ビーム径がプローブから如何なる距離にあっても、そのビーム径を指向角から計算することができます。正方形または長方形のフェーズドアレイプローブの場合、パッシブ面の指向角はフラット・タイプのプローブの指向角と同様になります。ステアリング面またはアクティブ面では、ビームを電子的にフォーカス(集束)して音響エネルギーを希望の深さに集中させることができます。フォーカスされたプローブの場合、ビーム形状は通常、先細りの円錐形(または単軸フォーカシングの場合はくさび形状)として表われます。ビーム像は集束点に集束し、そこから先は同じ角度で分散して行きます。下図を参照して下さい:
近距離音場限界距離と超音波ビームの自然分散は、開口幅(従来型の一体型探触子の場合、振動素子径に等しい)と波長(音速を周波数で除したもの)によって決まります。フォーカスされていないプローブの場合、近距離音場限界距離、指向角、そしてビーム径は以下の様に計算できます:
ある物質における近距離音場限界距離は、音波ビームのフォーカスが可能な最大距離と定義付けすることもできます。ビームは近距離音場限界点を超えてフォーカスすることはできません。
フォーカスされた探触子の有効感度はあるポイントでのビーム径によって影響されます。ビーム径が小さければ小さいほど、小さな欠陥が反射するエネルギー量は逆に大きくなります。フォーカスされたプローブの-6dBでのビーム径は以下の様に計算できます:
これらの計算式から、振動素子径と周波数の両方または一方が増大するのに伴い、指向角は減少することが分かります。ビーム・エネルギーが一層緩やかに分散するため、指向角が小さくなると今度は遠距離音場域での有効感度は高くなります。近距離音場内でプローブはフォーカスされ、分散ではなく集中するビームを生成させます。ビーム径を集束点まで狭めることにより、フォーカス・ゾーン内の単位面積当たりの超音波エネルギーを増大させ、小反射物に対する感度を高めます。こうしたことは従来型探触子では、通常、屈折型音響レンズによって行っていますが、フェーズドアレイプローブではパルス発信の位相制御とそれによるビーム生成作用を利用して電子的に行っています。
長方形振動素子搭載のリニア型および正方形型フェーズドアレイプローブが最も一般的に使用されていますが、このアレイの場合、ビームはステアリング方向にフォーカスされ、ステアリングが不可能な方向にはフォーカスされません。開口幅を増すことにより集束されたビームのシャープさを増すことができます。このことは下のビーム形状を見ると分かります。赤い部分は音圧の最も高いところを示し、青い部分は音圧の低いところを示します。
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