超音波非破壊検査の最初の数10年間は、探触子は水晶または圧電セラミック製の固体ディスクをベースにしていました。比較的最近になりコンポジットプローブがそれに代わり登場してきました。このコンポジットプローブは製造コストが高く高価になりますが利点もあります。
帯域幅が広くかつパルス回復時間が相対的に早いという特性を維持する一方、従来型の類似探触子と比べて感度が12dB程度増加しています。
コンポジットプローブは標準的な圧電材料を格子状にカットして製造します。カットされた振動子の隙間にはエポキシ樹脂を充填します。その後、底面を研磨してエポキシ・マトリックスの中に一連の小圧電ブロックが残るようにします。さらに両面を電気接続用にメッキし、組み込まれるプローブの型に合わせて正方形、長方形、または円形の形状にカットされます。
こうして製造された振動子では、多数ある個々の圧電ブロックが球面波の点源の役割を果たします。その球面波はホイヘンスの原理に従い単一波を合成します。プローブの感度は増加しますが、それは個々の圧電ブロックが固体ディスクまたはプレート中央のある一点と比較してより自由に拡張、収縮するためです。さらに、エポキシの存在は振動子の音響インピーダンスを下げ、複合材料やポリマー樹脂とウエッジ、遅延材および水との音響結合を一層効率的にします。 一つ可能性として考えられる欠点は、直接接触法において通常タイプに比べてより自由に共鳴する振動子の近表面部における近距離分解能の問題です。コンポジットプローブという特殊な振動子の製造技術は、フェーズドアレイプローブの構造および波面形成の基盤を成すという点で特別な意義があります。