活性炭は、金の回収プロセスの一環として世界各地の採鉱場で日常的に使用されています。 活性炭はカーボンインリーチ(CIL)法およびカーボンインパルプ(CIP)法の両方で使用されます。 このCIL法とCIP法では、シアン化法で生成されたパルプまたは溶液から金(Au)を回収します。 World Gold Councilによると、シアン化法では他のプロセスよりも多くの金が回収されます。
金のシアン化は、金を水溶性錯体に変質することにより鉱石から金を抽出する湿式冶金法です。 活性炭は混合された溶液から金を吸着します。 次に活性炭が電解採取回路を通過する際に金を取り去り、それを精錬して金の延べ棒を製造します。
活性炭内の金やその他の元素をモニタリングすると、工程を最適化して金の回収量を最大にすることができます。 ハンドヘルド蛍光X線分析計VANTAは、そのスピード、使いやすさ、大幅に向上した測定精度から、鉱山の現場ラボ内で従来の検査法に替わって使用されています。
VANTA分析計では、30種を超える元素について、固体か液体かに関係なく、痕跡レベルからパーセントレベルまで、また試料からミネラルサイクル全体まで正確な化学分析結果が得られます。 VANTA分析計は、処理前の粗粒または処理後の微細粒の処理の一環として、各タンクの活性炭に吸着付着した金の量を測定するために使用できます。
活性炭内の金の濃度は測定範囲が広く、通常は10,000グラム/トン(g/t)、つまり1%にも達します。 VANTA分析計を使用すると、さまざまな採鉱現場からの活性炭内に含まれる銀(Ag)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)をモニタリングできます。
活性炭内のカルシウムをモニタリングすることは有用です。 石灰はシアン化法の一環として使用されますが、石灰投与に繰り返しさらされると活性炭内の孔隙がふさがれるため、金を抽出する力が弱まります。 カルシウムの検出量が多すぎる場合、新しい活性炭を投入するか、既存の活性炭を再生する必要があることを示しています。 VANTA分析計では、金、銀、銅の測定と同時にカルシウムも分析できます。
ハンドヘルド蛍光X線分析計(XRF)と ラボの測定結果の比較
以下のグラフは、各地の採鉱現場および認証標準物質の活性炭に含まれる金について、VANTA分析計とラボの測定結果を比較したものです。 これは、ラボとハンドヘルド蛍光X線分析計の測定結果に優れた相関と正確性があることを示しています。 また、ハンドヘルド蛍光X線分析計がどの採鉱現場の活性炭でも金の吸着傾向をモニタリングし、選鉱判断とラボ作業に役立つことも示しています。
試料 | Au測定値ppm(ラボ) | Au測定値ppm(オリンパスハンドヘルド蛍光X線分析計) |
1 | 544 | 536 |
2 | 784 | 814 |
3 | 1350 | 1296 |
4 | 2370 | 2387 |
5 | 468 | 477 |
6 | 395 | 443 |
7 | 239 | 299 |
8 | 1580 | 1713 |
9 | 1688 | 1532 |
10 | 547 | 527 |
11 | 260 | 205 |
12 | 64 | 60 |
GBC314-2 | 96 | 119 |
GBC913-2 | 508 | 654 |
GLC915-3 | 1472 | 1673 |
GLC615-4 | 3405 | 3622 |
GLC615-7 | 6815 | 6652 |
GLC910-3 | 8713 | 8698 |
Plant Cell 2A | 9178 | 8933 |
Plant Cell 2B | 6428 | 6497 |
Plant Cell 3A | 5666 | 5845 |
Plant Cell 4A | 2828 | 3027 |
Stage 1A | 1015 | 837 |
Stage 2A | 700 | 700 |
Stage 3A | 390 | 323 |
Stage 6A | 86 | 34 |
Stage 6B | 48 | 26.5 |
ハンドヘルド蛍光X線分析計は、活性炭内の金の吸着傾向をモニタリングするための効果的なツールであることが示されています。 VANTA分析計の測定結果はラボの測定結果に近接しています。 ハンドヘルド蛍光X線分析計によってリアルタイムモニタリングが可能になるため、活性炭の効率を維持し、ラボでの分析に関連する費用や遅延を少なくするのに役立ちます。