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渦流アレイ(ECA)技術
渦流アレイ(ECA)は、複数のセンサーコイルをアレイ状に組み合わせたプローブをコンピューター制御することにより、シングルパスで広範囲の検査エリアをカバーすることが可能な技術です。基本的には渦流(EC)技術と同様の原理であり、探傷器の校正や操作も容易で、材料表面および表面近傍の欠陥検出に優れています。渦流アレイは渦流と比較し、一度に広範囲をカバー、高速スキャン性能、優れた検出能力、データのカラー画像化といったメリットがあります。
OmniScan
MXはモジュール方式のマルチテクノロジー探傷器で、多様なアプリケーションに対応するため、渦流アレイ(ECA)、渦流(EC)、ボンドテスト(BT)C-スキャンの3種類の技術に対応します。MXE(ECA/EC)とMXB(BT
C-スキャン)対応の二つのモジュールは探傷技術の切り替えも容易で、短時間のトレーニングで操作方法も簡単に習得できます。
渦流アレイモジュール搭載のOmniScan MX
ECAの構成は、ブリッジあるいは送受信モードで作動する32系統のセンサーコイル(外部マルチプレクサーの使用で最大64センサーコイル)に対応します。使用周波数は、20Hz~6MHzで、同時に多重周波数でも探傷可能です。
渦流アレイの利点
単一チャンネルの渦流技術と比較すると、渦流アレイ技術には次のような利点があります。
渦流アレイプローブ
オリンパスでは、幅広いアプリケーションに合わせてECAプローブを製造しています。
プローブは、特殊な欠陥タイプを検出したり、試験体の外形に合わせて簡単に検査できるよう、さまざまな形状やサイズのものを取り揃えています。標準設計のプローブは、クラックや孔、また、腐食や多層構造におけるクラックのような欠陥の検出に適しています。
センサーコイル間のマルチプレキシングの原理(上記のコイル表示は、分かりやすく図解するためのものです。)
渦流アレイプローブは従来2軸で行っていたスキャンを1軸で済ませることができるため、機器のセットアップとスキャン作業を容易にします。
渦流アレイプローブは、さまざまな形状やサイズで設計ができ、試験体の外形に合わせて製作可能です。
アルミニウムで6mmまでの腐食検査用送受信プローブ
オプションのエンコーダーを搭載した表面クラック検出用送受信プローブ
表面クラック検出用アブソリュートプローブ
容易なデータ収集と解析表示
校正ウィザード
アラーム
自動プローブ検出と設定
解析モードの減算ツール
この機能は、近接したチャンネル間に見られるリフトオフ偏差を取り除きます。
高機能リアルタイムデータ処理
ECA/ECモジュール仕様 > 外形寸法
(W x H x D) | 244 x 182 x 57mm |
---|---|
ECA/ECモジュール仕様 > 質量 | 1.2kg |
ECA/ECモジュール仕様 > コネクター |
渦流アレイプローブ用OmniScanコネクターx1
19-ピンFischer渦流プローブコネクターx1 BNCコネクターx1 |
ECA/ECモジュール仕様 > チャンネル数 |
EC: 1~4チャンネル
|
ECA/ECモジュール仕様 > プローブ認識機能 | 自動プローブ認識と設定 |
ジェネレーター > ジェネレーター数 | 1(内部コンピューター制御による) |
ジェネレーター > 最大電圧 | 12Vp-p(10Ω) |
ジェネレーター > 使用周波数 | 20Hz~6MHz |
ジェネレーター > 帯域幅 | 8Hz~5kHz(単数コイル)タイムスロットの継続時間に反比例、マルチプレクスモードで設定 |
レシーバー > レシーバー数 | 1~4 |
レシーバー > 最大入力信号 | 1Vp-p |
レシーバー > ゲイン | 34dB~74dB |
内蔵マルチプレクサー > ジェネレーター数 | 32(8タイムスロットのうち4タイムスロット同時作動、外部マルチプレクサーにより最大64まで可能) |
内蔵マルチプレクサー > 最大電圧 | 12Vp-p(50Ω) |
内蔵マルチプレクサー > レシーバー数 | 4ディファレンシャルレシーバーx4(各8タイムスロット) |
内蔵マルチプレクサー > 最大入力信号 | 1Vp-p |
データ収集 > デジタイジング周波数 | 40MHz |
データ収集 > データ収集速度 | 1Hz~15kHz(単数コイル)、速度については探傷器のデータ処理機能あるいは多重励起モードで設定される遅延により異なる |
データ収集 > A/D分解能 | 16ビット |
データ処理 > 位相回転 | 0.1°の増加で0°~360° |
データ処理 > フィルタリング | FIRローパス、FIRハイパス、FIR帯域パス、FIR帯域ストップ(周波数のカットオフ調整)、メディアンフィルタ(2ポイント~200ポイント)、平均フィルター(2ポイント~ 200ポイント) |
データ処理 > チャンネルプロセッシング | ミキシング補間 |
データ保存 > 最大ファイルサイズ | 内蔵メモリーサイズに依存、180MB(またはオプションにて300MB) |
データ同期 > 内部クロック | 1 Hz~15 kHz(単数コイル) |
データ同期 > 外部ペース | あり |
データ同期 > エンコーダー同期 | 1軸あるいは2軸 |
アラーム > アラーム数 | 3 |
アラーム > アラームゾーン形状 | 扇形、逆扇形、ボックス型、逆ボックス型、円形 |
アラーム > 出力タイプ | ビジュアル、オーディオ、TTL信号 |
アラーム > アナログ出力 | 1(XまたはY) |
渦流アレイ(ECA)は、センサーコイル間の電子制御機能を除き、基本的には渦流(EC)と同様の技術です。渦流アレイ探傷器の操作や校正は簡単に行うことができます。OmniScan MXE 3.0 ECAソフトウェアは、オリンパスのNORTEC 500など従来の渦流探傷器から渦流アレイ探傷器への切り替えが簡単にできるよう設計されています。
シングルチャンネルEC | 32系統の同時チャンネルECA |
NORTEC 500のメインメニュー | OmniScan MXE 3.0のメインメニュー |
渦流アレイ(ECA)の校正は、渦流(EC)とほぼ同じ手順で行います。リフトオフ機能、ゲインとヌ(ゼロ)調整機能もそのままのため、短時間で簡単に校正が行えます。
従来のECプローブのように、ECAプローブでリフトオフ信号を生成
OmniScanのスクロールノブで、リアルタイムに位相角を調整できます。ゲイン、縦ゲイン、ヌルポイント(H/V)も同様に調整可能です。
渦流アレイは、導電材料の薄いコーティング層下に生じる欠陥を探傷できる独自の性能を備えています。これは、浸透探傷試験、磁粉探傷試験、磁気光学イメージング(MOI)試験など従来の検査法と比べて非常に効率の良い検査法です。塗料やコーティング材の除去および再塗布の作業が不要なため、検査時間やコストの削減につながるだけでなく、化学薬品も使用する必要がありません。
浸透探傷試験による試料(可視赤色染料) | 赤色の染料PT(特許権保護)と同様のカラー表示による渦流アレイ(ECA)プローブによるスキャン(化学薬品不使用)。感度は調整可能 |
MXE 3.0 ECAソフトウェアは、特許取得済みのカラーパレット表示機能を備えており、従来の検査法の表示色と同様なカラーで渦流アレイ信号を分かりやすく表示できます。
浸透探傷試験(蛍光) | 磁粉探傷試験(赤色の粉体) | 磁粉探傷試験(蛍光) |
OmniScan MX ECA探傷器は、データ記録、解析およびレポート作成機能を備えており、現場での探傷を完了した後もその性能を発揮することができます。OmniScan MX ECAでは、各欠陥指示を再度確認し、必要に応じて補正することができます。MXE 3.0 ECAソフトウェアは、直感的操作が可能なデータカーソルを備えており、現場で探傷器から直接操作したり、オフィスでマウスを使って操作したりすることができます。
MXE 3.0のカーソル操作は簡単で、すぐに欠陥指示を選択することができます。 | 記録済みのデータも簡単に補正することができます。上図は、ゲイン(コントラスト)調整の例です。 |
OmniScan MX
ECA探傷器には、簡単にレポート作成可能な機能が搭載されています。設定されているレポート形式にはスクリーンショットおよびさまざまなデータフィールドが含まれおり、さらにレポート構成のカスタマイズも簡単に行うことができます。
また、データ収集時やデータ解析時にキーを一度押すだけで、探傷器のメモリーカードに簡単にデータを保存することができます。
マウス入力によりデータ解析を短時間で効率的に行えます。CompactFlashリーダー経由でPCにファイルを保存可能です。
OmniScan MX
ECA探傷器は、従来の渦流インピーダンスプレーンで渦流アレイ信号を表示するだけでなく、エンコーダー渦流アレイの表示・レイアウト機能を備えています。これらの表示機能により、渦流アレイ検査の結果を視覚化し、ユーザーの定義に基づいた合否判定を行うこともできます。
OmniScan MX ECAのインターフェースは、直感的な操作が可能で設定や操作を素早く簡単に行うことができます。
1. ライブインピーダンスプレーンを使って、リアルタイムに通常の渦流検査(EC)を制御します。 | 2. エンコーダーおよびC-スキャン表示をオンにします。 | 3. 設定を微調整します。これで、探傷の準備は完了です。 |
フルC-スキャン表示でゲインを使ってコントラスト調整 |
タイムベースの探傷の利点は、エンコーダースキャン(C-スキャン画像)によって、カラーコード化された画像と欠陥の位置、形状、寸法に関連する有益なデータを生成し、わずかな操作でほぼ無制限のスキャン性能を発揮できる点です。
MXE 3.0 ECAソフトウェアは、連続エンコーダーモードを搭載しタイムベース探傷の使いやすさを備え、エンコーダー補正による画像化を行うことができます。このモードの探傷は、必要に応じて欠陥指示を記録できるため大変効率的です。
従来の渦流技術では、ほとんどの表面または表面近傍検査における欠陥の重大度は、渦流信号の応答振幅に相関しています。振幅に基づいたカラーコードやエンコーダーの位置情報による各チャンネルの応答信号の表示により、明確で分かりやすいC-スキャン表示を可能にします。これらのスキャン表示は、取り外しが簡単なメモリーカードに保存し、OmniScan MXのレポートに挿入することができます。
渦流アレイの感度とコントラストの調整には、校正用標準試験片(欠陥の深さが判っているもの)を使用 | 各欠陥の深さ範囲に応じて色分けされた、校正済みの渦流アレイスキャンの画像 | 腐食を示す実際の航空機外板。欠陥の深さを色分けして表示 |
OmniScan MX ECA探傷器では、C-スキャンカラー表示に従って欠陥指示を承認または却下することができます。MXE 3.0 ECAソフトウェアには広範なカラーパレットが搭載されているため、すべての渦流アレイの用途で最適な信号表示が可能になります。
さらに、C-スキャンアラーム機能により、却下(リジェクション)信号のゲート設定を簡易化し、インピーダンスプレーン信号がアラームゾーンに入るとすぐにC-スキャンの表示カラーが変更されます。
MXE 3.0 ECAは用途別の多様なカラーパレットを装備(特許取得済み) | C-スキャンの表示カラーは、アラーム機能により信号が却下(リジェクション)ゾーンに入るとカラーを変更 |
OmniScan
MXは、検査中でもメニューキーを長押しするだけで渦流モード(EC)と渦流アレイモード(ECA)を簡単に切り替えることができます。両方のプローブを接続したままでもセットアップは有効です。
ECAプローブとECプローブを同時に接続しておくことにより、ハードウェアのセットアップを停止、再構成せずに、簡単に作業の切り替えを行えます。
メニューキーを押して切り替え。 | ||
ECAインターフェース(青色)は、ECモードやNORTEC 500と同様に使いやすい設計です。 | ECインターフェース(緑色)には、調整可能なヌル(ゼロ)位置などの機能が含まれています。 |
ECモードのOmniScan MXでは、高品位の信号デジタイザーとデジタル信号処理機能を装備しているため、信号損失や歪みを低減させることができます。鮮明な大型ディスプレイによって、常に高品位の信号を表示可能です。
ECモードのOmniScan MXは、ケーブルやアダプターを使用してほとんどのNORTEC用ECプローブを利用することができます。
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