粒子サイズの分類(サイズ別分類および累積分類)と粒子数
6回連続ブログシリーズの3回目の投稿では、粒子サイズの分類および粒子数の推定と正規化について詳しく見てみましょう。清浄度検査プロセス全体の中で、分類、推定、および正規化が占める位置を以下に示します。
- 調製
- 抽出
- ろ過
- 乾燥と計量
- 検査
- 画像撮影
- 粒子の検出
- 粒子サイズの測定と分類
- 粒子数の推定と正規化
- 汚染レベルの計算
- 清浄度コードの定義
- 最大許容値の確認
- 反射粒子と非反射粒子の分離
- 繊維の識別
- 結果のレビュー
- レポート作成
粒子サイズの分類
このシリーズの第2回で見てきた粒子検出の成果となるのが、検出した個々の粒子に関する測定結果を示すシートです。各粒子のサイズ(一般的には最大フェレ直径)がリストアップされています。全ての粒子が、異なるサイズクラスにグループ分けされます。これにより、次に行うレポート作成が短時間ですみ、測定値を比較しやすくなります。
サイズクラスはユーザーが規定できます。分類パラメーターとクラスを分割する方法は、様々な国際規格で規定されています。2つのグループに大別されます。
サイズ別クラス:サイズクラスは、最小粒子サイズと最大粒子サイズで規定されます。各粒子は1つのクラスのみに計数されます。
累積クラス:サイズクラスは、最小粒子サイズで規定されます。その結果、粒子が複数のクラスにカウントされる可能性があります。
粒子サイズの分類
フィルター上の規定面積を走査し、粒子の有無をチェックします。様々なフィルター面積(図1)が以下のように規定されます。
図 1:粒子数推定に使用されるフィルター面積。
フィルターサイズ:標準サイズのフィルターの直径は47 mmなので、総フィルター面積は1735 mm2になります。
透過面積:フィルターは、粒子で完全には覆われません。粒子は、ろ過プロセス中に洗浄液がフィルターを通過する面積にだけ存在します。この透過面積はオペレーターが設定できますが、中央の円の面積が直径42 mm未満でなければなりません。
最大走査面積:最大走査面積は直径42 mmなので、総最大走査面積は1385 mm2になります。
検査面積:実際の走査面積は、ユーザーが規定できます。一般に、走査には設定可能な最大走査面積を使用しますが、検査面積を小さくすることもできます。
検査面積を小さくすると画像は少なくなるので、フィルター検査の所要時間が短縮されます。
透過面積が完全に検査面積の内側に収まる場合には、全ての粒子が検出されます。検査面積が透過面積より小さい場合には、システムが検出粒子数を推定する必要があります。透過面積は、検査ソフトウェアで設定されていなければならず、粒子数の正規化に使用されます。
粒子数の正規化
粒子の絶対数または推定数は、基準値に対して正規化しなければなりません。
使用する規格と検定したフィルターに応じて、測定した粒子数を比較値に正規化します。これにより、調べたサンプルが同じサイズでない場合でも、複数の測定値を比較できるようになります。
正規化には、検査方法に応じて異なる値が使われます。
洗浄面積:洗浄面積に対する正規化は、サンプル表面から洗い落とされる粒子を検出する場合に使用します。得られる粒子数は、面積1000 cm2に対して正規化されます。
洗浄体積:洗浄体積に対する正規化は、大きな構造物から洗い落とされる粒子を検出する場合に使用します。得られる粒子数は、面積100 cm3に対して正規化されます。
洗浄部品:洗浄部品に対する正規化は、多数の類似したサンプルから洗い落とされる粒子を検出する場合に使用します。得られる粒子数は、単一のサンプル部品に対して正規化されます。
ろ過流体:ろ過した流体自体を分析し、検出された粒子がサンプルから洗い落とされたものでない場合には、ろ過した流体量に対する正規化を行われなければりません。得られる粒子数は、1 mlまたは100 mlのろ過流体に対して正規化されます。
洗浄体積には単位「cm3」が、ろ過流体には単位「ml」が使用されることに注意が必要です。洗浄サンプル体積とろ過流体の値を混同することを避けるために、異なる単位が使用されています。
粒子サイズの分類および粒子数の推定と正規化に続き、各粒子サイズクラスの汚染レベルを調べます。当社の6回連続ブログシリーズ「清浄度ワークフローを読み解く」の4回目、「汚染レベルの計算」をお楽しみに。
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