動くということに注意してください。リニアスキャンの場合は、ビーム入射点はスキャンシーケンスと共にプローブの長手方向に沿って移動します。斜角セクタースキャンの場合は、ビームのそれぞれの角度成分がウエッジの異なるポイントから出ます。
下の画像は従来型の超音波探傷において、鋼板のコーナー部からの二つのエコー源の位置情報を表示しています。一つは底面コーナーからの1番目のレグ信号、もう一つは上面コーナーからの2番目のレグ信号です。それぞれ下の例のように適切な位置に探触子を当てた時に検出されます。
従来型の超音波探傷器では、ウエッジからのビーム入射点を深さおよび距離を計算する基準として使用します。この例として、下の最初のディスプレイ画面上方の測定値インジケーターに底面コーナーのエコー源がビーム入射点から深さ25mm、表面距離25mmのところにあり、さらにビーム入射点からエコー源までのビーム路程が35.3mmであることを示しています。2番目のディスプレイ画面では上面コーナーのエコー源がビーム入射点から深さ1.5mm、表面距離48.5mmのところにあり、さらにビーム入射点からエコー源までのビーム路程は68.6mmであることを示しています。(深さと表面距離およびビーム路程の測定値がそれぞれ理論値の0mmと50mmおよび70.7mmから若干誤差があるのはビームの指向角の影響によるものです。)1番目と2番目のレグ数の違いは画面右下に縁取られた1L1と1L2(ゲート1 /レグ1と、ゲート1/ レグ2の省略形)によって表示されています。
底面コーナーから1番目のレグ指示
上面コーナーから2番目のレグ指示
フェーズドアレイプローブではビーム入射点が可変であるため、欠陥位置の測定基準をビーム入射点ではなくウエッジの前面にするのが一般的な方法です。以下の寸法はビーム情報から計算することができます。
DA = ゲートAのエコー源の深さ
PA = ウエッジ前面からエコー源までの表面距離
RA = ウエッジ基準点からエコー源までの表面距離
SA = ビーム入射点からエコー源までのビーム路程
この表示形式では、1番目と2番目および3番目のレグのそれぞれの境界は点線の水平ラインで区切られています。下の例では、底面コーナーのエコー源は1番目と2番目のレグの境界上にあり、上面コーナーのエコー源は2番目と3番目のレグの境界上にあることが分かります。さらに画面上端の測定値インジケーターはエコー源の位置を示しています。
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斜角セクタースキャン(欠陥位置)>>