遠隔目視検査(RVI)はプラント管理の重要な要素であり、重大な損失につながり得る、リークやその他の事故の防止に役立ちます。プラントのシャットダウンは不経済であるため、信頼性について妥協のない迅速で効率的な検査が、プラントの収益性にとって非常に重要となります。他にも検査手法はありますが、確信の持てる意志決定のために重要となる、実物にできるだけ近い画像を取得できる手法は、RVIだけです。検査しなければならない設備が多種多様であるため、プラント検査の難易度は高いものになっています(2ページの表を参照)。プラント設備の各部分の検査には、構成部品の形状(小さな開口、狭い空間)や状態(損傷、汚損)に関連する特有の課題が伴います。 |
一般的な検査業務とプラント管理における課題
装置 | 検査する部分 | 欠陥 | RVI検査における課題 |
パイプ | 接続、エルボー継手 | 目詰まり、割れ、ピンホール、溶接不良、ライニング | 閉鎖空間、暗条件、画像トレーサビリティ、高温(時として) |
ボイラ | チューブ内部、ヘッダ | 目詰まり、割れ、くず、溶接不良、ライニング | 暗条件、カメラの不安定、反射面、高温 |
熱交換器 | チューブ内部 | 目詰まり、割れ、くず、ライニング | 閉鎖空間、暗条件、画像トレーサビリティ、高温 |
タービン | タービンブレード、燃焼室 | 割れ、くず | 暗条件、カメラの不安定、反射面、高温 |
容器/反応器 | 内部配管、容器底部 | 目詰まり、割れ、くず、溶接不良 | 閉鎖空間、暗条件、カメラの不安定、高温、高レベルの放射線 |
弁 | 接続部 | 目詰まり、ピンホール | 暗条件、反射面 |
最新世代のビデオスコープには、これらの複雑な検査上の課題に対処するために特別に設計された、革新的な機能が搭載されています。これらのビデオスコープを使用することで、より迅速な検査と、より豊富な情報に基づく意志決定による高い投資回収率が実現できます。
アクセシビリティと操縦性に関する課題の克服
パイプやリアクター、あるいは熱交換器のような大きな構造物の総合的な検査を実施するには、最もアクセスが困難な場所での画像を取得することが重要です。したがって、RVI検査においては、いかに検査箇所へ到達できるかが主な課題となります。その結果、スコープの寸法と、その操作に対し、非常に高いレベルが要求されています。オリンパスIPLEX NXビデオスコープ(図1)の直感的な湾曲操作は、例えば熱交換器の内部に見られる長くて狭いパイプのような、アクセスが困難な環境下であっても、容易な操作を可能にします。屈曲部周辺や狭い空間で操作する際、あるいは通過すことが困難な開口部や狭い開口部へ挿入させるとき、検査員はスコープの先端部を思い通り正確に操作すことができます。TrueFeel電動湾曲機能を活用した湾曲部の操作にはジョイスティックを用いるため、狭い場所で作業する際も目で見た通りに直感的に操作でき、検査時間を短縮できます(図2)。
図1—オリンパスIPLEX NXビデオスコープのような最新世代のRVIツールを使用することで、プラント保守検査は簡単かつ迅速なものになる | 図2—ジョイスティックベースの湾曲機能が、狭い場所での直感的な操作を実現 |
IPLEX NXビデオスコープのスコープラインアップのうち、これらの用途にお勧めするのは外径6mm、長さ7.5mのスコープで、これを用いると、両端からアクセス可能であれば最長15mまでのパイプを検査することができます。従来のビデオスコープより1.3倍短い硬質部長を備える6mmのスコープであれば、高輝度照明の恩恵を受けたまま、細いパイプ内を検査することができます。最も細いパイプと開口部には、4mmスコープが適しています。
検出の信頼性を向上させる高画質あらゆる種類のプラント設備において、画質の低さは、割れ、閉塞、腐食、あるいは結晶化など不具合の検出確率(PoD)の低下につながります。これらは、検査中に見落としてしまうと大幅なダウンタイムにつながるリークや構成部品の故障を引き起こし得る、重大な問題です。光量、カメラの質、および画像処理は全て、画質の決定に重要な役割を果たします(図3)。オリンパスの光学部品に関する幅広い専門知識を、明るいレーザーダイオード照明と大型CCDに融合させることにより、高いPoDを実現するために必要な高品質の画像が得られます。さらに、IPLEX NXビデオスコープが搭載する先進的な画像処理機能は、シャープネスや輪郭調整だけでなくノイズリダクションも可能にし、欠陥の見落としを低減します。 | 図3—明るく均一な照明がPoDを改善 |
画像の識別とトレーサビリティを確保する熱交換器のような、大きく複雑な構造の検査には、多くの場合、細径のパイプにアクセスして付着物の形跡を探すことが要求されます。必然的に、似た構造と特徴を持った画像を多数取得することになります。これらの画像を詳細な報告書に掲載するためには、すべての画像の識別とトレーサビリティ(どの画像がどこで撮影されたかが分かること)が不可欠です。しかし、これを手作業で行う際、特に検査完了後に画像に情報を追加する場合には、非常に時間がかかり、ミスが発生しやすくなります。検査員が検査中に各画像のトレーサビリティを確保できるよう、オリンパスでは使いやすいタッチスクリーンインターフェースと組み合わせた、直感的に操作できるソフトウェアを提供しています。InHelp検査補助ツールを使用すれば、各画像に正確な位置を簡単に追加できます。InHelpソフトウェアは、検査中でも画像に注釈を付けることが可能になるので、より信頼性の高い検査報告書を、より速く作成できるようになります。 | 図4—モニター延長ケーブルを使うと、モニターを見やすい場所に置いたままスコープを操作可能 |
広い空間内でのスコープの不安定さを克服する
タンクや直径の大きなパイプなどの内部を検査するときは、スコープが動いてしまうために安定した画像を取得することが難しい場合があります。鮮明な画像を取得するためには、スコープの先端部を安定させ、中央に配置したままにしておく必要があります。オリンパスのFlex-and-Stayガイドチューブは必要な安定性の確保をサポートし、均一な照明と画質の向上を実現します。
アクセス困難な場所の検査
プラントのレイアウトが複雑であると、多くの場合、特定のアプリケーション領域には困難な場所からアクセスせざるを得なくなります。検査員が圧力容器や熱交換器にアクセスするには、狭い空間で稼働中の、検査とは無関係な数多くのバルブ、パイプ、膨張タンクの間をくぐり抜けなければならないかもしれません。従来型のビデオスコープは、モニターを可能な限り検査するコンポーネントの近くに配置する必要があります。アクセスできない場所にはモニターを置けるスペースがない可能性もあり、したがって検査員が装置の各種付属品をどこに配置するかを綿密に考える必要が生じます。これでは、スコープを操作しながら同時にモニターを見ることが困難になります。IPLEX NXビデオスコープのモニター延長ケーブルを使うと、限られたスペースでも操作しやすくなり、モニターをビデオスコープから離れた見やすい場所に置くことも可能になります(図4)。今ではビデオスコープをより多目的に使用することができるため、アクセスが困難な場所でもハンズフリー操作が可能になっています。さらに、オプションのリモートコントロールを使うと、検査員はプラント内の別の場所から検査全般の総合的な管理を行うことができます。
要約
RVI技術を用いるプラント検査には、検査する設備を問わずに鮮明な画像を生成できる多用途のビデオスコープが必要です。オリンパスのIPLEX NXビデオスコープは、世界に名高いイメージングの実力と、現実世界の課題を解決する数多くの革新的な機能を兼ね備えています。検査員は検査にかかる時間を短縮して信頼性の高い報告書を作成できるようになるため、ダウンタイムを抑えながらプラントの安全性と収益性を確保できる迅速な方法を実現します。